第01話 どうしてこうなった。 もう一度言う、どうしてこうなった。 なんで私はどの世界に行ってもマネージャーと言うパシられる立ち位置を務めなければならないのか。 撫子は例によって例の如くトリップなう。 今回の指令は『帝光中のバスケ部のマネージャーをすること。期限は卒業するまで。赤司君によろしく。』 こちらに来て分かった事だが、マネージャーは桃井が既に居る。なぜ撫子までもが世界を超えて駆り出されたのか。 それは桃井の情報収集の忙しさなどがピークになりマネの仕事にまで手が回らなくなってしまったからである。だから帝光と同じ規模である氷帝のマネをしている撫子に白羽の矢が立ったという事だ。 …それ以前に、同じ世界の奴から身繕えし。こんな事口がさせても言えないがな。 赤司と滝、知り合い。とても、仲いい。チョーふれんどりー。俺オワタ。 只今7月上旬であり、指令を遂行し終わるのはガチで一年後と言う訳である。と言うか突っ込みどころ満載である。 なけなしの滝の優しさは新学期からの転校生と言うことで変な時期に転校してきた不思議ちゃん立ち位置でないところと言う…もっと優しさが欲しかった。 だって、撫子、三年。キセキの世代、二年。Oh…。 同級生じゃないとは何事だ。授業中の観察なんてまっっったく出来ないではないか。 青峰はどれだけバカなんだとか、黄瀬はどれだけシャララ☆しているのかとか、黒子のミスディレクションは授業中にも発揮されるのかとか、色々同級生ならではな観察が出来ないじゃないか。 しかしまぁ、こんな事愚痴っていてもしょうがない。 詳しくは桃井に聞けばいいのである。 仲いいよ。だってさつきちゃん、マジ天使だもん。愛でちゃうよ。可愛いよ、hshs。 黒子っちを永遠に愛でる会、むしろ同盟を組んだから。抜け駆けは禁止と言う同盟のルール。 大丈夫だ。私は黒子っちと結ばれるより、皆を応援する立場だから。うん、色んな方向性から。すまんねさつきちゃん。私は腐っているんだよ。 何かと言ってエンジョイなう。 マネージャーの仕事と言ってもテニスでしている仕事と大差ない。楽々である。 最近は余裕も出てきて部員にちょっかいを出すのが日課である。 そしていつもの様に部活が始まる。 撫子はとりあえず、制服からジャージに着替えて神経を集中させ気配を感じ取る。 今日、一番集中していると思う。そして誰の気配を感じ取っているかと言うと、 「…―――見つけた!黒子っちぃいいいい!!今日はどんな一日を過ごしたのか教えてプリィズ!!」 黒子である。 部活が始まる寸前、撫子が行っていることは黒子の一日の様子を聞くことである。 桃井にも情報を渡す必要性があるが、それ以上に誰と誰戸と誰とフラグを立てたのか物凄く気になるから。 何故部活が始まる寸前かと言うと、部活後は黒子、ほとんど体力を失ってノビて話がまともに続かないのである。その上、バスケの後はバスケの話題しか話さなかったり、残って練習していたり話タイミングが難しいし、なんといっても見つけにくくなるのだ。 「今日も見つかってしまいましたか。」 「私の腐ィルターからは逃れられない。勿論本気でミスディレクションをしたとしてもな!!」 そこに萌えの権化と言うべき黒子が居るのならこの腐ィルターからは逃れることが出来ない。絶対にだ!! 「しかたありません。プライベートな事ですからあまり言いたくないのですが、言いましょう。僕を見つけることが出来たら放すという約束ですしね。」 「約束を違わないッそんな男気1000%、そんな黒子っちに痺れる憧れるぅ!」 「そうですね…一時間目と二時間目の間に青峰君が英語の辞書を借りに来ました。彼、調べる方法すら分かってない様なのに借りに来るなんて暇なんですね。」 「青峰って絶対にエロい単語とかにはマーカーで線とか引っ張ってそうだよね。英語だけじゃなくって国語辞典とか。」 黒子っちに会いに行くためですね分ります。 「少し前に僕の辞書達はその犠牲になりました。」 「オプス…。」 「勿論腹にイグナイトかました上、弁償してもらいました。写真集がどうのって言っていましたが、君が悪いんです。君が。 それから二時間目と三時間目の間に僕は図書室に行って赤司君お勧めの本を借りました。彼のお勧めする本にはずれはありませんね。」 「あ、私も赤司様お勧めの本借りたい。」 「難しいですよ?内容的に。」 「む、黒子っち私を馬鹿にするの駄目、絶対。これでも成績はいいから。中間テスト上位に居たから!!」 「あぁ、そうでしたね。いつもの言動が黄瀬君と被るので…。」 「おおっと、黒子君が真っ黒子様になったよ?」 「失礼しました。失言でした。そして昼休みは黄瀬君と紫原君と桃井さんとお弁当を屋上で食べました。ちょっと暑かったですね。」 「おかずの取り合いとかした?」 青春キタァアア!!! 「えぇ、取り合いと言いますか、みなさん僕におかずを押し付けてくるんですよ。食べられませんって。」 「うっは!…まぁ、黒子っちやばいもんね。小食過ぎだもの。私よりも食べてないよ。だから小さグハァッ!?」 「それ以上言わないで下さい。椿崎さんが僕より大きい時点で独の嫉妬の対象ですよ。お腹にイグナイトを決めてしまいます。」 小さい。それは黒子にとって禁句らしい。撫子は容赦なくイグナイトを腹に食らった。 いや、我々の業界にとってご褒美です。が、油断していたからまともに食らった。膝から崩れ落ちた撫子。 「わたッ私これでも女なのにッ女に手をあげるなんて……ッ!」 「あぁ、すみません。女子でしたね。椿崎さんって男らしすぎると言いますか、なんと言いますか。」 「あー、もう、仮にも私先輩でもあるのにさー。赤くなっちゃってるよー。」 お腹をペラッと捲って確認。 「…そこが女子要素がゼロだと言うんですよ。全く……。」 「ふんべろりぃ。」 「あ、椿崎ちんだー。」 黒子とウフフキャッキャ?していたらそこに気だるけな紫原が登場。 すなわち妖精さんの登場である。 「むっくんだぁあ!!ちーすちーす!元気?飴ちゃんいる!?」 「くれんのー?じゃぁ貰うー。」 早速飴で釣りだす撫子。 「むっくんマジ天使。信じられるか?トトロよりおっきいんだぜ?」 「はい知ってます。」 「俺ってすげー。」 「うん、すごくかわいいです。そこから見える景色はトトロの景色!!と言う訳で肩車プリーズ!!時代は肩車よねぇえ!!」 「肩車って子供ですか。」 「中3は立派に子供ですが?まだ小児科に受診ですが?」 「……。」 [mokuji] |