青春デストロイ!? | ナノ





青春デストロイ!? 第138話


「しっかし…さすが地区大会優勝校。」

レベル高。

「よく、知っているな。」

後ろから声がした。
振り返るとセルフ逆光眼鏡が立っていた。

…誰だろう。

「あの…さb周助君のお友達?」

「あぁ、三年の乾貞治だ。
あなたは…データによると不二の親戚の椿崎撫子さん。岡山から只今遊びに来ている。」

「……。」

データによるってマスターみたいな奴だな。
それよりドヤ顔を止めてはくれないだろうか、間違っているデータを言ってドヤるのはマジ勘弁。

「たまたま遊びに来ているのに何故優勝校だと?」

はい、普通に氷帝テニス部内では常識です。

とは言えない。

「周助君…からさっき聞きましたけど。」

「……そうか。」

「ねぇ、二人とも楽しそうだね。」

今後はフェンスの向こう側から声がする。

「し周助君じゃない…どうしたの?」

あれ?さっきまで向こうの木の陰に居たと思ったんだけどな。
うん、でも常識は通じないって分かってる。

「ねぇ撫子さん。あれ、部室の僕の鞄の中に入ってるからさ、取ってきてくれない?」

「…あれ?」

「そうあれ。」

………なんだ?
あれって……ドリンクでもタオルでも無さそうな。

あ、もしかして写真のデータかな!?

「あぁ、あれ?」

「そうだよ。」

うん、読心術って便利ー。
しかし、乾君が居る前で話をふらなくてもいい気がするのは私だけじゃないはず。

「分かった。じゃ取ってくるね?」

「うん、よろしく。」

撫子は二人のもとから離れ部室へと向かう。

「…しかし、人様の部室に入るのは気が引けるなぁ……しかも鞄を漁るなんて…でもまぁ許可は貰ってるし。
いざ特攻!!」

部室のドアに手をかける。

♪〜♪〜〜♪〜♪♪

「ん?」

部室から音楽が聞こえる…。
ドアに耳を近づけ、耳を澄まして聞いてみる。



「!!?」

こ、これは『バラライカ』!?
嘘!?なんで!?

誰が、え?

少しだけドアを開けて中を覗いてみる。

「!!?舞長さん!?」

『舞長』とは笑顔生放送で神出鬼没のユーザーである。
主なタイトルは「【部活中だけど誰も居ない部室で】○○踊ってみた【舞長】」

生で、部活中で、誰が来るかも分からないというハラハラ感で人気だ。
後、顔バレ対策で眼鏡をつけた馬のマスクを被っている。

うpはだいたい放課後の時間な為撫子は最近リアルタイムではチェック出来でいなかった。

「うおー!!『バラライカ PV いさじ with 阿部ダンサーズ 』(舞長ver)の生ダンス!!やた、久し振りに見れた舞長さんの姿が生!!」

その舞長が扉を背に踊っている。

舞長を撮しているカメラはパソコンに繋がっており撮影真っ最中。

つまりは、撫子が少し扉を開けたところもばっちりと映っている。

コメが流れる「舞長ー、後ろー!!」「扉が…開いただと!?」「何!?舞長さんの仲間か!?」「え、これヤラセ?」

と、流れるコメをふと見た手塚。
振り返る。
しかしダンスは止めない。

どうすることも出来ない撫子は固まった。

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