三次元に行ってきた 「…………………ここ、普通に私の部屋だよね?」 「せやなぁ…滝ら失敗したんやろうか?」 撫子と忍足は滝の気まぐれでどこか違う世界へと飛ばされたはずだった。 はずだったのだが、目覚めてみるとそこは撫子の部屋。 本当にミスってしまったのだろうか? 撫子はいつもの様に指令書を探して発見。 そこには『2日間その世界で過ごしてね』とある。 その世界っつっても変哲なところなんてないんだが…? 「とりあえず、コンビニ行く?腹減った。」 「なら行こうか。」 二人は家から一歩出た。 周りの様子も別に何も変わっていない。 そしてコンビニに到着。 二人は食料や飲み物を物色してお金を払う。 「あ、少年ジャンピだ。新刊かな?」 撫子は見たことのない表紙のジャンピを見つけたので買い忘れていたのかと思いチェック。 「…読んだことあるなぁ、表紙だけ違う? …………ん?『テニスの王子様』?何それこんなの連載してたっけ?ねー、忍足ーアンタはこれ知ってる?」 「は?『テニスの王子様』?そんなん連載やっとったっけ?内容見てみ?」 「うん、これから…テニスの王子様って跡部がなんか似合いそう。」 「何言っとん、跡部はテニスの王様やろjk。」 「そだな!」 撫子は黙読し始める。 そして読み終わったかと思うと忍足の腕を掴んで物凄いスピードでコンビニを後にした。 「ちょっ、なんやねん!?何があったんや!!」 「いや、ちょ、マジでマジ?って感じなことが!!」 「意味分からん!!」 程なくして撫子の部屋に到着、撫子は流れるような動作でコンビニの袋を放り投げパソコンに電源を入れた。 何の事だかわからない忍足は茫然、撫子がパソコンに向かっている間暇なので先ほどかったおにぎりとかを食すころにした。 カタカタと軽快になるキーボードの音、焼きのりのパリパリと言う音でこの空間はしめられた。 「…………マジか、マジなのか、滝様マジ怖ぇ…。 ねぇ、忍足…これらのことどう思う?」 撫子はパソコンの前から立ち上がって忍足にこの画面を見るように指示。 「ん?なんや?………え、これ…なんなん?」 「これ、許斐剛先生って人が書いてるスポーツ漫画『テニスの王子様』のウィキ先生の記事…。」 「え、でも名前も趣味も全部俺らやん。うわ、好きなタイプまでバレとる!?」 「他にも調べてみたらメチャメチャこの漫画メディア展開してた…。 って言うか、私達の世界ってこの世界では漫画の世界なんだよ、きっと…滝様マジ怖いッ!!」 「え、えー…なんや頭がこんがらがるわ…しかも全国大会決勝まで話があるんか…。」 「うん、私がコンビニで読んだジャンピで最終回だったらしい…。」 「うわー、俺の趣味が、別の世界では知れ渡っとるんか!!なんちゅー羞恥プレイや!」 「大丈夫だ、なんかこの漫画の主人公校は青学っぽいからアンタに焦点が当たってるのはかっこいいポーカーフェイスファイターの所だけだから安心しな。 そうだ、確かめてきなよ、漫画喫茶行ったら置いてあるんじゃない?」 「せやな!ちょっと行って来るわ!!」 忍足は財布をひっつかみ、速攻で漫画喫茶へと向かって言った。 「さて、私は…やるべきことはいくつもあるね。あー、ネウロの髪の毛が欲しい。目が足りねぇよぜってぇ!! だがしかし、唸れ!俺の身体能力!!」 漫画になっていると言ったら二次創作だろう!! この世界ではどんなCPが主流なのかしら!? あわよくば新たなCPを!! それからメディア展開の有名どころを制覇しよう。とりあえずキャラソンを聞いて、ネットサーフィンをして、ミュージカルって言うのも気になる。 うはー!ヤバい!なんだろうこの禁断の扉を開けるような感覚! しばらくして忍足が帰宅してきた。 一応全巻読破してきたのか、目が疲れていた。 「撫子……青学って物凄いエピソードを抱えてたんやな。思わず泣きそうになったわ。 よりも俺、めっちゃかっこよかったでぇ、ロリコン表記なんて一切無かったで!俺めっちゃクールや!!」 「…………。」 「撫子?」 撫子から返事が無い。 懸命にディスプレイとにらめっこしている。 「………これ、邪魔したら伊達眼鏡9号が宙を舞うことになるやんな…?」 忍足は自分の危機を察知し撫子にちょっかいをかけることを止めた。 うん、賢明な判断だ。 そして帰ることとなった二人。 撫子はまるでゾンビの様な存在になっている。 「ぉぉ、ぉ…今日帰る日か…良かった…見たいもんは全部見た…ッ!!」 「……撫子?大丈夫か…?」 思わず心配して声をかける。 「忍足…お前って………フっ。」 忍足に向かって含み笑いを浮かべた撫子。 「な、なんやの?」 「だって…ねぇ、漫画にアニメにラジオにキャラソンにミュージカルにゲームに、ねぇ…語りつくせない萌えがあったッ!!」 「え?そんなにテニスの王子様ってメディア展開してたん!?」 「もちばち!!しかもお前、メバーチコッ!ってなんだよ!!延々とメバチコ言いやがって!ゲシュタルト崩壊したわ!!しかもテニプリのゲームで本気マジ逮捕されろ!!ヒロインマジ可哀想!! テニミュセカンドでも逮捕できない菊足かと思ったのに!!逮捕できない綺麗な忍足だと思ったのに!なんで岳人に対して暴走してんの!?実にご馳走様です!!」 「頼むから落ち着いてくれや!!ていうかテニプリとかテニミュとか何!?」 「略語だバーカ!!でもやっぱりあっちの世界に戻って一番に広める物は決めてんだ。」 「な、なんなん?」 「チャームポイントは泣きぼくろ、はひふへホクロ。キリッ!!」 「ハァッ!?なんやそれ!?」 「跡部の歌らしい…もっとかっこいい曲は流石跡部と言ったところか…メチャメチャあったわ…でもこの中でのこのネタ曲は絶対に広める!! 止めるな、忍足よ!!」 「まぁ…俺に害は無かったら止めへんけど…。」 「……うん、無い無い…と思うよ?とりあえず帰ったらマスターに報告して、それからサイトで……あ、これってパクリになっちゃうかな?でも二次創作でもないよな……。」 帰ってからの計画を事細かに決めはじめる撫子。 ブツブツブツと念仏の様だ。 「…もう、勝手にしぃ……。」 ――――――――――――― 400000hit企画第7弾 霜月様リクエスト『もし主がテニスの王子様という漫画がある世界に来てしまったら』でした。 新しい発想でしたよ! まさかこんな神がかっているリクエストをして下さるとは!! 目からうろこがボロボロ出てきました← 主はたった二日でアニメもミュも二次創作サイト様を大方制覇したみたいですね。 しかし…自分が一個も登場しないことをどう思っていたのでしょうねー。全く想像つきませんが…。 [mokuji] |