青春デストロイ!? | ナノ





青春デストロイ!? 第121話


「撫子さん…。」

「ん?なんだい赤也君。」

「巻き込んですんませんっした。」

「おっきい姉ちゃん、ホンマごめんなさい。」

眉をハの字、正座のしびれで涙目。

「はわわわわわっ…そんなッいじめたくなるような顔でこっち見ないでよ!!」

「なぁんや、椿崎さんってホンマはそんなキャラやったんやな。」

白石が良かったぁという晴れやかな顔をした。

「あ…騙してたようでごめんね?
私そんな暗い過去なんて持ってないんだ。」

いじめはあったけど。

「かまへんよ。そりゃあ流石に騙されとったらカチンってきたけどネタになったし結果オーライや。」

「…あ!!し、白石君!!ちょっと来て!!」

ちょいちょいと手招きをして白石を呼ぶ。
そして近付いてきた白石だけに聞こえるように話す。

「ねぇ、白石君って…ホワイトストーンさん?」

「………そりぁ、白石って英語で言ったらそれになるわなぁ。」

なぜ誤魔化す必要があるし。

「…通称エクスタさん。妄想したもん勝ちや、スモールスプリングwithカッパ……。」

「何で知っとんのや!?」

あからさまにあたふたとする。
いや、さっき百合とかBLって叫んでただろ。
今更照れるなよ。

「私撫子です…けど、知ってますかね?
最近一次創作のジャンルを鬼畜からほのぼのにジャンル変更した…って分かりませんよねぇ。」

「!?ホンマなんそれ!?
椿崎さんってあの撫子さんか!?
親に誓って教師に誓って大仏に誓ってキリストに誓ってアッラーに誓って月に誓って撫子さん!?」

「親に誓って教師に誓って大仏に誓ってキリストに誓ってアッラーに誓って月に誓ってその他諸々に誓って撫子です。」

「っわー!!会えてものごっつ嬉しいわ!!俺ファンやねん、信者つっても過言ではないでぇ、毎日ストーカーしとるもん。
ちゃんと毎日拍手しとるし、メールはおこがましゅうて送ったことあらへんけど…。」

「こちらこそ!!私もあなたのファンです!!
書く作品がほのぼのだろうとシリアスだろうと甘だろうとギャグだろうと死ネタだろうとすべて見てます!!
そして百合だって見てやりすよ!!それがエクスタさんの作品ならば!!」

「「会えて良かったぁ!!」」

「せや、明日も俺ら東京で観光する予定なんや。良かったら案内してくれへん?」

「いいですよ!!とっておきの聖地に連れて行ってあげますよ!!メアド教えてください!!」

「うわぁ、めっちゃ楽しみやわ。」

メールアドレスを交換する二人。

「それなら俺も行きます。」

正座している財前が話に入ってきた。
白石と撫子が二人で遊ぶと言うことが気に入らなかったようだ。

「お、財前さ…君も来るかい?」

「光。」

「ん?」

「光って呼んで下さい。」

「!?光君!!」

「ハイ!!」

「シャイニングフェイス!!」

顔を両手で隠しのけぞる。

「撫子さん、俺も下の名前で読んでや。」

「えー…っとなんだったっけ?」

「蔵ノ介や。」

「……長いね…かみそう…。」

「なんかすまん…。」

「うん、蔵さんって呼ぶよ。助さん格さんみたいな?」

「時代劇っぽいな…蔵さんなんて初めて呼ばれるわ。」

「そうなんだ…何事にも経験が必要だよ。」

「ねぇ…君たち、僕を空気にするなんて良い度胸だね。」

幸村が腹いせに、と赤也の足をグリグリグリグリといたぶっている。

「ギャーッ!?
ぶ、部長!!止めて下さい、止めて下さいぃ!!
ホントなんなんすか!?腹いせにこんな、っギャー!!痛い痛いぃいぃいい!!」

叫ぶ赤也。
隣で顔を青くする金太郎。
撫子とのデートに心を踊らせる財前。

正座させられていても反応は全く違う。

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