Belly black 最終話
そういうと白石はおもむろにケータイを取り出していじる。
稀奈もそれをのぞき見る。
「うん、綺麗に電波入って来よるな。」
「そうだね。これは見ものだ。
ねぇ、見たい？」
こっち来なよ。
そう言われて近づいてくるメンバー。
画面を見ると、それはワンセグに繋がっているもよう。
「「「!?」」」
画面に映るタイトルを見て驚いた。
そのタイトルとは…
『これが虐めの実態、某中学で起こった事を一挙公開!!』
「なんやの…これ。」
映る映像は自分たち、
顔に声にモザイクがかかっているが紛れもない自分たち、
「俺らがホンマに一方的にやられとるだけか思うたか？」
「そんなわけないじゃん。ここや、そこ、あっちや、こっち。
君たちが私たちを制裁するところにカメラを仕掛けておいたよ。綺麗に映ってるね!!」
「え……嘘や、ろ。これ…このケータイだけ…なんやろ？」
「そんなまさか、大阪放送の人気の番組の特別特集だぜ？
もちろん、ＴＶ局の人が言うには全国放送にも掛け合ってみてくれるってさ!!君たちは今日から有名人だ。もちろんこの学校も。」
「自分ら…これが、望む結末なんか？」
「「当然。」」
声をそろえて言う。
「私たちをこんなにして無事で済むと思うなよ？」
「俺らは自分らと違って自分の手は汚さずに、地獄まで陥れるで？」
「っっ……………この外道。」
睨みつけるように、地を這うように低い声が聞こえた。
「フフ、最ッ高の褒め言葉。」
「自分らも、この学校に居ったら批判にあうで…。」
ざまあみろ、と言いたげな表情。
「ハ？私たちがそんなヘマすると思ってんの？」
「自分らもたいがいアホやな。」
「私たち、今日付けで――」
ニヤッと笑う。
「「転校しまーす。
長い間ありがとうございましたー、残りの学生生活楽しんでねー。
さよーなら。」」
白石と稀奈は部室から出て行った。
まだ何か言っているような声がしたが、そんなのもただの雑音として処理。
時々聞こえてきた悲鳴は心地の良いものだった。
「ところで俺らの転入先って何処や？親には稀奈と同じところ行く言うたけど。」
「それはねー……向こうに行ってからのお楽しみ!!」
やり遂げた感MAXの笑顔で言われた。
「稀奈には敵わんなぁ。」
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