戯言シリーズの世界に行ってきた 意識が朦朧とする中最後に聞いた言葉が滝の言葉。 『君はここに居ちゃいけない。』 なんでそんなことを言いながら私から後ずさっているのだろう。 おかしいな、なんで私の足には血がついてるのだろう? そしてなんで私は、 「こんなことを……?」 撫子はちゃんとマネージャーをしていた。していたはずなのに、 どうして目の前にはたくさんの死体が列をなしているのだろう。 「やぁ、君が撫子ちゃんかい?」 撫子の目の前には背広を着た針金細工の人形のような印象を抱かせ、異常に手足が長い。髪をオールバックにして銀縁眼鏡をかけている。 その男の名前は、 「……零崎双識…?」 「あぁ、やっぱり知ってるんだ。じゃぁ自己紹介は要らないな。 さて、撫子ちゃん。私の妹にならないか?」 「………。」 情報処理が追いつかない。 滝に戯言シリーズの世界に飛ばされたことは確かなのだろうけど、 目の前に広がっている死体の山に、噎せ返る様な血の匂い。 身近な存在ではない物たちのはずなのに、嫌悪感は抱かない。 何故? 何故? ――何故? 撫子の思考は停止して、ログアウトした。 ――――― ――― 「やぁ、目が覚めたかい?」 「………………。」 再び目覚めるとそこはベッドの上で目の前、十数センチには双識の顔があった。 近すぎるだろ。 「レン、離れるっちゃ。」 「何だいアス。羨ましいのかい?」 「違うっちゃ!状況を把握してない、えーっと…撫子にお前のその顔は凶器だっちゃ。」 「そんな!私の顔がイケメン過ぎてそんなことが!?大丈夫かい!?撫子ちゃん!!」 「え、まぁ…はい。大丈夫…です。」 そういう意味で軋識は言ったわけではないような気はするが、スルーする。 「ではレン、説明を始めるのも…悪くない。」 「トキも焦らせないでくれないか? …撫子ちゃん。君は零崎だ。違う世界で生まれてしまったね。」 「……すみません。もう少し詳しく教えてくれませんか?」 掻い摘んで話し過ぎだろ。 「うーん…君は違う世界で零崎になってしまったんだ。マネージャーの仕事をしているときにね。その世界で生まれかけて、その異変に気が付いた滝君が君をこの世界に移動させたんだ。そして君はこの世界に来て、零崎が覚醒した。 私は滝君……。あぁ、滝君はこっちの世界でも有名でね。世界移動術者【幻視葬列:カレイドスコープアイズ】で有名なんだ。 それにしても驚いたよ。滝君に指定された市に行ってみたら生きてる人、君しかいなかったんだもん。」 「……え?」 「君は私以来の殺人鬼だ。 得物は君の場合、身体だって言ったら卑猥に聞こえるけど、変な意味じゃないよ。体術を得意にしてるって言えばいいのかな?」 「………。」 私が、人を殺した。 沢山の人を殺めた。 別にそれはどうでもいい。ここの世界に知り合いは居ないから。 でも、 「どうしたんだい?」 「………私の…元の世界、では誰も殺してないんですよね?」 「あぁ、幻視葬列が言うには殺ってないっちゃよ。ただ、危なかったそうだっちゃ。」 「……よかった。」 世話になっている人を殺してなくて、よかった。 「ん?撫子ちゃん、君は現実を受け止めていられてるのかい?」 「…まぁ…確かに、実際殺めたのは初めてだったけど…妄想ならいくらでもしてたから。 それより、私…零崎していた間の記憶が、全くないのですが…?」 「それは…自分の脳が制御しているのかもしれない。 脳は優秀だ。嫌なことは覚えさせない。記憶喪失だって原理は同じ、 撫子が忘れているのは殺しを容認できていない深層心理が働いたものだろう。」 「流石トキは詳しいっちゃね。」 「伊達に音使いをしている訳ではない。」 そう、音使いは脳に干渉する。 干渉するからこそ、脳に少しは詳しい。 それぞれ得意分野があるものだ。 今回、撫子は零崎として生まれ変わって武器が自分だと言う。体術だと言う。 忍足にプロレス技とか、蹴りをお見舞いしていたからなのか? 「……そういえば零崎三天王が揃ってる…。」 「ん?だってここは家だよ?家賊が揃っていてもおかしくは無いと思うよ。 後、二人…可愛い弟と可愛い妹が居るけど、もうすぐ帰ってくるんじゃないかな?」 扉の向こうからダッダッダッダ、と走ってくる音がする。 「新しい妹が出来たと聞いて!!」 「身長が高い女が妹になったと聞いて!!」 「お帰り、舞織ちゃんに人識。」 「うなー、なんで私達にお使いを言づけるんですかー。 私もお兄ちゃんと新しい妹を迎えに行きたかったですー。」 「それを言うなら俺だって!家でケーキ食っておきたかったぜ!!」 「まぁまぁ、パシリは最年少者の宿命だよ。 今回は妹が出来たけど、二人よりは年上っぽいからね。 撫子ちゃん。年下が兄、姉なのは気に食わないかもしれないけど、これが生まれ順だから我慢してね?」 「え…?私、舞織ちゃんより年下、だけど……。」 「「「「え?」」」」 「身長で人を判断しちゃいけないんだ!!私は……双識さん…ちょっと。」 撫子は双識を自分の元へ呼んで、自分の年齢を耳打ち。 もし自分の年齢が曲識の殺人ラインに引っかかったら、大変だ。 「あー……危ない。それは危ない。言わなくていいからね。妹っていう事実だけで。」 「了解…です。外見で判断することも大切だね。」 「なー!もう若干シリアスな空気止めねぇか? 新しく零崎が生まれる度にこんなしんみりしてたらこの家キノコが生えちまうぜ。」 「そうですよぅ!もうなっちゃった以上吹っ切れるしかないんですよー!! ってことで撫子ちゃん女同士仲良くしましょうね!」 皆とのファーストコンタクトはこんな感じ。 比較的撫子も大人しかった。 大人しかったが、その印象は時が過ぎるにつれてぶっ壊れることとなった。 ――――― ――― 「人識ー!!お願いだからこのメイド服着てくれないかな!?」 撫子がメイド服を抱えて人識を追い回す。 人識は撫子から必死で逃げる。 「嫌だっつってんだろ!?この前ナース服着てやったじゃねーか!!」 「いやー、あれはご馳走様でした! そしてそれとこれとは別腹!!着て!萌えを私に頂戴!!」 「や だ よ !!」 「ちゃんと見返りやってんじゃん!!ケーキとか、ケーキとかケーキとかさ!! あと、哀川さんコスしてやったじゃん!!」 「オーバーキルドレッドのコスプレは兄貴のリクエストじゃねーか!! まぁ、保養にはなったが…。」 「あれ?そうだったっけ?じゃー…あれだ、白衣に水着を着てやる。」 「な!?やめろよ!そういうの!!激怖ェよ!!」 「そんな人識激ダサだぜ!!」 そうこうしているうちに人識は家の中から脱出。 家の中だと狭いから逃げにくい。 しかし、それは撫子にも言えること、家の外だと追いかけやすい。 「フハハハハハ!!勝った!私に追いかけられてるのに外に逃げるとか笑止!!」 撫子は自分の得物、自分の二つ名でもある名【忘却無銘:サイキックミラージュ】を履いて人識を追いかけた。 【忘却無銘:サイキックミラージュ】と言うのはこちらに来て罪口商人に作ってもらった得物で、撫子が愛用している武器で、 黒いニーハイブーツのピンヒールとなっている。 体術を得意としている撫子の得意技が蹴りだからこれを作ったそうだ。 「ちょ、撫子ッ得物は反則!」 「私は欲望のためなら手段を選ばないのだよ。 それより服のあちこちに刃物仕込んでる人識に言われたくないね!この前フード引っ掴んで手ぇ斬れたんだもん!得物には得物っしょ!!」 「だからあれは悪かったって!!」 「私深く傷ついたんだからな!!二重の意味で!」 「ぅわぁああ!!蹴ってくんな!」 「お前はナイフを構えてくんな!!」 撫子は人識の頭を狙って蹴っているし、 人識は撫子の心臓目掛けてナイフを突き出してくるし、どっちもどっちだ。 「コラ!撫子ちゃん!!なんでキュロットパンツなの!?スカートにしなさいっていつも言ってるじゃないか!!」 双識が買い物帰りなのか、スーパーのレジ袋を手に提げて電信柱の影からこちらを見ていた。 「…双識さん……変態みたいですよ。」 「あ、スカートの中はスパッツなんて履かせないからね!」 「それが嫌なんだよ!短いスカートを履いたら下に短パンでもなんでも着るに決まってるじゃん!!私の得物はっつーか得意技は蹴りなんだから!!」 「だからいいんじゃないか!!」 「……確かにね、私以外のね、ロリっ子がね、してればね、可愛いけどね。」 「そうだよ!撫子ちゃんは推進派なんだからさ、自分もその代表に……。」 「だが断る!!」 「人識を捕まえるのを手伝うから!!」 「よし、代表になってやる!」 「な、ぅわ!?兄貴ッなにす!!」 撫子が代表になってやると言って後の双識の行動は早かった。 撫子と双識が言い争っているうちに逃げてしまえと思ってジリジリと逃げていたが、それを双識は目にもとまらぬ速さで人識の背後をとり、 速攻で拘束した。 「フッフッフ、人識。私も自分の目的のためなら何だって犠牲にする。たとえ、家賊でもだ!!」 「最低だな!!今、カッコいいこと言おうとしたけど、お前の言った最低だからな!!」 「キャー!人識の緊縛プレイ!双識さん×人識だぁあ!!」 「撫子ちゃん、約束は約束だからね!」 「ういっす!!」 そのまま三人は帰宅。 「「ただいまー。」」 「………。」 「うなー、お帰りなさい。 人識君また捕まったんですか。」 「……放っとけ。」 「人が心配してあげたのにー。」 「撫子ちゃん、人識は部屋に置いておくからね!」 「ありがとう!!」 「…そうだ、撫子ちゃん!この小説どうかな!?」 「ぉお!?舞織ちゃん、書いたの!?書いちゃったの!?見せて!」 「はい!撫子ちゃんの言う戯言遣いさんと人識君の小説ですよ!!」 舞織はケータイを撫子に渡す。 そして撫子は小説をガン見。 「舞織ちゃんすごい!!私のいーちゃんスペックの説明でここまで書けるなんて!」 「撫子ちゃんの説明がいいんですよー。 妄想しやすかったですよ。」 「いやー、もしかして舞織ちゃんが腐ってたら嬉しいなぁって思って言ってみたけど、まさか本当に腐っているだなんて…。」 「私も男ばっかのこの家でBLを誰と語らおうかと悩んでいたら撫子ちゃんが腐ってるんだもん!嬉しかったなぁ。」 「もう、運命だね!!それで次の新刊のことなんだけど…。」 「あぁ、それはですねー―――――。」 撫子と舞織があらぬ方向の話を始め、数時間後。 「みんなー、カレー出来たよー。撫子ちゃんも、舞織ちゃんも作りに来てくれないから私手作りの美味しいカレーだよー。」 「「ッしまった!!」」 いつもは二人が料理担当なのに、今日は話に花が咲いてすっかり忘れていた。 しかも双識作のカレーだなんて…死亡フラグ乱立てである。 一級フラグ建築士である。 「これは…腹をくくるしかないね。」 「はい…流石にこれは私たちの責任です……胃薬はまだあったはずですから…大丈夫、です…多分。」 零崎一家、集合して晩餐。 みんなそろっての……そろっての? 「あ、人識忘れてた。」 撫子は人識を拘束したまま放っておいた部屋に移動。 そこには現れた撫子を恨めしそうに睨んでいる人識が居た。 「撫子ー……よくも俺を忘れてくれたな?」 「いやー…ワザとじゃないのよ…? あわよくば人識がドМに目覚めてくれないかな…と。」 「…殺して解して並べて揃えて晒してやんよ?」 「……零崎を始めるぉ?」 ―――――――――― 300000hit企画最終弾 悠P様リクエスト「主が戯言の世界にトリップして零崎に覚醒/零崎一族中心/ギャグ」でした。 前半シリアス申し訳ない!! でもあのシーンは書いてみたかったんです! そして、勝手に主の二つ名を決めてしまってすみません!! 決め方は二つ名メーカーに「椿崎撫子」と記入して診断。 滝さんも同様に「滝萩之介」で診断しました。 いやー、滝さんの二つ名が案外似合っていることに驚きを隠せなかった…(葬列って怖すぎだろww) 【忘却無銘:サイキックミラージュ】を元に零崎化した主の特性を妄想してみた← 忘却と言うのは、主自身が零崎化しているときの記憶は飛んでるから。 無銘と言うのは、この世界での名前は要らないから。元の世界に帰れるかもしれないと言う希望があるから(殺人衝動を制御して元の世界に帰りたいと言う願望)、ここでの愛着をより少なくするために名前は要らないだとか。 あと、どうでもいいことだが、サイキックのキックと蹴りをかけてみました。 すみません親父ギャグで← 三天王みたいに呼ばれるなら…【サイ】か【イキ】か【クミ】か【ミラ】か、どれかっぽいな!← :::おまけ::: ちょっと二つ名メーカーが面白くて色々やってみたww 幸村精市さんの二つ名は…「災骸怨嗟(ネクロフィリア)」です。 似合いすぎだと思います。 不二周助さんの二つ名は…「幻獄(コラプション)」です。 このお三方に不可能はないのだと思いました← ちなみに 練詠憐の二つ名は…「幻覚僭主(クリムゾンパレード)」で、 わー、幻覚てww 妄想することも幻覚と定義されるのなら、あってるよね! 本名だと二つ名は…「炎色因果(スパイラルラビリンス)」でした。 どんだけ私は危険人物なんだw [mokuji] |