青春デストロイ!? 第280話 ウィッグ、高いんだぞ!! しかも演劇部から借りてる奴なのに!氷帝なだけあってテラ高級品なんだぞ!! …さて、どうしたものか。 とりあえずこの不祥事を跡部達に知らせておこう。 「おい、クソ跡部!!出てこいコラァア!!」 男子の控え室のドアを乱暴に叩く。まるで取り立て屋だ。 「…アーン?なんだ?」 「控え室が荒らされて短髪のウィッグが全滅したよ。テメェのせいでな!!」 「俺様は関係ねぇだろ。」 「タスケテクレヨアトベサマー。 流石に地毛でスーツは厳しいんだよ。」 「…お前はこの程度の不祥事で慌てるのか?フン、弱いな。」 「なっ!?」 「お前の臨機応変の対応にはそれなりに評価をしていたつもりだが…見当違いもいいとこだったらしいな。」 跡部はそう撫子に言い残し静かに扉を閉めた。 「……んだよ…デレか?デレなのか?評価してたってデレ期か? だがしかし…テメェに評価されたくねぇよブァアアカ!!テメェのファンにやられたんだよボケがぁあ!!ファン位制御しとけやあほぶべぇええええ!!!!」 ぜってぇ負かす!!と撫子は意気込み自分の控え室へ。 どうするつもりなのだろう。 「さてさて準備が出来たようなので入場していただきましょう!順番にどうぞ!!」 順番に、と言われ出場メンバーがモデルの様に袖から中央に向かって歩き、中央からフロアに向かって延びているステージを歩く。そしてキメポーズ。それから一度退場。 まるでファッションショーである。 次々に決めて男子の最後が跡部。 歓声がすごい。 そして跡部と入れ替わりに入場する撫子。 跡部がすれ違い様に言い放つ。 「お前には滅亡したぜ。 まさかカツラすら被らず未完成のまま出てくるなんてな。」 そう、撫子の今の髪型は髪をポニテにしてないだけの地毛らしい。 被る物がないからって、開き直って来やがったのか。 「カツラじゃないウィッグだ。」 「どうでもいい事じゃねーか。」 「跡部、教えてやろう。」 「アーン?」 「俺に勝てるのは、俺だけだ。」 撫子は堂々とした言葉で跡部をあしらい中央まで歩いていった。 そしてポーズを決めるときにスーツのポケットからバタフライナイフを取り出して、自らの頭から腰下まであるそれをひっ掴み、根元から切った。 そしてパラパラと掴んでいたそれを落とし、挑発するかのような顔つきで格好良く決める。 所謂ドヤ顔である。 会場内は悲鳴に近い声があがる。 撫子はそれに満足して袖に戻る。 戻った先にはお馴染みメンバーが居たのだがそのお馴染みメンバーの顔も唖然としている。 「椿崎、お前っ!」 「宍戸、心配すんなよ?」 「やりやがったな?アーン?」 「やりやがったぜ?アーン? 跡部ぇ…私は負けねぇ。」 先程のウォーキングの集計をして今までの合計が出たようだから撫子達はステージへと呼ばれる。 「では審査結果からします! 審査結果…!?どッ同率で跡部君と椿崎さんが一位です!!」 「チッ!断髪式しても同率か!!」 「それから一般投票で圧倒的な票を得たのは三年H組の看板を持っていた青い髪の人!! って事でミスター氷帝は椿崎さん!椿崎撫子さんです!!」 体育館の中が沸く。 今年は去年と全く違い、ミスで滝がミスターで撫子が、性別逆転で優勝した。 実に異例である。 撫子は超キメ顔、超ドヤ顔を披露し跡部をしたり顔で見たのだがあまり悔しくなさそうだ。 「なんだよ跡部、悔しくねぇのかよ。」 「フン…テメェが髪を切ってまで参加したんだ。その行動力に脱帽だぜ。」 「そりゃどーも。」 撫子はインタビューを求められそれ相応の丁寧な態度を示してからミスターコンテストの終結である。 「あー終わった終わった………………って、これどういう状況?」 「あ、撫子さーん!」 氷帝の文化祭に遊びに来ていた撫子と関わりのある他校生が女子控え室の前にいたのだ。 「あぁ、椿崎さんお疲れ。君はやってくれると信じてたよ。」 「あ…はい、どもです精市君…。」 「撫子さん、その髪にならざるおえへん理由コイツ等から聞いたわ。」 白石の視線の先には三人の女子が正座をしていた。 きっと犯人だ。 「どうして特定できたし…。」 [mark] [mokuji] |