Belly black | ナノ




Belly black 第14話


まぁ、発見された時のために白い安らかな微笑みをしただけですけど。







稀奈が目を覚ますと白い天井だった。
部室ではない。

病院だろう。

個室ではなく、隣に誰か居る。

軽く寝返りをうつと全身がボキボキっと鳴った。

「イッタァ…。」

思わず声を上げた。
そして隣とを隔てていたカーテンが開けられる。

「おはようさん稀奈。」

「……………はよ。」

隣には白石が居てバナナを食べていた。
どうやらバナナは両親がお見舞いの品として持ってきた物らしい。

「白石はいつ気が付いた?つか今あれから何日?」

「先に日付から言うとあの日から三日が過ぎて今は午後5時、
俺は今日の朝、気が付いた。」

「そっか…あー…頭痛い。」

「後遺症や。あ、さっきナースコール鳴らしたから看護師さん来ると思うで。」

「あー了解。」

程なくして看護師がやってきた。
簡単にバイタルを測られて、詳しい検査は明日することとなった。
取り合えず今日は絶対安静。



「……暇だ。白石なんか面白いこと言って。」

「なんやそのむちゃぶり勘弁してや。
あ、そういや俺らの誤解はその日に解けたそうやで。」

「へー、やっぱPTA会長に頼んだのは正解だったね。
……あ、そうだ謙也達が来たらどうする?満面の笑みで迎える?それとも拒絶する?」

「どっちも捨てがたいな…病院にお見舞いに来たら拒絶して、その他は満面の笑みから突き落とそうか。」

「ナイス発想力。つまりは謙也達がお見舞いに来たら一番美味しいことになるんだね。」

「せや、まぁあの謙也のことや。来るやろ。俺らが目ぇ覚ましたことはすぐ知ることになるしな。」

きっと親経由で、

「さっさと来ればいいのに…。」

「速くて明日やない?もう遅いし平日やしな。」

「そうだね、スピードスターの速さを信じとくか。」

次の日稀奈は検査だ、なんだと午前中は忙しかった。
解放されたのは午後になってから。

「あー、疲れた。」

そう言いながら白石のベッドの空間にある椅子にドカッと座る。
白石はベッドをギャッジアップして暇を持て余していた。

「お疲れさん、俺は昨日済ませた。」

「…謙也とかは?」

「まだや。」

「間に合ったー。」


ガラリ


病室の扉が開いた。
目をやると、白石の母親が居た。

「どうした?オカン。」

「お見舞いしたいって子が来とるんやけど…どうする?」

きっと謙也達だろう。

ついに来た。
にやけてしまいそうになる顔を引き締め、稀奈と顔を見合わせる。
少々怯えるそぶりをしながら唇をギュゥッと噛む。

「…ええで?…通してや?」

「じゃ、これから仕事有るから…明日また来るわ。」

「おん。」

母親を見送り少しの間が出来る。
入ってこない御見舞客。

いい加減、退屈なんですけど。


そう思っていると意を決したかのように謙也が入ってきた。
謙也の他にもテニス部レギュラー陣。
もちろん財前も、


来た来た…。

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