Belly black | ナノ




Target 手塚国光 02


「なぁ、なんでそないに手塚クンの事気にかけるんや?」

「んー…、私が原作を知ってることは知ってるよね?」

「おん。」

「手塚以上に不憫なキャラ居なんだよ。越前リョーマを立たせるための当て馬なんだよ。
跡部に負けて、真田に負けて、公式戦で勝ってると言ったら樺地、木手…ぐらいかな?後はちとs…この学校はもういいか。
まぁ結局、強すぎるからって登場もままらなくて、腕を修理するために一人九州へ行っちゃうし。全国の手塚ファンは悲鳴を上げたね。U−17だってそうだ。」

「フーン。まぁ手塚クンの立ち位置なんて俺にとってはどうでもええねん。
重要なんは、手塚クンを餌に今後楽しめれるかどうかが重要やねん。」

「…楽しさはこの私が保障しよう。
なんせ。明日、アイツらは本格的に手塚を地獄に堕とすつもりらしいから。」

「それを知ってて止めん稀奈に俺は怖がればええんかな?」

「どうぞお好きに。
私は確かに手塚を不憫だとは思っているけど、私は私が大好きだ。だから私は自分の利益が最大限に出る方法でいかせてもらってるよ。」

「稀奈は俺らみたいなやつの鏡やなぁ。」

「私は君以外の同族に出会ったことは無いけどね。」

「実は俺もや。」

「比較対象物が無さすぎるでしょ。」


そんなくだらないことを話した次の日、本当に手塚は学校総出で虐められることになる布石をばらまかれた。
もちろんテニス部レギュラー達の手で。

どうしてこんなことをレギュラー達はしたのか?
それは簡単。
どんなに暴力を振るわれても人形の方に反応が無かったからそれが不満だったらしい。
何かしら反応が欲しかったらしい。
だから、今度は身体的でなく、精神的に攻めてみることにしたらしい。
乾や不二とかの入れ知恵だろう。

学校まで巻き込んで、生徒だけでなく大人達も巻き込んで。
教師たちは黙認。
だって虐め如きで名門の名を穢すことになるなんて、そんなの耐えられない。
秘密に、内密に、内緒に、隠密に、機密に、厳密に、極秘に、内々に、
外部には情報を漏らさない。

こうやって虚実は真実になり、
真実は虚実となり、闇に消える。

その様を第三者として受け止める稀奈と白石と、そして手塚。

手塚は一人耐えてる。
稀奈の手を今だ取らず、健気に耐えている。
その忍耐も限界だ。
だって、腕の状態が悪化したから。
完治させるためにも最低限腕だけは守っていたのに、

それはレギュラー陣だって狙ってなかった部位だったのに。

なのに全校生徒を巻き込むことによって、面白半分遊び半分で攻撃した一般生徒。
初めて手塚が苦痛の表情を他者へと表した。

達成感で一般生徒は満足。
皆に自慢してやろうと、手塚の無表情を崩してやったぜ、と。


ここで手塚をこちらに誘っておくことが最善かもしれない。

稀奈は手塚が苦しむ顔を見るより、手塚を虐めていた奴らの歪む顔が見たい。
沢山の醜く歪む顔が見たい。


再び、ここ使われていない教室で手塚と接触。
使われてない教室って言う設定なのに、掃除すら行われない場所なのに、
こうも使われたら掃除場所設定にしなきゃいけないね。

「ね、手塚クン。今日の調子はどう?」

「腕、平気な訳やないんやろ?」

「これ以上この立場に立っていると君の腕、使い物にならなくなっちゃうよ?」

「俺らかてこれ以上第三者で物語を見つめるんもつまらんのや。関わらせてぇな。」

「白石、本音出てる閉まって閉まって。」

「あかん、俺最近口が滑りすぎや。塞いでくれへん?」

「何で?」

「稀奈の唇で、」

「え?お前の唇引き千切れって?」

「御免被る。」

「さ、白石との会話なんてどうでもいいんだよ。
手塚クン、今の気持ち聞いてあげよう。
さぁ、吐き出しなさい。君を誰も責めない、君を誰も責めることは出来ない。
私が擁護しよう、保護しよう、守護しよう、支援しよう、容認しよう、同調しよう、だから私に君の歪な思いをぶつけなさい。」

「………。」

手塚は何か言いたげにしていたが、チラリと白石の方を見て、すぐに視線を余所へやった。

「…ふーん、白石ちょっと出て行って。」

「へ?なんでなん?」

「君みたいに顔なじみが居たら嫌なんだと。私みたいなほとんど知らない人物に言いたいんだと思うよぉ?」

「……そういう事か、ま、分からなくもないからここは引いてあげるで?手塚クン。」

「…あぁ。」

白石を教室の外へと追い出し、稀奈と手塚二人きり。

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