第09話 「あ?…チッ!」 「残念無念また来週ーってね。」 「だったらお前が俺の相手をするか?」 「誰が相手なんぞするか、バァカ。 お前、どうせ今の今まで校内でしっぽりよろしくやってたんだろうが。そいつと帰ったらモーマンタイじゃね?」 「だりぃわそう言うの。奪ったら終わりだろ。」 「女の敵が。」 「じゃ、帰ろうぜ?」 「ヤダっつってんだろ。 どうせあれだろ?帰る最中だけは安全を保証してやんよってやつだろ。」 「なんだ、分かってんじゃねーか撫子ー。」 「運動部に入ってんなら目上の奴を呼び捨てにしてんじゃねーよコーンロウ。」 「はぁ?俺コーンロウ違ぇし。」 「だったら一生その髪で居ろよ?高校デビューなんて絶対すんじゃねーよ?」 「俺に指図してんじゃねーぞ。」 「黙れ、その台詞は亜久津君のだ。」 「はんッ、じゃあ尚更だ。俺は他の奴から奪う。何でもな?」 「はん、何でも…ねぇ。」 「だから、お前も奪ってやろうか?」 再接近、そして最接近。 188cmの灰崎を撫子は必然的に見上げることとなった。 上手くいけば上目遣いキャピ☆となるのだが、只今敵と交戦中。 射殺すような鋭い目つきで灰崎を睨み付ける。 「あ゛?誰から奪うって?」 「いいな、その目。 お前の飼い主の赤司譲りか?」 「ざけんなDQN。私は赤司様の飼い犬になった覚えはねぇよ。 クソな勘違いしてるから一軍でもスタメンから外されるんだよ無彩色野郎。」 「…これ以上ナメた真似すっと、ブチ犯すぞ。」 「ってぇな。」 「撫子さん!!」 「あ!?ショーゴ君何やってんスか!?」 「おいおい、洒落んなんねぇことしてんじゃねーよ。」 「灰崎君止めて下さい。婦女暴行は犯罪です。」 「剣呑な空気だな。」 灰崎の逆鱗に撫子が触れ、灰崎が乱暴な手つきで撫子の腕を掴んだ瞬間だった。 その時、桃井が引き連れる集団がやってきた。 「…離せよ灰崎。このメンツ相手にやらかす気?」 いくら灰崎が喧嘩慣れをしていて強いからと言ってこれだけの人数を裁ききれるほどではない。 「……チッ。」 更にこのメンツだと赤司の耳に伝わりどういう事になるかすら想像に難くない。 灰崎は舌打ちをしながら腕を放した。 解放された撫子は真っ直ぐに桃井たちの元へと歩いていった。 「大丈夫ですか?椿崎さん。」 「……勿論!いやー、変なところを見せて申し訳なかったね!!」 テンションを180°変更。 天使に見せる態度ではなかったからね。 「いえ…それにしてもキャラ違いすぎません?」 「だってさっきの態度は、対灰崎武器だから。」 「…寄生型ですか。」 「ヤベェ、私の寿命ゴリゴリ削られていく!」 「撫子さんすみません…私が……。」 「さつきちゃんが悪いことは一個もないよ。それ以上にみんなを呼んで助けに来てくれたし、ありがとう! んでは灰崎の野郎なんて放っておいて帰ろうぜ。」 言葉そのままに桃井の手を繋いで引く。その後にメンツがついて来る。 灰崎の横を通る。 「……あーぁ、さつきって噂通りの女なんだなぁ!レギュラー侍らせて…クソビッチ。」 女子に対する最大の侮辱行為をした灰崎。 この侮辱、晴らさでおくべきか。 [mokuji] |