戯言シリーズの世界に行ってきた 2 「そうだ、京都に行こう。」 無表情で撫子が人識を見ながら呟いた。 「おー、行って来い、行って来い。」 「そうだ、京都に行こう。」 呟いた。 「…………。」 「そうだ、京都に行こう。」 呟いた。 「……つまり?」 「人識お兄様、どうか愚昧めに一目、いーちゃんを拝ませていただきたく。」 「だが断る。めんどくせーんだよ。 家は知ってっけど、欠陥製品がそこに居るとは限らねぇし…。」 「わー!!!酷い!酷いんだ!!可愛い妹の言うこと聞いてくれないんだ!! いいよー、別に、私一人で行くから、いーちゃん×人識で人識は押し掛け女房なんだぁ!!家の位置まで知って、押し掛けるんだぁ!!ついでにいーちゃんを押し倒すんだぁ!!襲い受けぇええええええええ!!!!」 「根も葉もねぇ妄想くっ喋ってんじゃねーよ!!名誉棄損だぞ!!」 「だったら連れて行けぇ!お前、名誉棄損だからって言って警察に飛び込むか?お前、京都連続殺人鬼の犯人だぜ?それでも公的機関に頼るのか!! そもそも裏世界自体に一般常識頼ってんじゃねーぞ。」 「…まさか別世界の撫子に言われると思わなかったぜ……。 ま、いいか。どうせ暇してたし、観光ついでに行ってもいいぜー。ただし、交通費は撫子持ちだ。」 「よっしゃぁあ!!金の事なら任せて!舞織ちゃんとカンパして、それから経費として落とす。 舞織ちゃん、私行って来るね!!期待してて!!」 「はい!口惜しいですけど、行ってきてください!! この家の台所は舞織ちゃんが守ります!」 「おねいちゃん、ありがとう!! では、行って来ます!!」 身一つ。 それから忘却無銘を履いて、玄関を出る。 人識と京都のぶらり旅。 「いってらっしゃぁい!私塩八つ橋好きですぅ!!」 「分かったぁあ!!」 舞織とも暫しの別れ。 いーちゃんと人識のフラグ大量に回収してくるから、待っててね。 とりあえず撫子と人識は…と言うか撫子が新選組聖地巡礼したいと言う事だったのでいーちゃんに会う前に巡礼することにした。 「はぁ…ッ人識、人識!壬生寺だよ!?壬生寺!!となりに八木邸までっ!!」 「あー…確か宿にしてたって話だっけか?さわりしか知らねーな。 つーか、ここで終りか?」 「そんな訳ねーじゃんか!!あとは西本願寺行って、平助と伊東さんのお墓参りさ!!」 「……そか、」 そうやって宣言通り西本願寺へ行ってみると、そこにはあまり関わりたくない様な外見をした男が境内のほぼ中央に立っていた。 「ね、人識……あれ。」 「撫子、見ちゃいけません。」 「ママー。なんで和服なのぉ?hshs、なんで狐面被ってんの?hshshshshshs、狐さんhshshshshshshs。」 そう、関わりたくない男と言うのは着物を着て、顔には狐の面を着けている男の事。 所謂狐面の男と称される人物が居たのだ。 勿論撫子的にはキャラに会ったと言う訳でテンションが変な方向へ飛びそうに。 「シッ、あれに関わったらろくな事起きねぇんだよ!!」 「それについては禿同。 でも私、境内歩き回りたいから狐さんが消滅するまでそこの建物で待機でもいい?」 「あぁ、別に急ぐ旅じゃねーからいいぜ。」 二人は近くの建物に入って見ればそこは観光客がいっぱい居て、饅頭を売ってたり、お茶が無料で配られていたりと完璧なる休憩所である。 小腹が空いていた二人は饅頭を買ってから誰も座っていなかった椅子に腰を掛けた。 「よぅ!!顔面刺青の野郎!お前がいーちゃんの鏡のぜろりんか?俺は奇野ライチ!親しみを持ってキノラッチって呼んでくれ!! しかし、お前今流行のリア充ってやつか?」 「キノラッチだぁああ!!!」 人識ではなく撫子が反応。 「姉ちゃんノリいいな!嫌いじゃねーぜ!!物理的に爆発してもらおうとしたけど止めといてやるよ!」 「わー!冗談に聞こえねぇ!!」 「離れろ撫子!!」 人識が撫子の首元を持って建物から出て行った。 なるべく奇野と距離を取りたかったのだろう。 「グェェエエ!?いきなりなにさ!!」 「奇野ってやつは呪い名のッ!!」 「知ってるって、体中のあちこちに毒仕込んでる一族でしょ。 私はイレギュラーだぜ?イレギュラーにこの世界の理が通じると思うなし。 さっきからピリピリピリピリ、肌が焼ける感じしてんすけどキノラッチさん?何かしました?物理的に爆発なうですかね。」 「アハー…俺の毒が本当に効いてねぇ。だったら、狐さんに危害が加わる前に俺が倒しておく必要があるらしいな。」 虚勢を張るように、奇野が自分のベルトとして使っていたチェーンを鞭の様に扱ってピシャリと音を立てた。 「腕試し?ね、人識、私やってもいい?」 撫子がコツコツと靴を鳴らす。 「殺すのは止めとけよ。」 「あら嫌だ。人識さん、私に呼吸をするなって? ま、了解ですよ。私も記憶飛ばしたくないし、飛ばしてキノラッチの戯れ忘れたくねぇし!!」 撫子は地面を蹴って一気に奇野へ飛びかかった。 しかし奇野、ビビッてしゃがむ。 「ヒッ、おまっ女の癖に戦闘できんのかよ!! 俺のはったりにのってんじゃねーよ!ビビッだろ!!」 「あーはーはーはーはー!!女にはったりかますからですぅ。君のそのはったり、毒が効く人にやんなきゃダメでしょ。 なに?私の事一般ピーポーだと思っちゃった?」 「…ちげぇのか?」 「違う、違う。私は椿崎撫子、これでも生まれたばっかの零崎だぜ!!」 「生まれたばっかの零崎だぜ、ふん。本当にここに来ているとはな。足を運んだ甲斐があっt―――。」 「あー!!人識ー!!人識が居るぜ!!ギャハハハハ!俺と今からやり殺っちゃおうぜ!!」 「ヤダよ!!」 「お姉さん、女の零崎なんだ!名探偵の血が騒いじゃうよ!!」 「わー!!匂宮兄妹だぁ!!会えると思わなかった。ね、ね!!ハグ、ハグさせて!!」 「ハグ?ハグなんだね!!手が出ないからお姉さんから来てほしいな!」 「ひゃっほおおお!!許しが出たぜ!!でもね、私ねまだ中3!!」 「えっ、そうなんだ!年上かと思っちゃった!!」 「私は逆に理澄ちゃんが年下に見えちゃうからお互い様ってやつだよ!」 狐面の男が撫子のセリフをパクって自身の持つ口癖を言おうとしたらいつの間にか合流していた拘束衣を着ている出夢とマントを羽織っている理澄が言葉を遮ってさらに撫子が乗っかって、狐面の男の登場は薄れている。 奇野もいつの間にかログアウトである。 「…フ、フン。俺の発言をシカトするなんてやるな、新たな零崎よ。 というかさっき俺の姿を見てから建物に入って行っただろ。」 「あー…こんにちは、狐さん。あなたの所業は全部知ってるんで、メガネフェチさん。 忍足を激しく紹介してやりたいです。メガネフェチのロリコンで、わぁおそう言えば狐さんもロリコンですね。めちゃめちゃ気が合うじゃないですか。」 「めちゃめちゃ気が合うじゃないですか、ふん。ちょっと待て、いつの間に俺はロリコンというレッテルが貼られている。 そんな扱いなのかお前の元の世界では。」 「ええ、私限定ですけど。」 「お前限定か!!」 「だっておじ様を虐めたいお年頃なもので。ロリ狐ンさん。」 「おい、今変な発音しなかったか? それよりも俺はロリコンではない。普通に姉ちゃんが好きだ。」 「セクハラだ!!」 「セクハラだ。フン、違うわ!!」 「なに言ってんすか!思いっきり出夢君や理澄ちゃんを侍らかしてるじゃないですか!!」 「ただの部下だ!!」 「じゃぁパワハラだ!!」 「ギャハハハハハハ!狐さんが口で圧されてるぜ!!お姉さん…じゃねーな、確か撫子ちゃんよ!」 「あらー?何故だか出夢君の格好が心なしかさっきよりもボロボロになってる?」 「人識と殺りあって今、休憩中なんだぜ!」 「あー…。」 そう言えば人識が撫子の視界に入っていないなと思っていたら背後でそんなことが起きていたのか。 クソ、狐面の男に気を取られ過ぎていたようだ。 「ハァ…ハァ……撫子、もう行くぞ。次行くぞ!!」 「えー、もっと13階段の人と駄弁りたいー。」 「こいつ等に構ってっとろくなことがねーんだよ!!俺はもう嫌だ!!」 「仕方ねぇな。じゃ、理澄ちゃん、出夢君、狐さん…とキノラッチ。縁があったらまた会いましょー!」 狐面の男を精神的にフルボッコにして、それから適度に理澄をハグしまくって、hshsして、ひゃっほう。 [mokuji] |