第10話 三人が気が付いた時には三人は拘束され、目隠しをされ鳥籠の形をした檻の中に入れられていた。 シエルが一人で、仁王と撫子が一緒の檻の中で、 大勢の話し声が聞こえる。 カン!カン!――― 「ご静粛に お集まりの皆様。 次はお待ちかの目玉商品です。 今回は社交期が終わってしまうという、さびしくなる時期であります。 そこで、今回の商品は2つご用意してあります。」 そういうとバサっと何か覆っていたものを荒々しく外す音が聞こえた。 自分たちの姿がお集まりの皆様に晒されているのだろう。 「一人販売と二人一組でのセット販売となっております。 観賞用として楽しむのもよし、愛玩するのもよし、儀式用にも映えるでしょう。 バラ売りするのもお客様次第。」 シエルを競り落としてもいいですか?by撫子 「まずこちらの一人売りの商品から紹介しましょう。 いいですか?ここまでの商品はなかなか手に入りませんよ。瞳の色は美しい空と海を写した海と深き森のコントラストです。 そして二人セットはこれまた珍しい東洋の姉妹です。銀と漆黒の髪という異色な組み合わせながらも、鋭い視線の中にも妖艶な空気を醸し出す瞳。そんな貴重な姉妹が手に入るのは今回が最後かもしれません。 では只今お見せ致しましょう。」 そういうと目隠しを外された。 周りでは金額が跳ね上がっていく。 会場内が盛り上がる。 シエルはそんなことは気にもせず、セバスチャンを呼び出した。 明かりが消え、辺りは真っ暗になる。 ざわめく会場、そして次に会場を覆い尽くすのは耳を塞ぎたくなるような音と悲鳴のハーモニー。 再び明かりがついた時にはセバスチャンしか立っていない。 そんな空間が広がっていた。 「やれやれ、捕まってしまうとは何事ですか?特に撫子に雅治。」 「アハハハハ…ゴメン。」 「…ピリーン。」 笑って誤魔化す。 今しか騙されてくれないだろう、でもそれでこの場を凌がせる。 言うことを聞いてくれないんだよ、この体は。 「ハァ…。」 セバスチャンは檻の柵を歪め、シエル達を檻から出した。 「間もなく警察が到着するでしょう。」 「なら長居は無用だな、僕らが居ては猟犬共もいい顔はしないだろう。」 「そうだね。鼻の下が伸びきる顔をするかもね駒鳥ッ!」 撫子が駒鳥シエルの恰好にhshsしながらからかう。 手をワキワキと、 …どこかの変態か。 「えーっと、気持ち悪い!!」 「ではお嬢様、帰りますか?」 「とにかく!切り裂きジャックの事件はこれで解決だ!」 これで屋敷に戻る。 解決ではないんだけどね。 そう思うだけで、頭が痛くなる。気分が悪くなる。 そして、次の日の新聞を見てシエルは驚愕する。 【切り裂きジャック 再び現る!】 そんな見出しの記事が一面にある。 「どういうことだ!?子爵は昨夜どこにも行っていなかった!………また振り出しだ…。」 気を荒げたのも一瞬で、冷静を取り戻す。 すぐにセバスチャンにリストを持ってこさせ再び容疑者の絞り込みをする。 撫子と仁王は調理室で対話する。 この時間、バルドも使っていないから話をするのには丁度いい。 「…やっぱり無駄だったねー。」 「そうじゃの…。」 「避けられないのかなぁ…変えられないのかなぁ……。」 「もう…ええんじゃなか?ここは結局漫画の中の世界で、俺らは傍観するしかないんじゃ。」 「傍観…ねぇ、傍観って先が見えないことを見て…それは楽しいんだよね。 けど、先がbad endだって分かって見てるだけって…辛い。」 「どんなに辛くても俺らが帰れるんはこの話が終わってからじゃ。どうにも出来ん。」 「……。」 [mokuji] |