青春トリップ!!?  | ナノ


デュラララ!!の世界に行ってきた 2


「デュラララ!!の世界よ!私は帰ってきた!!」

確か撫子が初めてトリップした先はデュラララの世界だった気がする。
その時は試運転とか言ってかなり焦らされた記憶がある。

「撫子さんはこの世界に来たことがあるのか?」

「はぁっ!今回は同行者が居る!!前回はねー、一人だったのですよ。」

しかし今回は柳と言った心強い同行者が居る。
一人でないことに撫子は両手を上げて喜んだ。

「ほう、どういったモノだったんだ?」

「あのねー―――。」

簡単に内容を話す。
臨也のコスをしただとか、臨也の姿で静雄の前で土下座したとかその他色々。

「それは…どちらに同情するべきか迷うな…。
しかし、この世界は前回のモノの続きとは限らないのだろう?」

「うん、確かに限らないけど…手っ取り早く臨也の事務所行ってみる?」

「あぁ、そうしよう。」

二人は池袋を歩いて臨也の事務所を探す。
途中乙女ロードに立ち寄りたくなったのだが、ここは我慢である。

しかし問題が発生した。
臨也の事務所が何処だか分からない。

「うーん…マスター、分かるかね?」

少々疲れてしまったよ。
気疲れともいうのかもしれないが、まだまだ柳の方は体力があるようだ。
これが選手とマネージャーの体力の違い!撫子は少し自分に自信が持てなくなってしまいそうである。

「残念だが俺の知っている池袋とは違うから何とも言えないな。
よし、では撫子さんはこの辺りに居てくれ、俺は少し聞き込みをしてくる。」

「あー、了解。そこのコンビニに居るわ。なるべく早く帰って来てね。」

柳…お前はなんて男前なんだ。
この世界では撫子達の持ち込んだケータイは圏外で使えないためにこのような対策をとった。
バラバラで動いてこんな街中で迷子になったなんて言ったら巡り会えることが出来る確率…一桁、だと思う。
撫子は柳に言ったようにコンビニで待機することにした。

しかしながら暇である。

何故ここのコンビニと言ってしまったのだろう。
どうせならアニメイトとでも言っておけば狩沢やら遊馬埼やらと出会えたかもしれないのに!
なんて失態。
だからと言って勝手に移動することはフラグである。
早く柳がここに戻ってくることを願うしかない。

コンビニのお菓子売り場を目的も無くジーッと見つめておく。

「おねーさん、今暇ですかー?」

ナンパ的な声が撫子にかかる。
いや、確実にナンパである。
とても面倒くさいので、シカトを決め込むことにしよう。

「………。」

「ねー、おねーさんってば。」

「………。」

「シカトですかー?僕傷ついちゃうなぁ。」

「ま、正臣…やっぱナンパやめようよ。お姉さん迷惑そうだよ。」

「正臣、だと!?」

「お?おねーさん俺のこと知ってる感じ?やー、有名人は辛いね。」

デュラララの登場人物の名前を撫子は耳にし、撫子は声のする方を見た。
すると予想通りと言うかなんというか、正臣と帝人が居たのである。

「正臣、それは悪名かもしれないよ。だってここでよく正臣、ナンパしてるでしょ。」

「ノンノン、そんなナンセンスな意味じゃないっしょ!ね、おねーさん。」

「あー…はい。まぁ、色々知ってるよ。」

「ヤダァ、おねーさん俺のストーカーだったり?」

「ちょ、正臣!それは失礼でしょ!!すみません…えっと……?」

「椿崎撫子です。」

「椿崎さん。」

「なっ…帝人に名前を先に聞かれたなんてっ、帝人恐ろしい子!!」

「もう、いい加減にしないと僕も怒るよ!」

二人がとても仲良く目の前でイチャついてくれている。
正臣って基本距離が近いからとても、あれですよね。美味しいですよね。
それに帝人を助けたいがために真っ向からぶつかることを覚悟するなんて、男前だなおい。

「…あー……萌え…。」

「ん?おねーさん何か言いました?」

「いや、別に。」

「それよりもおねーさん俺とお茶しない?」

「とても心躍るお誘いではあるけれど、だが断る。
ここで人待ってるんだよ。」

「えー、こんな素敵なおねーさん待たせるなんてダメな奴だねー。」

「いやいや、マスt…彼はいい人だよ。私が疲れたと言えば彼が代わりに探し物をしてくれてるんだ。」

「椿崎さんは何を探してるんですか?」

「折原臨也の事務所。」

「…おねーさん、何者?」

「ん?私は…ちょっとした異物だよ。大丈夫、君達に危害を加えようとかそう言うたぐいのものじゃないから。強いて言うなら旅行者?」

「旅行者が臨也さんになんの用ですか。」

「ちょっと確かめたいことがあってね。やー、ぶっちゃけ臨也を笑いに来たと言うか、土下座させに来たと言うか。
ね、臨也がシズちゃんに土下座したとかそう言うエピソード無かった?愛を高らかに叫んだとか。」

因みに今回の指令書は『臨也に土下座させる(6時間以内)』である。
ハードルが上がっている。

「そうそう!ありましたよそのエピソード!丁度一週間前辺りっすかね?」

「あったねぇ、でもそれは確かそっくりさんが恰好を真似してそれをやったって言う話だったと思いますけど…。」

謎は一つ解けた。
どうやらこの世界は前回来た世界と一緒であり、そしてその時間軸からそんなに時間も経っていないことが判明。
生乾きの傷を抉ってやる時がついに来たか…。

「マジでか…情報ありがとう。後は事務所の場所が分れば――。」

「撫子さん、待たせたな。」

いいかな。と言おうとした瞬間に柳が帰ってきた。

「おお!マスター!!帰って来たのか、乙!見て見て、正臣君と帝人君だよ!!」

「む、初めまして柳蓮二だ。」

「初めまして!」
「は、初めまして…!」

「さて撫子さん、臨也の事務所は分かった。」

「マジでか!こっちも分かったことがあるよ。私がこっちに来て暴れたのが一週間前の話らしい。いやー、丁度抉りやすい時期だとは思わないかね?」

「…そうだな。」

「ではでは時間制限もあるし、君達、よい青春をねー。後悔すんなよ!!って年下の私が言うのもあれだが、」

「「え!?」」

「撫子さん、また年上に間違えられていたのか…。」

「まぁな、かっきからおねーさんって呼ばれてな。面倒くさかったから訂正しなかったのだよ。
因みに私中3だから!じゃ、アデュー!!」

撫子は正臣と帝人のきょとん顔を心のフィルムにしっかり納め、臨也の事務所を目指す。
そしてついた先はアニメでも何回か見たとてもとても豪華なところ。

「あ、なんだろ。ここに我が物顔でウザヤが住んでると思うと、…壁に落書きしたくなる。ペンキで折原臨也17歳ですって書いていい?」

「止めておけ。またこの世界に来たとき気まずくなるぞ。」

「大丈夫だ、既に前回の行為をしただけでも今の私は若干の気まずさを感じている。」

「……そうか。まぁ、時間が無いので行くぞ。」

「ラージャ。」

二人はさっそく玄関まで歩いていって、チャイムを押そうとした。
そうしたら丁度中から波江が出てきた。

「「あ。」」

「…どちら様?」

あからさまに怪訝な顔をされた。
きっと仕事を終えてこれから弟ウォッチにでも向かおうとしたのだろう。
しかし、一応秘書としての役割を果たそうとしている。…表情は怖いけど、

「折原臨也に用事が…。」

「あいつに?…ご予約とかは?」

「いや、ないです…けど。」

「ではまた後日、いらして下さい。」

「いや、ちょっそれじゃ帰れなく…。」

「矢霧波江。ここに弟の写真があるのだが、どうだろう。中に入れてはもらえないか?」

そう言って柳が提示したものは誠二のナイスショットな写真数枚である。

「ッ!?…いいわよ。入って。」

柳はどうも、と言いながら写真を手渡した。
それから波江は帰宅、そして撫子と柳は中へ入ることが出来たのである。
しかし、何故柳はそのようなモノを持っているのだろう。

「マスター…何であんなものを?」

「備えあれば憂いなしだ。
街中で偶然見かけたからな。対策として撮っていたのだ。」

「…マスター…それ犯罪……。」

「バレ無ければ大丈夫だ。むしろ今この世界で戸籍が無い方が危ないだろう。」

「ま、確かに…じゃぁ、もう早速接触と行きますか。」

そうして奥の方へ歩いて聞けばそこにはTVの前に座って居る臨也が居た。

「あれ?波江さん、帰ったんじゃないのー?何、忘れも…の………。」

撫子の足音を波江のモノと間違えたのか臨也はニヤつきながら言葉を紡いだ。
臨也は最終的にこちらを見てしまったところで動きが止まった。

「おはやっほー!撫子たんだお!!お久しぶりー。」

「ッ椿崎撫子!!と誰!?」

「…柳蓮二だ。」

柳は珍しくケータイをいじりながら答えている。
初対面の人に対して行うべきことではないと思うのだが、臨也だからよし。

「いやー、今回も飛ばされちゃってぇ。で、今回は君に土下座をしてもらわなければならないと言う展開になったので、どうぞシクヨロ!!」

「俺はお前のせいでここ一週間まともに外に出れてないって言うのにどういう事かな。俺は逆に君に土下座してもらいたいね。」

「え?私が土下座したら土下座してくれる?」

「いいよ、してやっても。
ただし、頭を床にこすり付けるんだよ?」

「おk把握。…すみませんでしたぁああああ!!」

「!?」

撫子はおkと言ってすぐさま膝を折り、床に座ってそれから両手を前に、そして頭を床にこすり付けて謝罪。
とても素早い反応である。
臨也は簡単にすると思っていなかったらしく、驚いている。
撫子は前回の時思いっきり公衆の面前で土下座かましていると言うことを忘れたのか?

「…撫子さんにプライドは無いのか。」

「え?これむしろご褒美じゃね?私loveキャラに対してはドMになれる人だから。
さぁ!私は土下座したから次は臨也の番だぜ!!」

「………そんな約束した覚えは無いなぁ。」

「やっぱりか!言うと思ったけどよ!!」

「しかし、折原臨也。
前回もこのような流れになったのだろう。いい加減学習して始めから素直に謝ってみたらどうだ?」

「うわ、なに?君、見透かしてそうで気持ち悪いんだけど。」

「おいおい臨也よ。言っておくがマスターは私より達悪いからな。」

「ふーん、具体的には?」

「…マスターの妄想は一の設定があったら十の妄想が出来る。さらに矛盾点は無い。」

「それがどうしたって言うのさ。」

「………具体的に言うと…君の設定に『人間愛』とあるが、君自身は含まれていない。君自身は人として愛していないことになる。
と言うことは、自分自身を人と考えていないことになる。つまり自分を化け物だと思っている。そして化け物と君が言ってる人物は一人居るよね。そう、シズちゃんだ。
つまり、自分をシズちゃんと同じと考えている訳であって―――…。」

「ストォォオップ!!なんて不名誉!?そんな事実無根なこと誰が信じるか!!」

「だから言ってんじゃん!所詮妄想だけどマスターの妄想には矛盾点が無い!!人は矛盾点を見つけなかったらそれを真実だと信じてしまう訳であって…。」

「と言う事だ。ちなみにダラーズの掲示板に既にログイン済みであり、さらに先ほどの妄想の数倍甘ネタを入れた文章を書き込む一歩手前なのだが、どうだろう?」

先ほどから柳がケータイをいじっていた理由は書き込みをしていたからだそうだ。
しかもダラーズの掲示板って…。

「え…それ、マジで言ってんの?」

「ここで冗談を言うほど俺は落ちぶれていないが?さて、どうする?おっと滑ってエンター…。」

「ごめんなさい!」

柳が押してしまう瞬間、臨也は折れて、土下座した。
そしてその風景は撫子がすかさず写メった。

「おー、絶景かな絶景かな。」

「ク…またこんな屈辱をッ!!」

「お疲れ様だな。しかし、ネタばらしをすると俺と撫子さんのケータイは圏外になって使い物にならないのだがな。」

「なっ!?」

「しかし撫子さん。まだ制限時間まで2時間程度あるが、今回は未練はないのだな。もう少し街で登場人物たちを眺めてから、と言いだすと思ったのだが。」

「いんやぁ…確かにそうしたかったけどさー、それ言いだしたら切ないなぁって思って…それに…。」

「それに?」



「残念ながらこの世界にはショタ成分が全くと言っていい位ないからな。」

「あぁ…。」





――――――――――
500000hit企画第39弾
梓玉様リクエスト「デュラララの世界に行ってきたの続編/一緒にトリップするキャラ等はおまかせ」でした。

シズちゃんを出すことが出来なくてすみません!!
むしろ正臣と帝人としか絡んでなくてすみません!!

しかし…デュラララの人物…久しぶりに書きました。
と言うより、これを書くに当たり半年ぶりに原作を読みました。
本当は臨也さんカッコいいのよね…。
原作ではシズちゃんとの直接の絡みは一回ぐらいしかないのよねって言う…。


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