青春デストロイ!? 第139話 さて…どうしよう。 舞長さんが踊りながらこっち見てるー。あっち向いてると思ったらこっち見てるー。 その馬のマスク、…怖いね。 でも踊るのは止めないんだ。その踊り手精神、素晴らしいよ。 だったら私だって踊り手精神を見せてやるぜ!! 撫子は扉をしっかりと押し開け部室内に、そして再び扉を閉める。 今回マスクを持っていないためずっと下を向いておくことにしよう。 音楽に合わせてダンスする。 やらないか…いつかネタとして踊ろうと思って練習しておいて良かった。 舞長さんは驚きながらも乱入してきた撫子を追い出すこともせず逆に画面の端により撫子をカメラ内にログインさせた。 流れるコメ達「あなたは…撫子様!?」「舞長さんと撫子さんってリア友だったんだ」「こんな事でこんなネ申達のコラボが見れるなんて思ってもみかった」「神回」 と、 無事に一曲が済み、生放送も終了。 一瞬静かな空気が流れる。 どう話を切り出すべきか、 とりあえず、メガネ馬のマスクの下の顔が気になりますね。 誰ですか? 「…………あの…舞長さん…ですよね?」 「…あぁ、」 「…マスク、外してもらっても良いですか?」 「……………あぁ、」 舞長は恐る恐るといった表現が適当の手つきでマスクを外す。 そこに現れ出るは手塚の顔、なんとも気まずそうな顔である。 「ててて、て手塚君!?」 「…あぁ、アナタは…あの撫子さんでしたか。」 「はぁ…よく分かりましたね、今ウィッグとかで変装してるのに。」 「簡単だ、踊り方に特徴がある。長身をいかしたダイナミックな動きの中に繊細な動き。閲覧者もすぐ分かっていた。」 「あー…確かに。コメントでそんなの流れてたね。」 「しかし、撫子さんは…今年の春に東京の学校に通っているはずだが…。」 「!?アハ…アハハハハハ…手塚君ありがとう!!私のコメント欄もちゃんと見てくれてるんだね!!ものすっごく光栄だよ!!」 「話をそらすな話を。」 「………そのですね…アハ、 あ、周助君の鞄はどれ?」 「……それだが?」 手塚が不二の鞄を指差した。 撫子はその位置を確認した後、手塚の両手をソッと握りしめた。 「私、舞長さんに出会えてホンット嬉しかった!! さようなら!!」 撫子はその場を駆け出した。 もちろん不二の鞄を引っ掴かんで、 乱暴に扉も開いた。 「な、待て!!」 手塚も慌てて後を追いかける。 扉の向こうで撫子がドアノブを掴んだまま手塚を見つめていた。 「手塚君、ホンットゴメン!!」 手塚が丁度扉から出ようとしたときに撫子は力一杯閉めた。 つまり手塚は扉に顔面からダイブした形になる。 当分うずくまっておくしかないだろう。 この隙に撫子は青学から逃亡しようとする。 とりあえず、不二のもとに行って写真のデータを出してもらおう。 「しし周助君!! この中にあるデータってどれ!?」 足踏みをしながら聞く。 「あれ?撫子さんどうしてそんなに慌ててるの?」 「手塚君にバレた!!私が親戚じゃないって!!」 「…へー、バレちゃったんだ。」 少々黒いオーラを感じつつも今はそれどころではない。 「そう!!でもね、私も手塚君の秘密知ったからドローね!!」 「秘密?」 「後でメールで教えるから、今はデータ!!」 「…ま、いいよ。ハイこれ。」 ゴソゴソと鞄の中を漁りデータを取り出す。 「ありがとう!!」 [mark] [mokuji] |