青春デストロイ!? | ナノ





青春デストロイ!? 第140話


ヒョイっ

撫子が受け取ろうとしたら不二は手を引っ込めた。

「………………。」

無言で見つめること数秒。

「別に僕は撫子さんが氷帝のテニス部マネージャーだってバレても困らないし、
それよりももっとイジメてみたいな?」

「ああああ!!こんな美人さんにイジメられたら興奮するじゃない!!
…じゃない!!私はバレるわけにはいかないの!!」

「ふーん…なんで?」

「それは――」「撫子さん!!」

呼ばれ後ろを振り返ってみれば顔を押さえながらこちらに走ってくる手塚の姿が。

「ギャーッ!!お願い、帰らせてー!!」

「えー…まぁ、良いけど。理由は滝君から聞いてるし。」

「オイ。…っと。」

不二からデータが投げ渡される。

「ほら行っていいよ、フォローは僕がしとくから。滝君に頼まれてるし。」

「!?ありがとう!!周助君も滝も愛してる!!
じゃ!!」

「次来るときは撫子さんとして遊びに来てね。」

「了解であります!!」

走り出した。
真っ直ぐ門まで目指す。


門から出て家に直行。
いつもよりも早い時間に帰ることが出来た。

「っあー……怖かった。
まさか舞長さんが手塚君だったとわね…豹変っぷりがテラ恐ろしす。
よし、ついでに舞長さんの今までの動画もっかい見てみよう。」

パソコンを立ち上げ、笑顔動画にログイン。

見ればすでに先ほど撫子が飛び入り参加した動画が上がっていた。

「……………どうしよう…あのクソ真面目な面をした手塚君がこんなダンス踊ってたらもう…私…腹筋が死ぬ。
つかあんなにイケメンなら素顔晒せばいいのに…。」

一通り見終わって続いては跡部に提出する用の青学テニス部の偵察記録をワードで作成。





「はいこれ、跡部あげる。」

昼休み、優雅に紅茶を飲みながら生徒会の仕事に精を出している跡部の目の前にドサッと置かれた紙の山。

「なんだ?これは…。」

「は?昨日私偵察行ったじゃん。それの記録だよ。
ジェバンニが一晩でやってくれました。」

ペラペラと記録をめくっていく跡部。

「………………。」

「始めの九枚がレギュラーたちの特徴や癖、あと性格が書いてある。
角刈り君だけ名前が分からなかったけど跡部なら分かるよね。
後のページはダブルスになりうるペアの俺考察。
ゴールデンペアだけじゃ団体戦には参加できないから青学は試行錯誤の奇々怪々なペアを組んでくると思う。」

「…………やれば…出来るじゃねーかよ椿崎の癖に。」

「私をバカにしないでよ。私はやるときはやる女だから、
じゃ、あと印刷とかはよろしくー。」

撫子は一仕事終えた後の軽い足取りで教室へと帰って行った。

記録を睨みつける跡部。

「オイ樺地。」

「ウス。」

「お前、これ一晩で出来るか?」

「……一日、かかるかもしれません…。」

「だよな…まぁいい樺地コピーだ。部員全員分。」

「ウス。」

準レギュラーだけでなく部員全員に配るよう指示をした。
それだけ準レギュラーだけに配るようなクォリティーではなく。レギュラーにも渡せるぐらいの高クォリティーの物だったという事だ。

「次は…都大会か……あいつらと平達が当たるとおもしろいんだがな。」

「ウス。」

ピリリリリリ…。

「すみません…。」

あの電子音は樺地の物だったようだ。

「構わねぇ。」

跡部の了解が出たので樺地は電話をとる。

会話が終了し跡部の方を向く。

「跡部さん…ユニフォームが出来たみたいです。」

「…そうか、良いタイミングだな。」

「ウス。」

「都大会までに間に合って良かったぜ。今日椿崎に渡す。部室に持って行っとけ。」

「うす。」

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