第03話 ニナは生地を何処からともなく用意して、チクチクと縫い始めた。 その時丁度、セバスチャンが様子を見に来た。 「……どうなったのですか?」 「ニナさんに全部任せてまーす。ニナさんに聞いて、」 セバスチャンはニナの所まで行き型紙を拝見。 少し渋い顔をして戻ってきた。 「……まぁ、お二人共にはこの世界の常識が通用しないところもあるようですし…撫子の足の露出も見逃して差し上げますよ。」 「アハハハハ…やっぱし?」 基本撫子の服装は気に入ら無いようだ。 「お二人とも、今回の服は坊ちゃんからのプレゼントですので心して受け取ってくださいね。」 「「え!?」」 「『短い間だけだが僕の世話をする一流の使用人になるんだ。恥ずかしい恰好はさせれない。服を用意してやれ』とおっしゃいました。」 「わー!!シエル坊ちゃんマジ愛してる!!」 「プリっ。」 「では、これから二人にはそれぞれ仕事についてもらいますから、分からないことがあれば私に聞いて下さい。」 「「イエッサー!!」」 ――――― ―― こうして二人の使用人生活が始まった。 ニナからは完成した服を受けとり、それを毎日着用中。 別段いつもと変わらないが仁王はきっちり着こなすことに慣れていないらしく「襟元を開けたい」…と呟くことがしばしばあった。 過ごして、プロ並みに撫子は仕事をこなす様になっていた。 元々マネージャーをしていたり、一人暮らしをしていたりだ。 色々とできない方がおかしい。 そうして過ごしているとフとある疑問が脳裏をよぎった。 「ねぇ…私たちって、現実世界に戻るとき…どの時間に戻されると思う?」 マジで日付が変わっているのか、それともトリップさせられた時間にもどるのかどうか、 前者だった場合は色々と問題が発生するぞ? 「あー…幸村らもそこまで鬼畜じゃないじゃろ。」 「うん……そうだよね!!」 さすがに前者は無いよね。 行方不明扱いされるのはマジ勘弁。 「や、でも神の子じゃからなー、気まぐれを起こすかもしれんぜよ。」 「お前は私を安心させたいのか、不安に陥らせたいのか、どっちだ。」 「プピーナ。」 「おい、お前ら口を閉じろ。降りるぞ。」 「「イエッサー。」」 シエルにそう言われ、撫子と仁王、そしてセバスチャンが馬車から降りた。 シエルとセバスチャンを筆頭にお屋敷を目指す。 撫子と仁王は少し後ろの方でコショッと話す。 「椿崎、今はそんなこと考えるより……ついに始まったぜよ。」 「そう…だね。ねぇ、私はマダムも助けたいんだけど…良いかな?」 「でも変えれん言うとったじゃろ。」 「そうだけど…足掻くだけただじゃん?それで救えたら万々歳じゃん?」 「まぁ…の、」 話し合いは解決し、二人はこの物語を変えるため動こうと決意した。 そしてお屋敷の中に入っていく四人。 ついに対面。 マダム達が居る事の知らないシエルとセバスチャンのポカン顔が見れるかもしてないということで撫子の脳内はwktk状態だ。 セバスチャンが扉を開けた。 「まったくこの家はドコにお茶しまってんのかしら。」 とマダムが棚の中を探す。 「見当たらないねぇー。」 と劉が花瓶の中を探す。 そしてセバスチャンの脳内で「静かに過ごせそう」という言葉が崩れ去る。 撫子と仁王は後ろの方で小さくガッツポーズ。 「マダム・レッド!?劉!?何故ここに…。」 シエルが叫ぶ。 「可愛い甥っ子がロンドンに来るっていうから顔を見に来てあげたんじゃない。 あら?その二人はどなた?」 マダムが撫子と仁王を指差す。 「こちらは最近使用人として雇った方々です。撫子に雅治、挨拶をしてください。」 「ファントムハイヴ家新人執事、雅治・仁王ぜよ。」 「同じく新人メイドの撫子・椿崎DEATイッ!?」 「そう、よろしく。私はシエルの叔母のアンジェリーナ・ダレスよ。マダムレッドって呼ばれているわ。 こっちの糸目は劉、まぁ…友達みたいなものかしら? で、こっちが私の執事グレル・サトクリフよ。同じ使用人同士仲良くしてやってね?」 「了解じゃ。」 他愛の無い挨拶の後、使用人たちはお茶の準備をし始める。 そこで仁王が撫子に話しかけた。 「のう…さっきなんで最後まで言わんかった?」 「や…なんかねDEATH★って言いたかったんだけど、なんか頭に激痛が走って…。」 「…それってまだ原作じゃDEATHって言っとらんけんか?原作を変えようとしたら……頭が痛くなる…、これが変えようとしたら起こる症状か?」 「…かもしれない。」 二人は明らかになった事実に動揺しながらもお茶を持ってシエルの待つ部屋へと向かう。 [mokuji] |