青春デストロイ!? | ナノ





青春デストロイ!? 第300話


「とりあえず呼んでみよっか。」

「撫子ー!!跡部ぇ!!生きとるかぁ!?」
「跡部ー!撫子ー!!返事して欲しーC!!」
「跡部ぇ!撫子ー!激ダサー!!」
「え、宍戸どさくさに紛れて何言うてんの。」
「クソクソ落ちてんじゃねーよ!!撫子ー!跡部ー!戻ってこーい!!」
「椿崎ー!跡部ー!生きとるかのー?」
「椿崎ー、無事かー!?」
「返事してくれー!!」

「誰か弦一郎を呼んでやらないか?」

声を張り上げる事の出来るメンツが大方叫んだ後、柳は冷静にツッコんだ。

「真田ー。ゴメーン生きてるー?」

やっと真田の名前を呼んでくださった幸村。

「む、幸村ー!!聞こえているのかぁあ!!」

「あ、真田の声。」

茂みの中から真田の声がした。

「弦一郎、無事か。」

「うむ。痛みなどは無い。」

「撫子さんと跡部は無事か?」

「マスター!!!!私超元気ぃいい!!!!…跡部も無傷ぅう!!」

「あ、撫子ー!」

全員の生存確認である。

「ならばいい。そこから上がれることは可能か?」

「ちょっとむりぽー。なんか雪の壁が邪魔して…思った以上に硬ぇの!板も刺さんなくてオワタ。」

「そうか。では俺達は先生を呼んで、それからロープとかも調達してくる。そこから動いてくれるな。分かったな。」

「マスターてきぱきしてカッコいいー!了解仕ったのよー!!」

下手に動くと遭難してしまう。だからこそ動くなと言う案。
それに元々先生が承諾したルートでこのようなことが起こってしまったのだから先生を頼ってもいいだろう。

「と言う訳で先生方を呼んでくるが皆はここに居てくれ。後精市と滝は来い。流石に今回の行動はやり過ぎだ。」

「はーい。流石にダメだったかー。柳に怒られたらそれ相応なことしないといけないよねー。ごめんねー滝君。巻き込んじゃった。」

「仕方ないよ。流石に僕も大人気なくテンションあがっちゃったし。
じゃ、皆ここに居てね。僕達言って来るから。」

三人はさっさと目的地まで滑り始めた。簡単なルートに戻りふもとの先生を頼る事にしたのだ。

それからは事の展開が速かった。
先生は速やかに対応してくれた。もうやっぱりか、と言いたげな表情を浮かべ、それほど心配していたようではなかった。
まぁ、1グループは確実に落下するよな。みたいな。
そんな管理で大丈夫なのか先生たちよ。

剣呑な雰囲気にもならず、三人は無事に救助。
助かったことによる感動が来い。

「みんな無事でよかったCー!いきなり目の前からいなくなるんだもん!!びっくりさせないでよー!」

「ジロー…そうそう、これだよね。遭難展開だとそう言った反応を起こすのが楽しいんだよね。」

ジローの言葉に感動した撫子。
なんだか気持ちがくすぶっている様だが…。

「撫子さん大丈夫か?」

「…マスター………私自身は大丈夫だよ。大丈夫なんだ。だがしかし、訴えてもいいかね。思いのたけを叫んでもいいかねッ!」

「あぁ、大体は予想できるぞ。どうぞ叫べ。」

「腐的な展開があると思った?残念ありませんでした!ド畜生!!!ほんっとあいつ等フラグの一つも立ててくれねぇの!!なんなの!?なんなの!?ちょっと腐的な展開を期待して真田と跡部のCPとかお初腐ヒヒwktkって思って考えて秘密裏に滾っていた私のな気持ちも考えろよバァカ!!!」

ノンブレスで言い切った。
それだけ悔しさ1000%と言う事だろう。

「ほう。」

「だってさ!だってさ!?遭難だよ!?そ・う・な・ん!!こう言った所で遭難するとか絶対に心細いわけじゃん!?だったらちょっとでも弱い面を見せて慰め合うとかそんな展開を私は所望してた訳!!そりゃぁさ、跡部には弱い面とか期待してなかったよ。せめてせめて互いに大丈夫か?とか心配のし合いでもしてほしかったのに!!いったいどういう事だ!!
ちゃんと私は空気を読んで二人とはかなり離れたところに居たんだよ!?木の影から家政婦は見た!状態になりながら二人をこっそり観察してたんだよ!?ボッチ乙とかちょっと悲しみながらさぁ!!私の心配すらこいつ等しないのね!!せめて女子だよ!?私女子!!どんなに腐っても女子ですから!腐、女子ですから!!せめて私が二人から離れたところに移動する素振りを見せたらどこに行くんだ?とか離れない方がいいとか優しい言葉をかけてこいよ!!お前らそんな気遣いも出来ないとか一生DTだクソがぁあ!!!私がちょっと乙ゲー的な展開も期待してみたよ!柄でも無かったよ!?二人の傍に座り直して『寒い』gkbrってしてたのにッ『そうか』とか『動き回っとけ』とかなんなの!?そこは温めあうところだろうがぁあ!!しかしよく考えたらこんな唯我独尊な奴らにそんな高等テクは無いよな!期待していた私ってホントバカ!!」

「…落ちたメンツが悪かったな。」

「ホントだよ!?同類、サブカルの話が出来る奴らと落ちたかった!!あの状況かとか絶対にテンションあがってたよ!?こんなパンピ男子と一緒に居るとか息詰まるっての!!なんにも面白くなかったわ!!せめてジローと岳人!天使を侍らせて救助を待ちたかったよ!?なんなのさ、なにこれ!?人事を尽くして天命がこれかよ!!酷いよ!神も仏も無いよ!!絶望したよ!!!!!…ふぅ……。」

「撫子さん、満足か?」

「…うん。大体は…。」

「で、本心は?」

「…めっっっっちゃ怖かったぁ………。
だってさだってさぁ…遭難だよ?いくら助かる確証があっても凄い心細いじゃん…ホント泣きそうだった…こいつ等ひたすら無言だし、私がアクションして会話して気を紛らわそうにも一言で止めるし。ホント怖かったよぉぉぉぉぉ…ッ!」

本当は年相応に怖がっていた撫子。
これが中学生的な反応だと思う。

「………弦一郎。とりあえず、謝れ。それでも日本男児か。女子を守ってこそだろう。」

「…うむ………椿崎、すまなかった……。」

「うむ、真田君が頭を下げてくれまでしたから許しちゃうよ。撫子ちゃん優しー!!!
でも次からは何かしらフラグ立ててね。大丈夫ちょっと誰かと会話してくれるだけでいいから。」

「…善処しよう。」

「やったねマスター。CPが増えるよ!」

「オイ馬鹿やめ……転んでもただでは済まないのだな。」

「当たり前だよ。だって腐ってますから!!」

[ 301/392 ]

[*prev] [next#]
[mark]
[mokuji]