青春デストロイ!? | ナノ





青春デストロイ!? 第153話


また数日、
撫子がドリンクを作ってコートに行くと汗だくで意気消沈した滝の姿があった。

「え、ちょ…滝!?」

ドリンクを放りだし滝に駆け寄る。
どうしたの?と聞いても反応がない。

すると近くにいた岳人が教えてくれた。

「宍戸が…来て、滝をさ……倒したんだよ。
そしたら監督が滝の替わりにレギュラーに入れたのは日吉でさ…今、納得がいかないからって追いかけていった…。」

岳人も動揺しているのだろう。
たどたどしい口調で言った。

「監督ー!?
酷くね!?それ酷くね!?だって滝様を倒したのって宍戸なのに!!
あ、日吉おめでとう。」

「はい、でも不本意です。」

「ですよねー!!
ちょっと私も直談判行ってくるよ!!」

駆けだして宍戸と監督、そして鳳を発見。

あっ!?
宍戸が土下座!?
男らしい!!

「ってギャァアァアアア!?」

撫子が見たもの…それは、
宍戸が乱暴に自分のキューティクル満天の自慢の髪の毛を根元からバッサリと切り落とした所。

「なっ…椿崎!?」

突然現れた撫子に驚いている宍戸。

「たかが私が登場しただけでビビってんじゃねーよ!!
私の方がビビってるよ!!なんで髪の毛無いの!?」

「無くなってねーよ!!」

「監督!どういう事ですか!?」

「撫子君…マネージャーならば監督の私に意見は述べないでほしいものだな。」

黙れよド鬼畜教師のヅラ野郎が、

「監督…では一介の生徒として言わせていただきます。
監督の実力主義は素晴らしいと思います。敗者は切り捨て、
氷帝のように200人も部員が居るならとても効率がいいです。
確かに宍戸…君は一度負けました。
ですが今回滝君に勝ちました。なのに日吉君をレギュラーに入れた。
おかしくないですか?何故替わりに日吉君を入れたのですか?日吉君も言っていました。レギュラーになれたのは嬉しいが複雑だと。
監督…それに宍戸はシングルではなくダブル――」

「もう良い…流石撫子君だ。私が見込んだことはある。
宍戸、二度目はないぞ。」

行ってよし、
自己完結をして榊は去っていった。

勝手に納得して行くくんじゃねー!!
とりあえず宍戸はレギュラー復帰って事でいいんですよね。

「え…っと……宍戸、レギュラー復帰おめでとー。」

「お…おぉ……椿崎…お前、猫被りすげぇな…。」

そう言えば対先生用キャラは見せるのは初めてだったか。

「当あたり前じゃん、私先生の前ではいい子ちゃん設定だもん。
…ハッ!?そうだ、なんで切っちゃったのよ!!髪の毛!!あんなにキューティクル抜群なあああ!!」

「んで椿崎がそんなにショック受けてんだよ。
切ったもんはしょうがねーだろ。」

自慢の髪だったのにすでに割り切っている。

「うあああ!!私まだ宍戸の髪で遊んでなかったのに!!ツインテールしてリボン付けて、ついでにメイクして遊んでなかったのに!!」

「は?」

「ウワーッ!!監督め…ちょっと復讐してくるよ。
手始めに髪の毛をバリカンで剃ってやる。」

くっくっくっ、
喉を鳴らす。
手をワキワキさせながらの笑みは少し怖い。

「…止めろって、オラ部活戻れってマネージャーの仕事放って来たんだろ?」

「あ、うん……そだ、これは教えといてあげるよ。」

「なんだ?」

「滝様…相当ショック受けてたからね。呪いの一つや二つ覚悟しといた方が良いよ。」

宍戸の表情がピシィッと固まる。

「じゃ……ガンバ。」

助けてあげたいけど…私も自分の身が可愛いんでね。
それよりもなんで宍戸は滝をチョイスしたんだ…一番敵にまわしちゃいけないお人なのに…そうか、宍戸はドMか、ドMなんだな。

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