Belly black 第11話
「そういやぁ、長く光に構っとって忘れかけよったけど、原作沿い派ってなんのことやねん。」
「アラララ、誤魔化すことが出来なかった…。」
「誤魔化されるやけないやろ。俺は前から自分の正体が気になっとんやからこんな尻尾出したチャンス逃すわけないやろ。」
「……そーですね。仕方ないから答えてあげよう。」
「そーやなぁ、稀奈の前世の記憶は明細に覚えとんか?」
「うん、昨日のことの様に、私の死に際の状況教えてあげようか?」
「いや、遠慮しとく。
……でも何歳で死んでもうたんや?さっき光のことガキって呼んどったが…。」
「んー義務教育は終わってたって言っとく。」
「俺よりも年上かいな。」
「当たり前、精神年齢ではもっと高いよ?金太郎として過ごしていた時間があるからね。」
「そうやなぁ…………。」
少々無言になる。
「…何?もう質問終り?」
「…いや、最後にもう一個。
稀奈は…もしかして生まれ変わる前から俺らの存在知っとった?」
先ほどより真剣な目で質問してきた。
「……知ってた。」
それに対しニヤリとした顔で返事をした。
「それは…何で?」
「漫画で、」
「漫画?」
「そう、漫画。聞きたい?」
「……聞きたい。」
「私が今年の全国大会の結果も知ってると言っても?」
話の流れで話すことになるよ、と。
「それなら…なおさらや。今更この学校が全国大会優勝できるとは思っとらん。」
部活中は俺を殴るので忙しそうやからな。
「良い判断だね。
教えてあげるよ。私がなんで君たちを知っているか。『テニスの王子様』の存在を教えてあげるよ。」
この世界で言う週刊少年ジャンピの人気連載漫画、
今はスキュエアジャンピにて新連載中。
主人公は越前リョーマ。
四天宝寺は全国大会で主人公校の青学と準決勝と当たって負ける。
「簡略にいうとこんな感じ、どう?ショック?ベスト4で。」
「でも俺は個人的には勝てたんやろ?」
「うん、あの天才不二周助にね。」
「やったらええわ。
それよりこの俺の境遇は書かれてあったんか?」
「全然?むしろパーフェクトな白石蔵之介が虐めに遇うわけなんてないんだよ。
だからびっくりー。」
「ふーん。やったらもうその原作沿いなんて無視してもええんとちゃうか?」
「あー…まぁ、確かに。」
確かにこの世界はパラレルワールドっていうなら白石のこの境遇にも納得がいくし、
さらにこの先はまだ決まっていない未来だから稀奈の意思でどうでもできる。もちろん白石も思う通りに行動すればいいと思う。
「でも、まだ白い俺でいこか。」
「え?なんで?」
「稀奈の考えを聞いておもろいと思うたからや。」
「へー、君が意見を変えるなんてね。」
腹黒いから自分の意見にまっしぐらかと思ったけど。
「面白い思うたら面白い方にした方がええやん?
柔軟な考えしとらんと、謙也らみたいになってまうで。」
「それは…勘弁していただきたいね。」
「それに、俺が無実っちゅー証拠を集めんとな。」
「そうだね、後はあいつらの制裁を記録して後悔してもらおうかな?」
「怖いなー稀奈は、」
「君も十分怖い。」
[ 12/77 ]
[*prev] [next#]
[目次]
[しおり]