Belly black | ナノ




Belly black 第17話


朝、寄り添うように登校。
稀奈は怯えるように白石にくっついている。

周りからの目線は心地いいものだった。

なんせ自分たちは無実の人物をあれだけ虐めてきたのだから。
罪悪感に駆られている人の目はなんとも言い難いものがあった。

謝ってくる人たちもいたが白石はそれらを上手に避け二人は保健室へ。
まだ病み上がりで精神状態も不安定ということで保健室登校だ。

保健室には先生が居たが出て行ってもいいですよ?と声をかけると保健医は出て行った。
当たり前だ。あれだけ自分も加担していたのだから合わせる顔が無い。
むしろ逃げ出したいだろう。
だからすぐにどこかに行った。

「フフッ面白い学校だな、ここは。」

「せやな、みんなのあの目、おもろいなぁ…。」

「どうしてみんなは気づかなかったんだろうね?」

「それはあれや、皆が虐めとくから自分も参加しとく。
皆やってるからそれが正しい。間違いなんてない。
多数決でも多い方が可決、正義や。
そんなもんやろ。」

「真理だね。
確かに多数決だ。民主主義はこれだから有耶無耶になって、いいことには繋がらないんだ。」

「だからと言って軍国主義もいややで?」

「ま、ね。…………賭けしない?」

突然言い出した。

「…なんや?」

「謙也が私たちの本性を知っての第一声はどんなものか。」

「そんなん賭けにならんやろ。」

「そうだね。」

「どうせあいつは――」

「「騙しとったんか?」」

「―――って言うでしょうね。」

間違いない。

「ホンマ、単純な奴は可愛げが有るんだか無いんだか…。」

「両方でしょ、」

「やな。」

「じゃ、今日の昼休み部室に来るように連絡してよ。テニス部部長さん。」

「嫌味なやっちゃなー。」

白石はブツブツ言いながらもメールで連絡をする。
返信は要らない。

「楽しみだ。」

「同じく。」




4時間目の途中、二人は保健室を抜け出し、部室へと移動。

「久しぶりだね。」

「せやな。」

「ここで自殺したっていうのにその痕跡が一個も無いのは悲しいな。」

「リスカの方がよかっんかな?」

血の海になって良かったかもな、と。

「んー…でも痕残るじゃん。お嫁に行けない。」

「稀奈は今、金ちゃんやろ。男子やで。」

「あ、そっか。」

「まぁ安心し、いざとなったら俺が貰うたる。」

「いや、私今男だし。」

「スウェーデンでも行こか?」

「ハハッ良いよ、別に。」

どうでも。


キーンコー…―――。


「あぁ、チャイムが鳴った。」

「そろそろやな。」

「待ちに待った物語の終焉ですね。」

「待ち遠しかった。」

「ではクライマックス開演。」


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