うたの☆プリンスさまの世界に行ってきた 2 「……ここ、どこ?」 滝達に行ってらっしゃい、と言われたことは覚えている。 はぁ、はいはいまたトリップですね、と思って少々の覚悟をしていたことも覚えている。 で、ここどこ。 見るからにただの都会的な風景が目の前に広がっている訳なのだが、 「さぁ…やけど、大阪ではなさそうっすわ。」 「はいはいはーい!俺分るよ!東京のあそこのビルの前!」 「跡部ー、お前のケータイ圏外になってない?私のケータイ圏外なんだが。」 「アーン?…圏外だ。あり得ねぇ…俺様のケータイが圏外になるなんてな…。」 「やったらトリップはしとる言う事ですね…ここ何処の世界なんですやろ?」 「さぁ…それが謎だよね。」 「ちょっとちょっと、俺をシカトするの止めてくれない!?折角占いでは1位だったのにアンラッキー…。」 「黙れ、ナンパ男。お前はおは朝の占いでも見て意味の分からないラッキーアイテムでも身に付けとけ。」 今回のトリップ同行者は撫子はもちろん、財前、跡部、それから何故か千石が居た。 千石、何故お前がそこに居るんだ。元の世界に帰って亜久津にバレたら大変な目に遇うぞ。 …滝はそれを狙っているのかもしれないが。 「撫子さん、指令書とか今回無い感じですか?」 「あ、」 撫子は思い出したようにポケットの中から指令書を取り出した。 そこには『ライブしておいで』と書かれてあった。 なにこのむちゃぶり。 「ライブ…?どういう事なんですやろ。」 「さぁ…?」 「だったらテレビ局でもなんでも行こうじゃねーか。さっさと帰りてぇ。」 「待て待て待て、この世界が私にとってフェイバリット作品だったら最低でも一か月ぐらい滞在したい。」 「あ?そんな無駄なこと却下だ。」 「んだとコラ、だったらここは正々堂々と多数決だ!私の案に賛成な人!!」 「俺は撫子さん以外につくことはあり得んっすわ。」 「俺もー、女の子に味方したいよね。」 「三対一、はい可決ー!!」 「出来レースだろ!!」 「違いますぅ、私は強制した覚えありませんー。…ハ、ア!?」 こんなグダグダとした会話を街中で繰り広げていた四人。 そんな中、撫子は見てしまった。 都会にありがちな巨大テレビ、そこに映し出されていたものを、 この世界で一世を風靡しているだろうアイドルグループの姿を、 「…撫子さん。」 財前も気づいたようで撫子にこそっと話しかけてきた。 「光君…私も特定シマスタ。」 「「うたのプリンスさまの世界…。」」 そう、ここはうたのプリンスさまの世界。 前回もここに来たことがある。 もしかしたら前回の世界とは違う世界かもしれないが、この世界に類似した世界になら行ったことがる。 「…とりあえず……早乙女学園に行ってみようか。」 「了解っすわ。」 場所が分かって、指令も遂行できるだろうと踏んだ一行はとりあえず、早乙女学園に行って例のプリンスさま達が居るであろう場所を聞き出した。 久しぶりに会ったシャイニング早乙女は撫子と財前の事を知っていた。つまりは前回と同じ世界らしい。とても好都合である。 そうやって撫子達一行はプリンスさま達が所属している事務所まで進んでいった。 事務所の受付に一瞬捕まってしまったが、シャイニング早乙女が話を通していたらしく、すんなりと入れてくれた。 プリンスさま達はこの後この事務所に集まるらしく、社長室的なところで待つように言われた。 なんというVIP待遇。 「さて、皆は覚えていてくれてるかな。」 「忘れとるわけないですわ。撫子さんみたいな素敵な方を!!」 「いやいや、分からないよ。芸能界は覚えることいっぱいだからね。」 「アーン?なんださっきから、お前らこれから会う奴と知り合いなのか?」 「ま、ね。じゃないとこんなトントン拍子に話が進むわけないでしょ。」 「これから会うのってやっぱ可愛い子!?撫子さんの知り合いなら美人な子!?」 「ハハハハハ、千石君よ消え失せろ煩悩。まぁ、私視点では可愛い子も美人な子も居るって言っておくよ。」 「ラッキー!」 そんな感じに駄弁りながら待っていると扉の向こうからガヤガヤとした声が聞こえてきた。 きっと彼らだろう。 「失礼します。」 礼儀正しくトキヤを先頭に彼らが入ってきた。 ぞろぞろと、音也、レン、マサ、翔、那月、春歌、それから褐色の少年が続けて入室した。 「おう!久しぶり皆!」 「お久しぶりっすわ。」 一言目、再会を示す言葉を二人は言った。 「「「撫子と光!?」」」 「やたー!覚えていてくれてたのね!撫子ちゃん嬉しい!!」 「撫子さんよかったっすね!まぁ、もし忘れてたら俺がぶん殴ってでも思い出させましたけど。」 「光は相変わらず撫子至上主義なんだな。」 「神宮寺さん、当たり前ですやろ。何常識的な事言ってくれとるんですか。」 「……。」 ポロっと呟いたレンの一言。 独り言扱いしてくれればよかったものを財前はご丁寧に拾ってくれた。辛辣すぎるだろう。 それからそれぞれ椅子に座って対面することになった。 因みに撫子はちゃっかり翔と春歌を両手に侍らかすことの出来る位置に移動して座った。 「んー?なんか見たこと無い顔が二人…初めましてかな!俺、一十木音也!!」 音也は撫子と財前以外の二人、跡部と千石の存在に気づき、自己紹介をした。 「俺様は跡部景吾だ。」 「俺、千石清純!セイジュンって書いてキヨスミって読むんだ!」 「む?撫子。その跡部景吾とは前回、神宮寺とキャラが被ると言ったやつか?」 「マサさん流石!よく分ったねー。」 「俺様な態度、それから何より声が神宮寺そっくりだ。悪夢だ。」 「聖川、それは酷いだろ。 …しかし、俺にそっくりだな、景吾。」 「俺様の声に此処まで似るとはな。誇りに思え。」 「………なぁ、撫子。こいつ何様?」 「俺様何様跡部様。諦めた方が良いよ。もうこう言う病気だから。」 「って言うか撫子さん!!可愛い子一人しかいないじゃん!!嘘ついた!?」 可愛い子、綺麗な子が居ると言われたのに女の子は一人しか見当たらなく、思わず叫ぶ千石。 しかし撫子はこいつ何言ってんの?的な表情で返答した。 「は?嘘ついてないよ。私にとってって言ったじゃん。可愛い系代表、翔ちゃん、那っちゃん、オト君。綺麗系代表マサさん、トキヤ、レン。天使系女子春歌ちゃん。」 「騙されたぁああ!!あ、でもこんな可愛い春歌ちゃんに会えるなんて俺ってラッキー!」 「穢れた視界に春歌ちゃんを入れないで下さいます!?天使が堕天使になる!!」 「ヒッド!!!」 「アノー、スミマセン。話の流れを止めてしまいますが、ワタシにもカノジョたちを紹介していただけマセンカ?」 撫子が千石に対して辛辣にあたっていると、これまた千石に似た声の褐色の肌の彼が口を開いた。 「あ、ワリィワリィ。おい、撫子。お前が帰った後、俺達の仲間になったんだぜ!愛島セシルって言うんだ。 セシル、このデッカイ女が椿崎撫子っていう奴でお前が来る前まで仲間だった奴な。何回か話に出たろ。例の男装女子だ。」 そして翔が仲介人になって双方を紹介してくれた。 「あぁ、カノジョでしたか。あのモノトーンのST☆RISHの衣装を着ていたカレは。初めましてデス。」 「おい、翔ちゃんよ。どんな話で私の話題が出たのだよ。ご丁寧にどうも。こちらこそよろしくです。」 「あれー?やっぱりセシル君とそっちの千石君って声似てるねー。」 「は?那っちゃん、なんて言う事を言い出すの。こんなナンパ男とミステリアス素敵なセシル君と一緒にしないで下さいます?」 「椿崎、よく聞け。声と言うより声質が似ていんだ。椿崎らしくないぞ。」 「トキヤ、お願い現実見ささないでッ認めたくない!!」 撫子の駄目絶対音感は告げているのだ。 千石とセシルの声は似ていると、二人ともあの声優に似ていると、 しかし、千石への印象は今だに払拭されていない。同一視したくないのだ。 「もー、撫子さんさっきから俺への態度酷いよー。清純君泣いちゃう。」 「お前が泣いても可愛くねーよ!!つか第一印象がナンパチャラ男なんだからな、態度が辛辣になってしまう事は世の常だよ。」 「…過去の俺のバカっ、どうやったら印象変えれるかな。 あ!良い事思いついた!!セシル君、ちょっといいかな?」 「何でショウカ?えと、千石サン。」 良い事を思いついたらしく、千石はセシルの後ろへ回り込みそれからセシルを後ろから操る様に撫子へと近づいて行った。 「…何を仕出かす気だよ千石君よ……。」 「撫子サン、どうか千石サンと仲良くしてあげれまセンカ?」 「え?」 セシルが発している声ではなさそうだ。とても驚いた顔をしている。 どうやら先ほどの声質似てるね事件によって判明した事実を千石は利用したらしい。 撫子の気に入っているキャラから頼み込んでみてやれ計画である。 「は!?」 「千石サンも悪気があったわけではないと思います。カレの挨拶の様なもので、これから良い交友カンケイを築いてあげてクダサイ。」 「ぐ…ッ千石君卑怯だぞっ!!」 若干心が動かされつつある撫子だった。 威力は絶大らしい。 「え?あ、ハイ。」 もう一息、と言ったところで千石はセシルにこそこそと話しかけてセシルは理解したようで撫子の目の前でしゃがんだ。 「ダメですか?」 首をコテン、と、 それから上目使い。なんて素敵すぎるコンボ。 「ブグハァア…ッ!くっは、くくくか…か……!!するするするするするすッ!!」 「撫子さん、日本語やないですよ!!日本語プリーズっすわ!!」 「ひ、光君ッ私は桃源郷を見ているのかね?」 「…撫子さんが嬉しそうでよかったっすわ。」 「おい、椿崎。そんな茶番今すぐ辞めろ。本題にさっさと入りやがれ。」 退屈そうに、不機嫌そうに、跡部は言った。 「………萎えるわー。跡部、マジ萎えるわー。そう言うの萎えるわー。ホント、お前残念なイケメンだわー。」 「喧嘩売ってんのか?アーン?」 「買ってくれるのか?アーン?今ならもれなく嫁の技お見舞いすっぞ。」 一触即発である。 「あのっ撫子さんッ喧嘩は…、止めましょう!ね?」 「春ちゃんがそう言うのなら今すぐ止めるー!春ちゃんマジ天使!!」 「で、ですね。撫子さんは何故またこの世界に?」 「そうそう、またこの世界に飛ばされたのよー。まぁ、また春ちゃん達に会うことが出来たから嬉しいんだけどね! で、今回の指令は『ライブしておいで』と言う訳なのだが…何かいい方法ないかね?」 やっと本題に入ることが出来た。 「あ!でしたら今度ST☆RISHは単独ライブするんです!!それのゲストとしてどうですか?撫子さん卒業公演だけしかライブに出ていませんでしたし、『モノクロの彼は!?』とあの後結構話題になって、今、伝説になってたりしますし。」 「なッ!?伝説、だと!?」 「はい。幻のモノクロのプリンスさまで通っています。」 「おふぅ……。」 「流石撫子さんっすわ!!」 「そこでライブを行えば…多分、指令通りになると思いますけど……。」 「…レン達よ。私も参加してもおkかね。君達のライブなのに…。」 「なに言ってんだよ撫子。お前も俺達の仲間だろ?良いに決まってるよ。なぁ?皆。」 「そうだぜ!何遠慮なんてしちゃってんの?撫子らしくねぇな!」 「わー!また撫子ちゃんとライブ出来るの?嬉しいなー!」 「良いのではないか?新しい要素も必要になることだったからな。」 「すっげー!ファンの皆驚くだろうなぁ!」 「腕がなまっていないでしょうね?なまっているようなら簡便ですね。」 「ワタシも是非椿崎サンとライブ、やってみたいデス。」 「トゥンク…皆私の涙腺ぶっ壊して何が楽しいんだ畜生!」 「ね!撫子さん、一緒にライブ楽しみましょう?」 「おk把握した!またよろしく頼むな!皆!!」 「兄貴ー!!」 ―――――― 500000hit企画第53弾 キョン様「うたプリの世界へ行って来た/続き/卒業の後/跡部とレン(できれば千石とセシル)が同じ声でビックリ」でした。 人数が多いとどうしても偏ってしましますね…。 なるべく全体的に会話をさせたいのですが…というよりもセシルさんの口調ってこれでいいのでしょうかね^^; 謎ですが…もし間違っているならこっそりと教えていただきたいです…。 あれ?セシルさんって仲間になりましたっけ…?ダメだ、勉強不足もいいとこでしたすみません……。 しかし……主の千石への態度が辛辣すぎましたね。愛が無い……。 [mokuji] |