第06話 馬車に乗り込むメンバー。 そして先ほどの情報をもとに犯人の人物像を考察する。 「さっきの話でだいぶ絞れるな。」 「そうですね…まず『医学・解剖学に精通する者』その中で『事件発覚前夜にアリバイの無い者』 そして臓器などを持ち去っていることから儀式性…『秘密結社や黒魔術に関わる者』もあげられます。」 セバスチャンが真面目な面持ちで語る。 「ちょっと…どこが絞れているのよ。」 マダムが反論する。 この社交期にどれだけの人数がロンドンに集まっていると思っているのか、と。 反論することで、より自身の身の潔白を証明しているのだろう。 そんなことを考えているのか…はっきりとした証拠はないが、否定することで自分は犯人を見つける側だと主張している。 「ファントムハイヴ家の執事たる者、それぐらい出来なくてどうします?」 セバスチャンは決め台詞を残し、馬車から飛び降りた。 「さて…俺らも行動しようかの?」 「ん…そうだね。」 「え、ちょッあなた達も飛び降りる気?」 「はい、降りますよ? ではマダムに劉さん、シエルはまた後で、アリベデルチー。」 撫子がまず飛び降りた。 「俺も行くわ…後での。 グレルは道にッぅ……。」 仁王も撫子に遅れながら飛び降りた。 二人とも馬車に向かって手を振っている。 そして馬車の姿が見えなくなった。 二人はゆっくり歩きだす。 「ねぇ…仁王……私、耐えられないかもしれない。」 「……。」 何故馬車から降りたのか、 それは原作に対して変更しようとしたら起こる体調の不調について話がしたかったからだ。 「あの屋敷でマダムに対して、悲しい表情、感情を露見させてたら物凄く頭が痛くなった。」 「同じく。」 「さっきも、セバスチャンが考察して言っているときに、違うって言いかけたら…比べ物にならないくらいの激痛だった。」 「グレルに…道に迷うなって言いかけたら…死ぬか思った。」 「やっぱり私たちは異物で、この物語は完結してて、シナリオは決められてて、変えようがないのかな?」 「…あぁ……。」 「表情にも表わしたらダメで、その感情を持ってもダメで、行動を起こしてもダメで……。」 「…椿崎は何度もトリップしたこと有るって言っとったけど…こんなんは初めてなんか?」 「うん…こんな頭痛くなることは…初めてでッ!!」 「そうか…じゃが……どっちみち俺らはこの物語が終わるまで帰れん、割り切るしか……ないぜよ。」 仁王が冷たい言葉を発した。 「分かっては…いるさ。」 けど…同じ女だからマダムの気持ちが分っちゃうから厄介なんだよ。 そんなことを話ながら二人は屋敷を目指す。 丁度門をくぐったた時にグレルが操る馬車が入ってきた。 その様子を見て二人は玄関の前で待機。 「はーーーーーぁ、やっと着いたねぇ。腰痛いよー。」 「グレルが道間違えるからエライ遠回りしちゃったじゃない!」 「スミマセン、スミマセン。」 「「おかえりなさいませ、シエル、マダム、劉。」」 二人が扉を開ける。 「ほら!!あそこから歩いて帰った雅治と撫子よりも遅くなったじゃないの!!」 「本当にすみません 死んでお詫びを!!」 「グレルさん、死ぬなら敷地の外でお願いしますね?」 屋敷の中から声が聞こえる。 その声に驚いた様子のマダムと劉とグレル。 「あ、セバスチャンさんお疲れ様。 私午後の紅茶、準備するね?」 「俺も行くぜよ。」 仁王と撫子が屋敷の奥に入って行った。 「お二人とも頼みましたよ。」 準備をしている中、セバスチャンの声がひっきりなしに聞こえる。 調査をして分かったことを口頭で伝えているのだろう。 [mokuji] |