青春トリップ!!?  | ナノ


ボーカロイドの世界からやってきた


「レンは俺の嫁ぇええ!!」

「黙れやショタコン!リンは俺の嫁ぇええ!!」

「お前こそ黙れロリコン!!」

「俺はGUMIが好きっすね。本気で人間っぽくて。」

「俺は…がくぽに色々世話になっとるのぉ。」

ピーンポーン――…。

撫子と忍足、赤也に仁王がボカロについて語っていた。
いつも通りのツッコミが撫子の家の中に響く。
そんなときにインターホンが鳴った。

「撫子ー、誰か来たっぽいで?」

「誰だろう?衣装とかかな…いや、確かに注文したけどまだのはず……。」

心当たりが無いぞという風に撫子は電話をとった。

「どちら様ですか?」

『財前です。アポなしっすけど遊びに来たんですわ。お邪魔してもええですか?』

「おおお!!光君!いいよいいよ!おいで!!今、開けるから!」

撫子はマンションの入り口の扉を開けて、それから財前が自分の部屋の玄関までやってくるのをスタンバった。

「光君、大阪から何て言う行動力!光君がここまで来るのを玄関でスタンバってました!!」

「撫子さん!お久しぶりっすわ!!」

そしてどうぞどうぞと撫子は財前を家の中へ入れる。

「なんで自分らが居るねん!!」

「なんや、謙也のダブルスの子かいな。よう来たなお菓子食うか?」

「あ…?なんでおまんがここに来るんじゃ?」

「よう!元気してっか?つーかわざわざここまで来てんの?何、暇人?」

「撫子さんの為なら次の日が期末テストだろうと遊びに来てやりますわ。」

「光君それはダメだ。勉強しなさい。」

「撫子が言える立場とちゃうやろ。」

「シャラップ忍足。
で、光君は何しに来てくださった!」

「そうや。撫子さんに紹介したい奴らが居るねん。」

そう言った財前は撫子の部屋をキョロっと見回し、それから持ってきたパソコンを立ち上げた。

「ん?パソコン…?」

「はい。でも、ちょう、この人口密度だと物凄い大変なことになると思いますっすわ。」

「は?」

「んー……おい、自分らは邪魔やから、外移動してや。」

「「「は?」」」

「皆、とりあえず出てってよ。人口密度がヤバいらしいから。」

撫子も財前の謎の言葉を推理しながらとりあえずみんなには出て行けと言った。
家主の撫子が言ってしまったのだから財前の言葉に反抗しようとしていた人たちも従うしかないだろう。
撫子と財前だけが残った。

「なぁ…なんで財前、撫子ん家に来たんやろ。」

「さぁ?」

疑問だけが浮かぶ外に出さされたメンバーそしてその後すぐに戻ることになった。
部屋の中から撫子の叫び声が聞こえたから。

―――キャァアアアア!?

「「「!?」」」

驚いて忍足、仁王、赤也が速攻で部屋の中に戻って行った。

「撫子!大丈夫か!?……え。」

「おし、忍足ッヤバい、私死んでもいいかもしれない。」

「なんで入って来とるんですか。出てけ言いましたよね。」

「撫子さんが叫んだんだぜ!?心配になって突入したくなるよ!!」


「マスター、この人たちの事、教えてくれないかな!」

「…ミクがそう言うなら……。」

そう、ミクである。電子の歌姫初音ミクが財前の事をマスターと呼んだ。
そしてミクだけではない。物凄い人口密度になると言った。

つまり、ミク以外のボカロも来ていると言う訳で自己紹介タイムである。

「まず紅一点の俺の嫁、椿崎撫子さんっすわ。それから銀髪が仁王雅治。丸伊達眼鏡が忍足侑士、謙也さんの従兄っすわ。で、ワカメが切原赤也。」

人間チームの紹介を終り。今度はボカロチームの自己紹介である。

「初めまして!僕、初音ミクです!!」
「初めましてだよ!GUMIです!」
「初めまして、KAITOです。」
「初めまして、MEIKOお姉さんだよ!」
「お初にお目にかかる。神威がくぽだ。」

「「ノンっジーザスッ!!」」

自己紹介が終わってすぐに悲痛な声が上がった。
あげた犯人は撫子と忍足。

「なんでレンきゅんが居ないのさ!?」
「なんでリンちゃんが居らんのや!!」

「すんません、俺が買ってなかったからっすわ。だって…調教し辛い……。」

「光君ッ私はショタが居ないと息が出来ないんだ…。」

「俺はロリが居らんと生きていけれへんのや…。」

「それは大変っすわ。謙也の従兄さんはともかく撫子さんは何とかせんと…とりあえずマウストゥマウスしてもええですか?」

「おい、財前、撫子さんになんてことをしでかそうとしてんだよ。止めろよ。」

「そうだよ光君、ファーストキッスは謙也君の為にとっておきなよ。」

「撫子さんが言うなら残念すけど身ィ引きます。けど一つ訂正させてください。俺のファーストキスは撫子さんに捧げますから!!」

「愛が重い!!」

「おい、そこの茶番はええ加減終わりんしゃい。」

リンレンが居ないことに対して嘆きまくっていた二人をいなして話を進めるように仁王は促す。
嘆いていても仕方ないと分かってはいても嘆きたくのが撫子の性なのだが、仕方ない。話が進まなないと何故ボカロ達がこの世界に来たのかが謎のままである。

だから撫子は話を進める。
そしてちゃっかりミクとGUMIを両手に侍らかした。ここはきっと桃源郷。
忍足の悔しがる顔と驚きの顔、実にご馳走様です。

「仁王にそこを突っ込まれるだなんて思ってもみなかった。仕方ない、話を進めてみようか。
光君。なんでこっちの世界に来るようになったか分かる?と言うか、ファーストコンタクトってどんな感じ?」

「こっちに来た原因は全く分りませんっすわ。ファーストコンタクト…は、俺がミクで作曲をしようとパソコンを立ち上げた時に画面が真っ白になって俺の目が目がぁ!ってなっとる間に皆出て来とたっすんわ。」

「ふむ……じゃ、今度は年長組のKAITOさんとMEIKOさんとがくぽさんに質問ですわ。なんでこっち側に来たんですか。」

財前だけの証言では原因を究明することが出来なかった。
よってこっちに来た側の意見も聞くことにする。

「何でと言われても、いつの間にか来ちゃった感じなんだよな…MEIKOさんはどんな感じ?」

「私も…また曲作ってくれるから立ち上げられたんだなーって思ったらマスターの方の世界に来ちゃった感じ。」

「俺もそのような感じだ。特に追記することは無い。」

「はいはいはーい!僕、ちょっと分かるよ!マスターいつもありがとう!直接お話ししてみたいなー!って思ってたら今回だけだよって声がして気が付いたらマスターが目の前に居たの!」

意外なところから意外な発言が、これで進展を見た。

「声、だと!?ミクちゃんどんな感じの声か分かる!?」

「そう言えば私も聞いたかも…優しそうな男の人の声、じゃない?」

「GUMIちゃんも聞いたの?」

「うん、空耳かと思ってたけど、ミクちゃんが聞いたのが本当なら私の聞いたのも空耳じゃないのかなって思って。」

「…忍足よ、私の脳裏には某三人衆が仁王立ちで佇んでいるのだが、これ如何に?」

「せやな。きっとその三人が十中八九犯人なんやろ。」

「いやいや、まさか全く関わりの無い光君にまで彼らはちょっかいを出すのかね?」

「…出すじゃろ。楽しけりゃ何にでもの。」

「…………光君、ポケットに紙みたいなの入ってたりしない?」

所謂指令書だ。
それさえ入っていれば、確定である。

「紙?………無いっすわ。」

探してみてはくれたが、無かったようだ。
振出しに戻るしかないのか…。

「や、ちょっと待って下さいっす。
おい、財前お前、その時何の服着てた?」

赤也が何かに気が付いたようで、財前に質問した。

「は?あー……、制服だったと思うわ。」

「ちょっと家にでも電話して確かめてもらってみてくれよ。」

その言葉にピンときた財前。その他一行。
速攻で電話をかけてもらう。暫しの間財前はログアウト。


「なぁ、撫子。ええ加減そこ変わってや。ニアロリを俺にも堪能させてくれや。」

リンが居ないからと言って只今両手に花を実行中の撫子の花園にまで手を伸ばしてきた忍足。
しかし、撫子がそのような行為を許すわけないじゃない。

「あ?お前の席ねぇから!!ねー、ミクちゃんもGUMIちゃんも私の隣が良いよねー!」

「僕、一回でもいいから撫子ちゃんに会ってみたかったんだ!マスターがいっつも撫子さん、撫子さんって言っているから!」

「確かに毎日言ってるよねー。でも確かに肯けるよね。私達の歌を心を込めて歌ってくれてるんだもん。ありがとう、撫子さん!」

「ヤダっデレだわ!なんだろ、涙腺パネェ。忍足バスタオル頂戴。」

「俺を空気に扱ったあげくパシリか。ええ度胸しとるな。」

「ここに存在できているだけも感謝しろ。」

忍足と関わっている時間ですら惜しい撫子。
ぞんざいに扱い花園を満喫する。


「ねぇ、KAITO。お酒無い?パソコンの中に置いてきちゃった。」

「MEIKOさんまたぁ?だけどここには無いと思おうよ。」

「えー、喉乾いたから潤したかったんだけどな。」

「んー……すみません、飲み物とかないですか?」

「あ、あるっすよ!俺、今日コーラ持ってきたんで!!ちょっと持ってくるっすね!」

ここに来る前、差し入れとして持ってきたらしい。
因みに忍足と仁王はそれぞれお菓子を持参である。どうやら撫子の家に足を踏み入れる際は飲食物を持って来る必要性があるようだ。

「あ、俺も手伝うよ。」

何も言わなくてもKAITOが赤也の後についてキッチンの方へ。
なんだろう、とても自然な行動であった。日頃どのような扱いを受けているのか簡単に想像できた。


「ほー…綺麗な面しとるながくぽは。」

コスメイクの研究だろうか。
仁王はがくぽの顔をジーと眺めていた。

「なんだ?お前も整っている部類に入るだろう。」

「いやいや、やっぱ二次元には勝てんぜよ。と言うかお前さん案外目つき悪いわけじゃないんじゃな。」

「そうか?」

「やっぱ二次創作の絵だとアダルティさが前面に押し出されとるけんか?
今度からコスするときは目つきがあんま悪ぅならんようにせんといけんな。」

「精進することはいいことだと思うぞ。それがどんな目的であってもな。」

「プリ。」


「撫子さーん、今おかんに電話したらあったそうっすわ。」

電話が終わったようで再び財前がログイン。
そして朗報を持って来てくれた。

「!?でかした!やっぱり犯人は魔王三人衆だったか!!」

「内容は、『全員が使われている曲を一曲作ってそれがミリオンで、撫子が歌ってみたでそれを歌って殿堂入り』…っすわ。」

「え、えー………ちょ、前半はいいとして後半はなんだ。私、とてつもないとばっちりを受けた。よし、光君諦めよう。いいじゃないか。ずっと現実世界に出っぱなしってわけではないでしょう?さっきちゃんとパソコンの中に入ってたじゃないか!」

「あ、撫子が逃げようとしよる。」

「撫子さんッそれは酷いっすわ!!だって!これらパソコン立ち上げた瞬間こっちの世界に出てくるんすよ!?俺のパソコンポカロソフトが立ちっぱなしになって重くてインターネットになんか繋げないんすよ!?」

「うわ、それは困った。ネットに繋げれないだなんて、そんなのただの箱だェ…。」

「ちゅーわけで協力してくださいッお願いしますっすわッ!!」

同情する。きっと自分がそんな立ち位置になったら一日ももたない。パソコ中毒者なめるな。
しかし、それを歌うという事は必然的に両声類の力を発揮するだけではなく多声類までもを習得しなければならないという事だ。ぶっちゃけ難易度高杉。

「撫子ちゃん、僕、マスターの悲しむ顔見たくないから…お願い……。」

んー、んー、と悩んでいる撫子に最後の止めが刺さった。
ミクが上目づかいで撫子に懇願してきたのだ。これは言う事を聞くしかないじゃない。

「グハァアッ!?消失、消失が脳裏に過ってしまったッこれは、ッ……よし、殿堂入りするかはわからないけど、協力しよう!ベストを尽くすよ!!」

「ありがとうございます!じゃ、早速作ります!あ、ついでに今ルカもリンレンも通販なうですから、そこのところよろしくお願いします。」

「え、な、謀ったな!!」

「撫子さんの可能性が広がるのであれば手段は問いませんから!!」

「計算してないッ!!」

「させないッすわ!!」





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500000hit企画第56談
暁様リクエスト「青春シリーズの『青春トリップ』で、ボーカロイドが逆トリ/メンバーはKAITO、ミク、MEIKO、がくぽ、GUMIで、青春メンバーは主、忍足(侑)、仁王、財前、赤也」でした。

なんだか人数多いとgdgdしてしまいますね…。
よく読めば主人公と直接喋っていないメンツも……←

ボカロ達の性格などはほとんど捏造してしまいました。すみません。
お気に召さなかったら…ホント、すみませんでした。

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[mokuji]