青春デストロイ!? | ナノ





青春デストロイ!? 第112話


「はい、遠山君。」

「遠山君なんて呼ばんといてや、なんかくすぐったいわぁ。」

「じゃー…金ちゃん?」

「おん、それでええで!!」

百万ドルの笑顔フォーユー。

グッ…か、かぁいい!!かぁいいよぉ!!
おん持ち帰りぃいぃいい!!
耐えてぇ!!お願い私の理性ぃいぃぃ!!

プルプルと欲望に耐えながらドリンクを金太郎以外に配り始める。

「ッ…………ん?」

すべての人に行き渡ったはずなのに撫子の手元には一つだけ余った。

「一本余ったけど…誰か貰ってないの誰……?」

「あぁ、それは光(ひかる)のや。」

「光(ひかる)?」

「(ゲッ)…。」

謙也の顔が凍る。

「あぁ、椿崎さん。それは二年の財前光(ひかる)のや。」

「財前さんの親戚?」

「せや!!光(ひかる)と光(ひかり)はいとこなんや!!」

「へー、親戚どうしで…。今日は来てないの?」

嘘!?あの美人遺伝子を持ってる男子が居んの!?是非ともお目にかかりたい!!

「いや…体調悪いって言って今は…休んどる。」

「それはお気の毒に……もしかしてその財前君が赤也君と言い争ったって言う?」

「…せや。」

「そう…。」

そいつか!?私がこんな目にあったきっかけを作ったのは!!どんな奴か面見てやろうと思ったのに。

「…財前君って財前さんのことが好きなのね。
マネージャー自慢であんなに褒めるんですもの。」

ヤバいて、ヤバいて!!美男美女カップルっすか!?
うはー!!禁断の愛!?
いや、いとこなら四親等だからセーフだ。
しかも同じ部活で部員とマネージャーってどんだけフラグたててんの!?

「ハ…ハハハハ……。」(あり得へんあり得へん、ナルシストなんか財前は。)

「でも居なくて良かった。財前さんが体調が悪いって知ったら練習どころではないものね。」

「せやなぁ…。」(んなわけあらへん、財前やったらほっとくわ。)

「財前さんは財前君が居てくれた方が良かったかもね。」

「なんでや?」

「だって私が背負って部室まで連れて行ったの。
財前さんはきっと財前君に運んで貰いたかったと思うわ?」

ヤバい…妄想が…妄想が止まらない。
誰か止めてー!!

「ブハァ!!」

と吹き出したのは謙也。

「どうしたの?忍足君。」

「おま、光(ひかり)を背負ったんか!?」(光ドンマイや!!女子に背負われるってどんだけ惨めっちゅー話や。)

「えぇ、何か問題でもあった?」

「いや、あらへん…クッあらへんよ…。」

この忍足って人も財前さんの事が好きだったのか!?
あー…だからいきなり背負ったって言ったから反応したのか…。
おんぶも男のロマンだよね。

わりぃな、俺が運んじまったぜ!!

「椿崎さん、ドリンクありがとな。」

いきなり白石がお礼を言ってきた。
時計を見てみるともう休憩時間は終わっていた。

「長々とお喋りしてごめんなさいね?
では失礼。」

撫子の去っていく背中を見つめる。

「なぁ謙也…あんなに礼儀正しい子がいじめにあってたなんて不思議やなぁ…。」

「せや…プッなぁ…。」

謙也は未だに財前背負っちゃったのよ事件につぼっていた。

[ 113/392 ]

[*prev] [next#]
[mark]
[mokuji]