青春デストロイ!? | ナノ





青春デストロイ!? 第157話


「……………………お疲れ、」

撫子は下を向いてしまった日吉に言葉をかけた。

「はい……っ。」

跡部や忍足も日吉の周りへと集まってきた。

終わった。


簡単な言葉だけど、三年にとってはとても重い言葉。
最後の大きな大会で上へと進むことが出来なくなった。

考えるだけで苦しくなる。
撫子自身戦ったわけではないけど、悔しさが伝わってくるような…そんな感じ。

他のみんなの表情が読み取れない。
確かなことを言えばみんな、悔しいんだろうね。


――帝、氷帝氷帝氷帝氷帝氷帝氷帝―――――

氷帝コールが響く。
いつもなら俺様オーラを放ちながら指を鳴らしコールを止める跡部だが、今回は静寂を求めるかのように静かにコールを止めた。

それぞれバックを背負い、コートを離れる。

途中青学のメンツと視線がいくらか合う。
悔しいからと言って睨みつけてはダメだろう、不快な思いはさせてはダメだろうと思い、苦笑いをしながら手を軽く振った。

桃城だけはザマァwwと言いたげな表情で撫子を見ていた。

……お前…鬼畜属性相手の総右側な。
しかも複数。

長い休みが始まったが、氷帝テニス部の栄光への道は終わった。


会場を後にする。


「あ…跡部。」

そう言えば言わなくちゃならないことがあったんだ。

「なんだ?」

「私、岡山に一回帰省するよ。」

「今、言うべきことなのか?」

少々の怒りを感じた。

「KYかもしれないけど、伝えなきゃいけないことでしょ?」

「…勝手にしろ。」

「……跡部…さっきから殺気立ってますけど、それを私にぶつけるのは止めてほしいな。」

「アーン?マネージャーだったら精神的なケアもするんじゃねーのかよ。」

「しますさ、…けど今のあんたのは単なる八つ当たりだ。
跡部はあの手塚とやりあって勝ったんだ。
君は誇りに思うべきだろ。」

「だがな!!負けたんだよ、氷帝はッ青学に!!
なんで責めない!!お前も、テメェ等も、
クジで青学と当たるようにしてしまった俺をよ!!」

跡部は青学と一回戦で当たったことを自分のせいだと感じているらしい。

「跡部…君を責めたからって全国に行けるの?
行けないよね。
それにクジで決めたのにどうやって跡部を責められる。インサイト使いながらクジを引いたとなると責めるが…そんな事無いでしょ。
責められて、あんたが謝って?
それって逃げじゃないの?」

「…ッ。」

「あんたの今の言い分は勝手すぎる。
君だけが青学に負けて悔しいんじゃない。
むしろあんたより日吉や忍足、岳人、ジローの傷の方が深いはずだ。」

「黙れッ…!!」

「…あーそーですか、黙りますよ。」

「お前の顔なんて見たくねぇ、…失せろ、岡山でもどこでも行けばいいじゃねーか。」

「もち、そうしますよ。
さいならヘナチョコキング。
あぁ、もうマネージャー引退してもいいよね?試合無いし、私三年だし。」

跡部以外のメンツが何か言いたげな顔をしていたが撫子は気にもせず家路についた。


実は前々から帰省の準備はしていたから帰った瞬間にその荷物を掴んで駅へと向かう。
そのまま岡山行きの新幹線に乗り込んだ。

数時間後には懐かしの我が家に着く。

「…………ハァァアアア…。」

空いている席を見つけ、座り。
長いため息をついた。

「私ってホント、バカ……。」


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