Belly black 第12話
証拠集めをしっかりと、
その間で謙也達に浴びせられる制裁もしっかりと、
教員、生徒から浴びせられる悪口をしっかりと、
記録に残す。
どんな証拠が集まったのか、
それは確固たる真実が記されたもの。
どんな暴力を受けたのか、
それは想像にお任せしよう。
あえて言うなら、通常ならば耐えきれないもの、
耐えれたのは歪んだ価値観を持っていた二人だったから。
「さて、十分証拠も揃った。」
「謙也らの制裁も十分録った。」
「体中もいい感じに痣だらけ。…みんな容赦ないな。」
「当たり前やろ、正義の味方が悪者に手加減するやなんて聞いたこと無いで。」
「そうだね…でも、楽しかったね。」
「せやな、何が楽しかったって、謙也のあのセリフ。」
「あんなスピードバカにも葛藤してたんだね。でも結局はあっち、と。
白石人望無いね。」
「今の俺に人望遇った方がおかしやろ。」
「ま、ね。
でも私的にトータルして面白かったのは――」
「「光の表情、行動、すべてが面白かった。」」
顔を見合わせ、口調を合わせ妖艶に嗤う。
「私が暴力を受けてるとき光こっち見てたんだよなぁ。光にしか見えないようにニヤって笑うと尚のこと面白い反応をしてくれた。」
「確かにな。」
「ちゃんと私の言いつけを守って物語には参加してないいい子ちゃんだった。」
「でも遠目で俺らを見とる表情は傑作なものがあったな。」
「良い表情だったよ。あの葛藤する表情。
謙也は足元にも及ばない陳腐な葛藤劇を披露してくれたが、
財前は私たちの本性知ってるからねー。殴ってる謙也を見る表情は泣きそうな表情で、まるで叶わぬ恋をしているような目だったよ。」
「なんや、その例え。
まぁ、面白いからええけど。」
こんな風に会話をするのは何度目か。
毎回の話のネタはみんなの失態。
そしてどんなことを思いながら鉄拳制裁を行っているのか、予想を立てる。
第三者が居たら驚くようなメンツでの対談。
そんな対談も明日で打ち切り、
何故なら、
二人は自殺をするから。
「さて、どうしようか。
白石はどんな風にして死にたい?」
「せやなー…何でもええでぇ。」
「だったらインスリン自殺ね。」
「は?なんやそれ。」
「明日教えてあげるよ。自殺場所は部室ね?」
「ええなそれ、」
「じゃ、決定だ。明日実行しよう。」
「なぁ稀奈、その証拠誰に見せるん?」
「んー…PTA会長。」
「えげつな!?」
「何とでも言え、それにもう渡してある。コピーの方をね。」
「…俺、知らんかったんやけど……。」
「だって昨日思いついたし。利用できるものは最大限利用するよ。それがたとえ大人だろうとね。
で、昨日の夜、渡しに行った。」
「よう……その話乗ってくれたな。俺らが悪い設定になってるんに…。」
「何言ってんの、もちろん変装していったに決まってるじゃん。
じゃなきゃ門前払い食らうよ。
髪の毛ねかして、伊達眼鏡してね。パッと見別人ー。
13年間演技してた私をなめてもらっちゃ困るね。大人一人落とすぐらい簡単だよ。」
「ホンマ、怖いわ。同じ属性でもここまで違うんか…。」
「私は元々女だし考え方は男よりもえげつないと思ってるよ。ほら、女子の虐めは陰険だし?」
「それに納得してまう俺が居るわ。」
「クスクスッ、君のその驚く顔も嫌いじゃないよ?
まぁ、明日PTA会長はこの学校に乗り込んできてくれるはずだから…ね。
楽しみだねぇ。」
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