Belly black | ナノ




Target 越前リョーマ


やっほー!元四天宝寺中学校、一年遠山金太郎に成り代わっていまーす。遠野稀奈です。
四天宝寺をぶっ潰してめっちゃテンションが高いです。ワーイ、ワーイ。マジすっきりって感じでーみたいなー……すみません。このキャラ辞めます。

少し前、白石と共にクソな四天宝寺を世間に晒して私たちは関東の学校に転校した。

え?逃げたって?
そんなわけないじゃん。私たちは虐められてたんだよ?そんな可哀想な子にそんな辛辣な言葉を浴びせるの?ショックだなー。

なーんて、どうでもいいじゃん。
とりあえず底辺に落ちた学校なんかには居たくないんだよ。

「で、転校先はここか。」

「そう、此処。」

「ここ優勝校なんやろ?」

そう白石と共に向かっている先、転校先は青春学園中等部。
そして今、校門前。

「んー?多分?」

「多分?」

「そう多分。やー…白石がこんなキャラな設定じゃなかったし、きっと多分この学校にもなんかバグがあるんじゃないかなぁって。」

「…バグに遇って底辺に落ちかけたのに、またバグを探すんか?」

「白石ぃ、私は娯楽を求めてんだよ。」

「ハハッ、それに巻き込まれるこの学校の奴も可哀想やなぁ。」

「私の娯楽に便乗する奴は誰?」

「俺。」

口角が上がる。

「フフ…ッさぁ、いくよ?蟲を探しに…ね?」


門を入り、職員室へ。
職員室に行って挨拶。勿論、猫をかぶって。

転校の旨を伝え、
校長ら、先生から「大変だったな」と労いの言葉をかけられた。
白石は「今日は学校を見学させてください、始まる前に少し慣れていたいのです」と詭弁を連ね、今日は見学で終り。

二人は職員室を後にして、とりあえず、人気のないとこへ。

「なぁ?」

「ん?」

「ここでは何キャラを通すんや?」

「んー…やっぱ天真爛漫キャラ?」

「その心は?」

「白石こそ、そのいい子ちゃんキャラはなんで?」

「それはもちろん――」

「「正体をばらした時の相手の顔を見るのがエクスタシーだから。」」

声を合わせて表情を合わせて言い放つ。

「あの快感は忘れないよー。もう、病み付きになりそう。」

「分かるわー、今回の蟲もそんな顔してくれるとええなぁ。」

「してくれるんじゃない?今回も、蟲はテニス部男子、限定するならレギュラー陣に蔓延ってるらしいから。
まぁ、私はこれから天真爛漫純粋無垢なキャラを定着させていかないといけないけどね。」

「まーたテニス部か、呪われとるんとちゃうか?
……ん?なんでもう分かったんや?」

「分かるよー?だってホラ、あっち。」

あっちと自分の後ろを指差され、白石は自分の体を反転させ後ろを見る。

「!?」

そこには一人の男子生徒を囲ってリンチをしている様子のテニス部のレギュラー陣の一部。

「あー…はいはい。
…………とりあえず、どうしたい?」

「とりあえず、接触を図る。」

二人は次の行動を決定し、
行動に移す。


「なぁー、何やっとんの?遊んどんか?やったらワイも混ぜてーな!!」

「「「「!?」」」」

「待ちぃ、金ちゃん。
やけど、自分らホンマ何しとん?それ、リンチとちゃうん?……手塚クン?」

「………四天宝寺の白石、か。」

「せやでー、手塚クン去年よりオーラが……。」

濁っとるな。

「なー!しーらーいーしーワイもう移動で飽き飽きやぁ!!」

「ちょーっと金ちゃん向こう行っとき?」

「えー!!」

「やないと…毒手やで?」

「や、毒手だけは勘弁やぁあああ!!!」

稀奈は逃げ出す様に物陰へ。

「…で、手塚クン、何のつもりなん?勿論手塚クンだけやないで?そこに居るメンツもや。」

「……四天宝寺中からの転校生と言うのはお前らだったのか?」

「せや、…で?俺の質問には答えてくれへんの?
こっちに来てそうそう、こんなもん見さされて気分悪いわ。金ちゃんに悪影響なもん見せよってからに…。殴られとる子まだ一年やろ。見たこと無いからそうやろ?何をしたって言うんや?その子。」

少々の殺気を交え、やる気なさげに呆れた様に聞く。

「さ、さっきからなんだよー!!お前はなんも知らないからそんなこと言えるんだニャー!!」

「そうだよ。白石…クン?部外者の君が口出さないで欲しいな?
これは制裁だよ、制裁。悪いことをした越前に教え直してるんだよ?」

「へー…そうなん?……けど、今回はこれで終わってくれへんか?」

「何故?」

「金ちゃんがここに戻ってくる。金ちゃんにはこんな汚いとこ見せとうないんよ。」

「ふーん…手塚、もう今はいいかな?」

「ああ、そうだな。油断せずに戻ろう。」

リンチをしていた人、
手塚、不二、菊丸は自分のクラスへと戻って行った。

そしてその場に残るは白石と、呻きながら意識を飛ばさないようにしている越前。

「金ちゃん、おいで?」

「んー?あー!!みんな居らんやんか!!白石またワイをのけ者にしたな!!」

「まぁ、落着きて、とりあえずこの子を保健室に運ぶで?」

「分わった!!」

白石が担ぎ、保健室へ、
行ってみると、保険医が担がれている越前の姿を確認するやいなや「職員会議があるから先生は行くけど、勝手に使っていいからね。」と言づけて去って行った。

「……デジャブルわー…。」

四天宝寺に居た頃の自分の扱いとまるで一緒だなと思いながらも、取り合えず手当の優先。

「う……。」

意識がだんだんはっきりしてきた越前。

「どや?自分、平気か?」

「……アンタ、誰?」

「俺は白石蔵之介。大阪の学校から今日転校してきたんや。」

「ふーん…。で、何で助けたの?」

全てを軽蔑している眼。

「あかんかった?」

「ダメに決まってんじゃん!あんなの耐えてたら終わるのに、なんで!?アンタが俺を助けたからってまたいちゃもん付けて今日の放課後のリンチが倍になったりするんだよ!!もう、…最ッ悪!」

接触してくる人は皆敵、
話しかけてくる人は皆敵、
周りの人は皆敵。

誰も信じていない目で白石を睨みつける。

「助けてもらったんに、その言い方腹立つなぁ。」

「誰も助けて何て言ってない!!それになに!?金ちゃんってやつ。あれをどうやったら遊びに見えるの!?バカ!?」

「越前君…やったっけ。その気持ち、俺らは分かるで?」

「気休めなんていらない!!」

「…金ちゃん、おいで?」

「ん?なんやー?」

白石は呼んで、稀奈の上のカッターシャツにタンクトップを脱がせる。

「な!?…に…それ、」

「これかー?これなぁ、前の学校でつけられたん、あんなワイの体に誰が一番綺麗な色のモンを付けれるかって遊びをしとったんよ!!」

稀奈の体を覆う色とりどりの痣。
目の当たりにしたリョーマは息を飲む。

「それ、は俺より…ッ酷い。」

「何がなん?何で自分が泣きそうになっとん?」

何が何だかわからないと言った言い方で越前に聞く。

「俺らが、なんでここに転校してきたと思う?前の学校で虐められとったからやで?逃げてきたんやで?
なぁ、越前君。俺ら、自分の力になりたいねん。俺らみたいなやつを…増やしないんや…ッ!!
金ちゃんな、こんな明るい性格して、皆に可愛がられるはずやったのに…ッ俺のせいでこんなになって現実を受け止めれんくって、こんな……ッ。
分かってや?俺らそんな姿を見ると俺らも辛いねん…ッ!!!」

切な願いが伝わってくる。

「っ……俺、を助けてくれるんですか?」

「越前君が助けてくださいって言ったら、力を貸すで?」

「俺、を助けてッ……!!!!」

越前が縋る様に白石に求めた。

「ええで?」

白石は微笑んだ



ように見えた。

「なぁ、越前クン?その頼み方は無いんとちゃう?」

笑みは消え。
厭らしく嗤う。

「な、にが?」

「あー!もう本性出したぁ!!」

越前は何が何だかわからず呟いて、稀奈は全て分かって叫んだ。

「え?あかんかったん?越前クン助けるんやったらこっちんがのちのち…。」

「だーかーらー、もう少し親しくなってからバラしたかった!驚いたあの顔は一度きりなのに…勿体ねー。」

「それは、それは悪いことしたなぁ。」

悪びれもせずシレっと言う白石。

「ん?君、わざとだな?」

「ありゃ、バレてもーた。」

「バレるっつーの私なめてんの?白石、アンタももう一回そっち側逝く?どういうつもり?」

「堪忍、俺はそっちの自分が好きなんよ?」

「アラ、告白?甘いじゃない。
ま、でもその問題はおいといて…ハロハロ越前クン?ついてこれてますかぁ?」

越前は言葉が紡げず、意味の分からない単語を言うだけ。

「あっちゃー、ま、私は優しくないから話進めるよー。
ホントもっと人にものを頼む時の礼儀ってモンがあると思うんだけどな?…ねぇ、本当に助けて欲しいの?」

「…ッほしい…。」

越前の中にはもう、この二人にすがるしか道はないと思っていた。思ってしまった。
頼らないと言う選択肢もあったはずなのに、『助かる』と一瞬でも思ってしまった。越前はもう堕ちたくない、そんな一心で二人という蜘蛛の糸に縋っている。

「だったらさぁ…もっと誠心誠意込めて言いなよ。そんな頼み方じゃ、だーれも助けてくれないよ?」

「どうやって…?」

「分っからないのぉ?だっさぁー。」

「そんな意地悪せんと、教えたりぃな。めっちゃ簡単なことやん。」

「…だったら白石が教えてあげなよ。私は見とくからさ。」

「はいさ、なぁ越前クン?ホンマ分からんの?」

「ッ………。」

「ハァ…残念な脳味噌やな!!仕方ないから俺が教えたるわ。土下座しい。土下座。」

「なんッ!?」

「え?まさかプライドの一つや二つ捨てなくて何も失わなくて、私たちが何の見返りも求めないで慈善活動で君を助けると思った?」

「そんなんするわけないやろ。俺らは、楽しみたいんや。」

「そーそー、たった一度、死ぬまで頭を下げろなんて言ってないんだからさ、たかだか一分だ。それで白石は助けてくれるって言ってんだぜ?
本当に白石に助けてもらいたいなら、それぐらいしないとね?プライドを捨てるなんて、簡単デショ?」

二人が畳み掛ける。
ニヤニヤとした顔つきで、越前を追いつめる。


越前は静かに膝をつき、手を膝より前に置き、頭を地面に近づけた。

「ッ…助けて、下さいッ!!」

「キャハハハ!!本当にプライド捨てやがった!!」

「ん、助けたる。」

白石はそう答えた。
越前はその言葉を聞いて頭を上げた。
ホッとした顔をする。

「私は、助けてやんね!!」

変わりに元気よく稀奈は嫌だと言った。

これでは約束と違う。
越前が力が無いなりにも抗議する。

「えー?何が違うの?白石は、土下座で助けてやるって言った。でも私はそんなこと一言も言ってなーい!」

「だったら俺は、白石さんだけを頼る!!」

「ふーん…じゃあ私は君の敵になることにするよ。」

「そうすれば?」

自分は一人ではないと思って強気になる。

「あー…越前クン、俺だけじゃ助けれんわ。」

「え…?」

「やってなぁ…流石の俺でも勝てれへんねん。」

「どういう…こと?」

「俺も金ちゃんに出会う前は自分が一番どす黒い歪んだ感情を持っとると思っとったんやけど……負けたわ。」

「んふふふ、白石の分際で私に勝とうなんざ百回転生しても早いんだよ。」

「つー訳や、俺は助けてやってもええが…その末に待っとるんは越前クンにとって最悪な結末だけや。」

「ッ……。」

「さて、どうしよう?
私に乞い願うなら、私は君をその立場から救ってやろう。さらには復讐もしてやろう。君が考え付かない最悪な方法を使ってね。」

復讐なんていう甘美な響き。
越前の考えは揺れ動く。
かしずくべきか…はたまた否か。

「助けて…下さい…。」

「態度で、示して見せて?
スニーカーなのが絵にならなくて残念だけど……。私の前に跪き私の靴に口付けろ。」

ピンヒールだったら面白いのにね、とケラケラ笑う。

そして片足を正座したままの越前の前にズイっと出した。

「…………。」

甘い、囁き。
甘い、誘い。
甘い、蜜。
その甘イモノは脳の思考を麻痺させる。
越前はフラフラとした働きで、ゆっくりと顔を靴に近付ける。そのまま、先に口付けをする。


「…アハッアーハハハハハハハハハハハハハハアハアハハハハァアア!!!!!本当にした!!
ようこそ底辺へ!!
君は自分の力でなく私たちの力を持借りて復讐した愚かな卑怯で卑劣で最悪なモノだ!
君はそこまでしてこの状況から抜け出したいか!?そして復讐もしたいと?しかも他者の力を借りても?
実に滑稽だ!!君は鬼だ!人で非ず!!
私たちはやるからにはやる!止めたって無駄だよ?だって私は確認した!!
それでも君は承諾した!もう止められない!坂道を転がる石の様に!止まるときは意思が壊れるしかない!
そんな君が私はたまらなく好きだ!!」

アハハハハ、と耳残る笑い声。
越前は耳を塞ぎたいとは思わなかった。

感情を抉られ、潰され、
プライドだってぶった切られた。
越前に残るのはもう、自分を虐めてきたヤツらに対して復讐したいという思いだけ。

「俺でアンタ達は楽しめばいい。いくらだって俺はアンタ達を満足させてやる。
だから、アイツらに復讐を…っ!!」

そんな言葉に稀奈は微笑んだ。

「君を私は私が満足いくまで遊んであげる。
そして君の望むことを一つ、叶えてあげる。それは青学に復讐…でいいね?」

「……ッス。」

一瞬迷いはしたものの、決断は揺るがなかった。

「契約成立だ!
君は私の下僕だ、犬だ、家畜だ。
私に媚びろ。
君は私のオモチャになることを誇りに思え。」

「は…い。」

「特別に君には渾名を付けてやろう。コシマエ、君はコシマエだ。
オモチャに名前を付けてやったんだ。これ以上ない幸せでしょ?」

「ッス…。」



「これから、…存分に遊んであげる、私を楽しませてね?コ シ マ エ 。」


―――――
アンケートでの文章を名前変換できるようになって再うp。
でもあまり呼ばれてないという\(^o^)/

しかし、越前が一位ではないのか…金ちゃんが相手だとしたら越前に票が集まるかと思ったんだが…やっぱり正規主人公は一位にはなれないという謎の方式が適応!?←

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