ヘタリアの世界からやってきた 「ねぇ、撫子。」 「だが断る。」 滝に名前を呼ばれ撫子は反射的に拒否権を発動した。 「まだ何も言ってないよ。」 「何となく分かるから拒否るんだよ!!何なんだよ!その妙に良い笑顔!!何なんだよ!滝の後ろにあるうっすらぼんやりと輝く魔法陣は!! どうせあれだろ!?これから逆トリップしてくる誰かの世話しろとかそんなんだろ!?」 「撫子のくせに鋭いね。 まぁ、拒否権なんて認めないからよろしく。あ、粗相の無いようにね。」 「ド畜生!!」 拒否権が通る方が可能性として低いと予想していたが、却下されて悔しいものは悔しいのであらる。 滝は軽々よろしくと言い放ち、撫子を一人魔法陣の前に残して去っていった。 「…だーれが来るのかな。 ッ!?グハァア!?目がっ目ぐぁああああ!!」 ぼーっと魔法陣を眺めていたら閃光弾の様に突然目潰しには十分すぎる光が発せられた。 ムスカ状態である。 「っ…ここは……どこだ?」 「…学校、っぽい施設ですけど…。」 「杉山さんと高橋さんの声がする…ッ?」 目がまだ復活する兆しを見せず、撫子は聞こえてくる声だけを頼りに人物を推測。 二人が共演する作品ってあったっけ? 「おい、日本。コイツ日本人じゃね?」 「そう…みたいですね。」 「日本!?ってことはもう一人はイギリスか!!」 謎はすべて解けた! ヘタリアの日本とイギリスだ!杉山さんと高橋さん、そう言えばそうだ。 撫子は叫んだ。 「え!?お前、俺のこと知ってんのか!?」 「し、知ってますよ!グレートブリテン及び北部アイルランド連合王国!!の国様!ブリ天、パブリ天、けしからん…!!」 「なんでそこまで知ってんだよ!!フランスでも知らねーこと言ったぞ!?」 「それは私が君を好きだからだよ!!」 「なッ!?淑女が簡単に好きだとか言ってんじゃねーよ!バカァ!!」 「リアルバカ頂きましたあざーす!!」 「まぁまぁ、二人とも落ち着いて下さい。 今はどうして私達がここに現れたか、その謎を解くのが先決です。」 「日本がそう言うなら…。」 「祖国様素敵!まぁ、原因と言ったらうちの滝様が元凶…多分、何かしらしたら帰れると……。」 ことの発端は滝様の召喚術。 何かしらの指令があるからそれを遂行すれば…。 と、いつもポケットに入っている指令書を探して、見つけて、つんだ。 「文字が読めねぇ…。」 と言うかさっき食らったバルスでいまだに視界が霞んでいる。 四苦八苦していたら指令書が手の中から無くなっていた。 どうやらとられたらしい。 「えっと…私が満足いくまでこの世界を堪能…だそうです。私だけ、ですか。」 「え、イギリスさんはシカト?」 「まぁ、一人が満足する方が難易度は低いだろう。 …日本って何をしたら満足なんだ?」 「爺としては別世界へ来たと言うことだけで満足しているのですが…。」 しかし帰れていないことを考えると満足していないのだろう。 「祖国ー!謙虚すぐるぅう!!」 「けど日本。何か満足しないと帰れねぇぞ?」 「そう…ですね。 では貴女の友達を紹介して下さい。」 それで私は満足です。と微笑む日本。 「…へ?そんなんで満足するんですか?」 「はい。国民の友好関係を見ることは私にとってとても嬉しいことですので。」 「ふあい!!精一杯紹介させていただきます! とりあえず、…おすぃたるぃいいいい!!!出てこいやぁあ!!」 目が霞むと言うことでパシり兼、案内役としてパシりを腹の奥底から叫んで呼び出した。 「なんやねん。自分、めっちゃ声通るんやからもうちょいちっちゃい声で呼べや。」 気だるそうな、嫌そうな表情をしながらパシ…忍足が登場。 「え?だって聞こえへんかった(笑)って言われて逃げられたら嫌じゃん。」 「…せやな。 ってイギリスと日本やん。なんや逆トリップか。」 「そうそう。 で、今私バルス食らって目見え無いから案内頼む。」 某蛇姫様を彷彿とさせる態度である。 「それが人にものを頼む態度か。」 「これが忍足にものを頼む態度だ。」 「……さよか。 はぁ…まぁ、日本にイギリス。俺は忍足侑士や。よろしゅう。」 「あ、ちなみに私は椿崎撫子でっす!」 「なんや、名乗ってなかったんか。」 「タイミング逃してな。 …って日本さん?」 忍足を召喚してから日本の反応がない。 と言うより、硬直している。 あれか。予想以上に忍足があれだったのか。ショッキングだったのか。 「ここはテニプリの世界なんですかぁああ!?」 「日本さんが喋ったぁあ!!つーか叫んだぁああああ!!」 「イ、イギリスさんどうしましょう!私今とても興奮しています!!」 「見るからにな!」 「おおお忍足さん!!攻めるん遅いわ。って良い声で言って下さい!!」 先程までの落ち着いた態度の日本はどこに行ったのか。 ここにはテンションがただただ高い童顔爺が居るのであった。 「忍足!日本さんのご所望だぜ!言えや、ええ声でな。」 「…攻めるん遅いわ。」 「きゃあああ!イギリスさん聞きました!?聞きました!?」 「あぁ…聞こえた聞こえた。」 「はぁあ!夢のよう…椿崎さん。私は後、跡部様に俺様の美技に酔いなって言われたら全てにおいて満足します…っ!」 「よっしゃ!忍足、跡部んとこ連れてけ。」 絶対にそれは願望だろう。 それを叶えることが出来たらきっと帰れる。 と言うわけで忍足は撫子の手を引きながら日本とイギリスを跡部の所へと連れて行った。 「跡部ぇえぇえぇえぇえ!!」 「アーン?なんだ。無駄にビブラートかけてんじゃねーよ。」 「その場のテンションとノリ。 ささ、日本さん。これが跡部景吾ですよ!」 「生アーン…!べっさまボイスナイスです!!」 「ねー、跡部ー、俺様の美技に酔いなって言ってー。」 「…断る。」 「ドケチ。」 「撫子、こう言うときはあれやろ。」 「えー…あれかー。まぁ、祖国の為なら仕方ない。ほいせーの。」 「「「氷帝氷帝氷帝氷帝氷帝氷帝氷帝氷帝氷帝氷帝氷帝――――…。」」」 パチーン。 「俺様の美技に酔いな!」 「あれ、一人多くなかった?」 「日本さんがノリノリで言いよったでー。」 「うぁああ!うわぁあああ!!ああああああ!!あり、ありがとうございます跡部様ぁあ!!」 「こんな日本…初めて見た…。」 「イギリスさん!最高です!!もう大満足です!!」 「あぁ、これで帰れるな。」 「はい!…あ、滝萩之介さん!」 日本が満足と言って帰る体勢万全なとき、滝が再登場した。 「どうもです。 イギリスさん、良かったですね。」 「滝黙ってろバカァ!!」 イギリスが最後そう叫んだら二人の姿は消えた。 元の世界に帰ったのだろう。 「…何?滝様お知り合い?」 今のやりとり絶対知り合いだ。 撫子は確信を持ちながら滝に質問した。 「うん、ちょっと黒魔術繋がりでね。 彼が日本さんを喜ばせたいって言ってたから協力したんだ。」 「滝様優しいね!その優しさをちょっとだけプリーズ!!」 「断るよ。」 ――――――― 500000hit企画第60弾 鈴紋様リクエスト「青春シリーズ/ヘタリアのキャラが逆トリ」でした。 祖国がオタク設定になってしまって申し訳ないです…。 祖国様のテンションが行方不明…イギリスが空気…。 反省点が多々ですね…精進しますorz [mokuji] |