青春デストロイ!? | ナノ





青春デストロイ!? 第178話


「おい、椿崎。テメェに小包だ。」

ホテルに届いた撫子宛の小包。
伝票を見てみると、『byチョココロネ』とあった。

「oh…ジーザス。」

そう言えば、家に居なくて、ここに滞在すると言うことを木手にメールで伝えていた。
まさか、律儀に宿泊先に届くようにしてくれるとは…。

「撫子なんだよそれ。」

「岳人…これはね、命を張って着るべき物なのさ。」

「……そうか。」

遠い目で見つめながら言うと空気を読んでそれ以上は突っ込んでこなかった。

それから簡単に昼食を済ませ、ユニフォームに着替えてテニスコートへ移動。

みんなが着替える中、気配を消して観察しようと意気込んでいたが、跡部に気づかれ連れ出された。
仕方なく撫子も氷帝ジャージに着替える。

「っと、オートロックだから鍵は持って行かないとね。」



そして、やっとテニスコートに移動。

「なんでスコートやないねん!!」

「その台詞前にも聞いたことあるぞ。」

撫子の姿は長袖、長ズボン。
さらには帽子まで被っている。

「せやけど撫子さん。それは着込みすぎやないですか?」

撫子のスコート姿を期待していた財前が絶望まっしぐらな表情で聞いた。

「やー…だって、明日仁王と合わせする予定だし…日焼けはちょっとねー。
ほら、仁王だってこんなクソ暑い中私と同じ格好してるよ。」

撫子は仁王を指差した。
確かに長袖、長ズボンだ。しかし今にもぶっ倒れそうなほどフラフラしてる。

「………仁王ー!ドリンク飲めー。」

「おー…。」

力無く返事。

「……コスプレって体はるんすね。」

「キャラの幻想を壊さないようにするためにはこうするしかないんだ。色白設定のキャラなのに色黒かったりしたらいやじゃん?」

「あー!だから撫子ってどんなに暑くてもジャージ脱がなかったんだね!!日焼けを気にしてたんだC?」

会話にジローが乱入。

「そうそう、日焼けはどうしてもね。防がなきゃ。」

「でもよー、撫子って俺らには半袖半ズボンになれってしつこく言ってきたよなー。俺らの腹見てぇんだっけ?」

氷帝一のミニマム、岳人も来た。

「ちょ、目の前に広がる桃源郷。
でも、一つ訂正させて…私は腹チラが見たいだけであって腹が見たいわけじゃねぇ!!」

「「………。」」

「オイ、お前ら試合するならしろ。しないならホテルに戻れ。」

「跡部よ…今は部活中じゃないからいいじゃんかよ。」

「いや、どうだろう。せっかくこの最高級の設備で試合が出来るんだ。時間は有意義に使った方がいい。」

「…手塚君がそう言うなら。」

「おいコラ、それはどういうことだ。」

撫子は幸村を探すためにその場を離れた。

「幸村ーくーん、ゆーきーむーらーくーんはどこだーい。」

キョロキョロと姿を探すが見当たらない。

「撫子さん、少し良いか?」

柳が話しかけてきた。

「はいはい?」

「精市は少し遅れてくるそうだ。
初めて氷帝の滝や青学の不二と出会って話をしたらしい。思いのほか会話に花が咲いて、打ち切りはしたくないからだそうだ。」

「…りょーかい。だったら私はみんなを観察しておくよ。こんな機会滅多にないことだから。」

「あぁ、是非そうしてくれ。」

「流石マスター、話が分かるぅ!!」

堂々と観察すると伝えたから邪魔をする人は柳がどうにかしてくれるだろう。
柳だって萌え優先な人物であるという事をお忘れなく。

それから約1時間。ずーっと、ジーッと観察。

入れ替わり立ち替わりで打つ相手を効率よく替えているみんなGJ!!

「撫子さん、少し一緒に打ちませんか?」

リョーマがおずおずと話しかけてきた。

「…………あ、リョーマではないか。ラリーするのかい?いいよ。こんなド素人な私でも良いなら。」

「ヤッタっ!!」

コートに入ってリョーマを見た。
そしてボールが打たれる。

ポーンと言う平和的音が響く。

「撫子さん、うまいっすね!!」

「えー、そう?まぁ、昔やってたからねー。」

「なんで辞めたんすか!!もったいない!」

「……人間関係のもつれで…ね!」

少々打つ球に力がこもってしまった。

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