第06話 戻った撫子は再び審判の位置についた。 それからは二度と熱中症者を出さまいと、隅々にまで気を配った。流石につかれる。 「はいゲームセット!!終了!勝者黒チーム!」 フルセットが終わって結果黒の勝利。 僅差ではあったのだが、白チームが負けてしまった。 挨拶をするためにセンターラインに集まった一同。 「ふん、まぁ僕が負けるわけないがな。」 「もー、悔しいなぁ。次のゲームは俺、絶対赤チンと同じチームじゃなきゃヤだかんねー。」 「負けたチームは体育館のモップ掛けをしろ。 勝ったチームはゴールをしまってボールをしまう事。それが済み次第解散だ。気を付け、礼。」 「「「「ありがとうございました!」」」」 気持ちの良い挨拶をして部員は後片付けを行う。 その間に撫子は使ったボトルを洗ったり、片付けたり、タオルを回収したり、雑用に明け暮れる。 それから今日の試合結果をパソコンにデータとして残す作業をしなければならない。パソコンを置いてある部屋に行ってみると桃井が未だにパソコンに向かって何かを打ち込んでいた。 「さつきちゃんチーッス。」 「あ、撫子さん、お疲れ様です。」 キーボードを打っていた手を止めて桃井は撫子の方を向いた。 「まだまとめてたんだ。頑張るねー。」 「そりゃぁ、まぁ…得意分野ですし。みんなの役に立ちますしね。」 「でももう帰んなきゃいけない時間よー。部活終わっちゃったよ。」 「え…え!?嘘ッ!?もうこんな時間!?」 時計は既に7時30分を指していた。 「あははー慌てるさつきちゃんマジ萌えー!」 「あぁぁ…テツ君の勇姿見損ねちゃった…。」 「あ、黒子っちね。軽い熱中症になっちゃった。まぁ、大事には至らないかったけど…。」 黒子の勇姿を見損ねてしまった桃井は分かりやすく落胆した。 いや、今日の練習は勇姿と言うか、なんというか。カッコいい場面ではなかったと思われる。 しかし同盟を組んでいる身の撫子。今日起こった出来事を簡潔に伝えた。 「テツ君が!?え、え?大丈夫なんですよね!?」 「大丈夫大丈夫、黒子っちったらあの状態でも自主練しようかと企んでたから私最後まで残らなきゃいけなくなったんだよ。」 「よかった…あ、撫子さん。今日のデータ下さったら私まとめておきますよ?」 「え!?いいの!?甘えちゃうよ!?容赦なく!」 「えぇ、いいですよ。むしろみんなの最新の情報が欲しいので。」 「わーい、マジラッキー!」 「でも今日はもう帰る準備をしましょう。これ以上遅くなったら危ないですし。」 「はーい!私は取り合えず着替えるー。一緒に帰ろうねー。」 「勿論ですよ。」 制服に着替えて鞄を持って、それから部屋を出てみるとほとんどの部員が帰ってしまっていた。 やっぱりと言うべきか、バスケバカ数名は予想通りに残っていたわけだ。 「おらー貴様らとっとと帰れー。私が帰れないじゃないかー。」 「今日はゲームしかできていなかった。今日のシュートノルマをすませていないのだよ。」 「今日は青峰っちと1on1の約束してたんス!」 「あ?遅くなってもいいじゃねーか。外まだ明ぃし。」 体育館の中を見て、そこには青峰、黄瀬、緑間が残っていた。 紫原と赤司は帰ったようだ。まぁ、残ってバスケをする人種には見えないから打倒か。 「駄目だ駄目だ全然駄目だ!帰ェれ!私、もう帰りたい!!すること済んだし、帰らせろぉ!!」 「勝手に帰ればいいじゃねーか。さつきも。」 「赤司様のご命令で帰れないんだよ!!」 「は?赤司?」 「そうそう、赤司様……って黒子っちって帰った?」 そもそも最後に帰れと言われた理由が黒子が残って練習しないようにする監視の為だったのだが、黒子がすでに帰ったのなら話は別だ。 「黒子っち?…見てないっスね。」 「テツ、影薄いからいつの間にか帰ったんじゃねーの?」 「そうか…まぁ、とりあえず確認しに部室お邪魔しまーす。」 くるりと体を反転させ部室へと向かうことにした。 とその間ボソっと言った。 「もし部室にグラビアの雑誌が無造作にあってみろ。視界に入った瞬間私のモノだ。」 「え、ちょっ待て!今月の俺の小遣いの結晶ッつか捨てるんじゃねーのかよ!!」 「誰が捨てるか!可愛い子は愛でるがモットー!そんな私が捨てるわけないじゃん!!たかがグラビア!!エロ本だとしても回収した上3chで安価したるわ。【エロ本見つけた】男子バスケ部の部室ってどういうことなの【どうしよう】とか言ってな!!さぁ!部室オープン!!」 [mokuji] |