Belly black | ナノ




Belly black 第03話


「なぁ稀奈、具体的にはどうするんや?今稀奈は俺が虐められとることほとんど知らん状態の設定やろ?」

「んー、とりあえずはみんなに白石は悪くないって言って私もそっちサイドに行こうと思う。
まぁ、楽しみにしといて。」

「楽しみやんなぁ…どっちのキャラで?」

「もちろん、天真爛漫な方で。本性だすのは…最後、かな?」

そっちの方が楽しそうだし、
とクツクツ笑う。

「性格悪いなぁ自分。」

「お褒めの言葉ありがとう。」




ずっと白石としゃべっていたら放課後になってしまった。

でも、稀奈も今更中学の勉強に引っかかるほど頭は悪くないし、白石も悪くない。
だからいくら休んでも無問題。

「じゃ、白石また後で。」

「おん。」

二人でニタリと笑いあう。
第三者が居たら相当驚く光景だっただろう。



そして部活へ。

まず白石が部室内で着替えをしている。
もちろん、一人だ。

白石が部室を使用しているときは基本誰も入ってこない。

理由はなんだったっけ?

「あぁ、俺と同じ空気吸いとうないけぇか。」

アホやん、俺が使った後に部室入るんやったら俺が吐き出した二酸化炭素が充満しとるのに。
結局は俺と同じ空気吸っとるやん。

「おい、さっさと出てけぇや!!」

部室の外から扉を蹴っている音がする。
声からすると一氏が蹴っているのだろう。


あーぁ、これで扉壊れたら俺のせいになるんやろうな、出費がかさむわぁ。
まぁ、金の心配よりも体の心配をした方が…ええかな?

「……。」

無言で白石は部室を出る。

すれ違いにメンバーは部室の中へと入っていく。大きく白石を避けて、

一番最後に位置してた謙也が白石を睨みつける。


「白石、みんなにこんだけの時間待たせといて謝罪の一言も無いんか?」

「……。」

アホらし!!
なんで俺が謝罪せんとあかんのや。
待たせた?ハァ?勝手にお前らが入ってこんかっただけやろ。俺鍵なんて占めてへんし、


下を向いたまま白石はコートの方へと歩いて行った。

「チッ覚悟しときや。」

そんな呟きが聞こえた。


あー…また殴られるんかな?
でも、今日は楽しみやなぁ、なんせあの金ちゃん…やない、稀奈が俺の味方になる合図やもん。
楽しみでしゃーないわ。
前世は女子やて?
ホンマ面白いことが起きる世の中やなぁ。

ほほ笑む白石の表情はどこか狂気に満ちたものがあった。




「さて…私も部活に行こうかな?」

稀奈は白石と別れた後、教室に荷物を取りに行った。
荷物と言ってもテニスラケットしかないのだけれど、

テニスコートに着くといつもの様に白石がメンバーに囲まれて殴られている。

「…アハッ、あの本性があったうえであの暴力を耐えてるってほんっとおっかしー!!
あははは、もっともっとこの光景を見ていたいけど、…助けに行きますか。」

白石達に近づいていく。

「なぁなぁ!!みんな何やっとん?テニス、せぇへんの?」

キョトンと、キュルンという効果音がお似合いの動作で白石以外のメンバーに聞く。
白石はみんなの足元に顔を伏せて蹲っている。

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