青春トリップ!!?  | ナノ


阿部鬼の屋敷に迷い込んできた


「ねー!撫子ー、なんかこの敷地の奥に変な洋館があるC、行ってみない?」

「え?なにそれ面白そう。」

只今氷帝学園と立海大付属の合同合宿が跡部の別荘で行われている。
そしてジローが休憩中に敷地内を探検して変な洋館を見つけたらしい。

「アーン?この別荘にはこの屋敷しか敷地内に無いはずなんだが?」

「Aー?でもあったもん。…だったら確かめに行こうよー!!」

「そうそう、折角だからダンジョンしようよ!みんなと探検しよう、しよう!!」

「…………幸村。」

跡部は一人では決められないと思ったのか、
はたまたこいつらは幸村のような黒属性の言う事しか聞かないと判断したのか、とりあえず幸村に相談。

「ん?俺は楽しかったらなんでもするよ?
怪しい洋館を探検しに行くって?いいよ。行こう。」

楽しいことは何でもする男幸村。
仲間には確認もせずに肯定、
仲間は思わずため息。

「「っしゃ!」」

「………。」


と言うわけでジローの案内で怪しい洋館に到着。

「ねー!あったでしょう!?」

「…本当に有りやがった……。」

「………ん?」

撫子は何か引っかかる感覚を覚えた。

「どうした?撫子さん。」

「マスター……なーんか、いやーな予感が…。」

「なんや?ブラッド・オブ・ボンゴレか?」

「だったら恐ろしいねぇ。」

「侑士、何言ってんだよ!なんか面白そうだからさっさと入ろうぜ!!」

岳人が忍足の腕を引っ張って館の入り口に向かう。
それにつれて他のメンバーも入っていく。

「中は別に変なとこはねーな。」

「そうですね、宍戸さん。」

「「………。」」

「どうしたんだよぃ、柳も椿崎も……?」

―パリン――……

「「「「「「!?」」」」」」

奥の部屋で物音がした。

「あ、フラグ立った…。」

「あぁ、そのようだ。皆、此処に居てくれ。俺は撫子さんと奥の部屋を見てくる。」

そう言うと二人は奥の部屋に足を進めた。
そこはダイニングで、皿が割れていた。

「……マスター、これは…。」

「あぁ、きっと青鬼か阿部鬼の屋敷だ。」

「でもなんで?ここは二次元じゃねーよ?」

「確かにそうだが…しかし、」

「とりあえず玄関の方に戻ってみようよ。」

「あぁ…。」

そして戻る二人。

「「!?………。」」

戻るとそこには誰も居なかった。

――――――俺はノンケだって、構わないで食っちまう男なんだぜ。

「「!?」」

何処からともなく声が聞こえた。
聞こえて欲しくなかった声が。

「……まさかの阿部鬼…。」

「…俺の予想がこれほど外れて欲しいと思ったことは無いぞ。」

「ねぇ、とりあえず、私はどうすればいい?」

そう、阿部鬼は女子には容赦なく襲い掛かり殺されてしまうのだ(多分)。

「それよりも俺たちの貞操はどうなる。」

「いや、私命、君ら命はらない。同一の天秤にかけるのはおかしいのではないか?」

「……死因が肛門裂傷になるのは避けたいのだが?」

「正直すまんかった。
本当にどうする?一応図書室に行かなかったらこれからのフラグは立たないんだけど……。」

「そうだな、それまでに精市達にこの屋敷の説明をした方が……。」

これからのことについて二人で考えていると二人を呼ぶ声が遠くから聞こえた。


「―――さーん!撫子さーん!!」

その声の主は赤也だった。

「「!?」」

「どうした?赤也……く、ん?
え、ちょ…こっちくんなぁあああああああ!!!」

撫子が赤也に返事をしようと赤也の方を向いたらあら不思議、
ブルーベリーみたいな色の青いツナギを着たいい男が赤也を追ってきているではないか。

「はいー!だから逃げて下さいっすー!!」

赤也も合流して三人は阿部鬼から逃げる。
そして、逃げ切った。

「……赤也君…なんでフラグを立てた!!!」

「だって!お二人が奥に行った後あの阿部鬼が来て!俺このゲーム知ってるから、それで……。」

「…ハァ…攻略したかったわけね。でもねぇ、赤也君…ここは現実でマップを上から見てる訳でもないしアイテムが光ってる訳でもないんだよ。
赤也君のゲームの腕前は知ってるけど、君たち男子は、ケツ狙われてんだからもっと慎重に行動しなきゃ…って他の人は?」

「……すんません…。
あ、他の人はそれぞれどっかに逃げてバラバラになっちゃいました…。」

「そっか……だったらマスターに赤也君は他の奴らを最後に行くべき場所辺りに固めて集まってて。」

「撫子さんはどうするんだ?」

「私はアイテムとかを全部かき集めに行って来るさ。」

「無茶っす!ここは4.14の世界っすよ!?どうやって!!」

2ルートに分けて行動させられるはずだ。

「あんな机飛び越えるに決まってんじゃん。私の身体能力なめんな。」

「しかしだな。阿部鬼の女に対する嫉妬的なモノは…。」

「しかしだな。私と共に行動してみろ、BAD ENDだ。」

エリカの二の舞である。

「………。」

「大丈夫だって!阿部鬼は男を見たら襲ってくる、女を見たら殺しに来る。
だったら男でも女でもなくなればいいんだよ。」

「?どういうことっすか?」

「見た目で判断するしかない場合、赤也君は男女をどこを見て判断してる?」

「え…髪形と身長とむ、胸…とかっす……。」

「そうそう、それの記号で判断する。
私は女だけど、その記号を消せば一見男。阿部鬼は一瞬でも悩むはず。その間に逃げてやんよ。
私はそれを決行できるが、君たちは何が出来る?
記号を今表せれるか?その短い髪だって伸ばせれるか?その高い身長は?」

「…そんなことを言ったら撫子さんもどうするつもりだ?胸は潰せるとして、その髪。」

「ん?こんなもん…………切るに決まってるじゃないのさ。」

撫子は持っていた皿の破片をポニーテールの根元に持って来て思いっきり横にひいた。
そして髪を束ねていたゴムが弾けて撫子の髪がほどかれパサリと首元をくすぐる。

「!?撫子さん何やってんすか!?」

「んー、頭軽いねー。火憐ちゃんみたいに綺麗に切れたから満足だ。後はー胸を潰してー。」

「…撫子さん、何故そんな取り返しのつかないことを…。」

「君たちの貞操(=命)を懸けてるって思ったら軽い物さ。
それに髪は伸びるしね。君たちの命は新しく生まれてこないからねー。
…私が動かなきゃ後から滝や幸村君に何か言われそうでね…ハハハ……。」

「……撫子さん、ここは俺たちが折れるが、無理をしないでくれ。」

柳が撫子の決意を聞いて折れた。

「その任、任された!!」

柳はその場から走り出した撫子の後姿を見届けて、自分も行動しようとした。

「赤也、行くぞ。…赤也?」

一瞬赤也を見失ったが、赤也はすぐ近くにしゃがんでいた。
しゃがんで撫子の髪を拾っていた。

「あああ……撫子さんの髪がぁ…髪って女の命じゃないんすか……。」

「……拾って満足か?満足したら俺たちも行動するぞ。」

「…ハイっす。」

二人は他のみんなを探し回った。
一番に見つけれたのは忍足だった。

「忍足か…。」

「!?柳…と切原、か…どうないしょう…ここやばいやんッ!?っておま、その髪!?」

忍足が頭を抱えていている状態から柳に話しかけられて頭をあげた。
そしてあげた顔の先、視界に入ってきた物は赤也が握っていた長い黒髪の束。

「……撫子さん、が………。」

「なん…やて?それホンマなんか?柳……。」

「あぁ、事実だ。撫子さんは俺たちの為に…。」

その言葉を聞いて忍足は一瞬絶望に満ちた顔をしたがすぐに立ち直った。

「そっか……撫子の気持ち無駄にしたらアカンな。」

「そういうことだ。俺たちについてきてくれ。」

「了解や。」

その後もメンバー全員に出会うことが出来た。
その人たち人達皆赤也の握っていた髪の毛に注目して同じ会話が繰り広げられた。
鳳と宍戸はものすごく動揺していたが、まぁ放っておこう。

しかし、赤也いい加減その髪の毛は捨てるかすればいいのではないか?

「お前らの言っていることは分かった、が…これからどうすんだ?アーン?」

「阿部鬼ってやついつか呪おうねー滝君。」

「そうだね幸村君。」

「撫子……俺がこんなとこ見つけたから、…うわーーー!!ゴメン撫子ーー!!」

「椿崎………今まで色々すまんかった。」


―――ん?もうかい?意外に早いんだな。

「「「「「!?」」」」」

始めに聞いたあの声がみんなに聞こえた。

「あああ!!俺たちの貞操がぁああ!!!」

「キエェエエエ!!!赤也落ち着けぇええええ!!」

「弦一郎も負けずにうるさいぞ。ッしかし、……ッ撫子さんはまだか!?」

万事休すな状態、逃げ切ることはこの人数では出来ない。
みんな阿部鬼にアーッ!されてしまうのか!!

「BLのスメルがこちらからぁあああああ!!!」

叫び声と共に撫子が登場。
ついでに阿部鬼に蹴りを食らわせて。

「撫子さん!待ってたっす!!」

「ヒーローは遅れて登場するもんなんだぞ☆
行くよ皆!カギは既に入手したから、玄関だ!!」

いきなり登場した髪の短くなった撫子に驚いて他のメンバーは若干放心。
しかし本能的に助かりたいと思ったのか撫子についていった柳や赤也に続いて玄関から脱出。

無事に元の跡部邸まで一気に走った。


「ッハァアア………助かっ、たぁ…。」

息も絶え絶え、
撫子はその場に座り込んだ。
そして短くなった髪をかき上げながら呟いた。

「撫子さん流石っす!」

「流石だ、脳内でルートをコンプリートしていたのか?」

「うん、だって実況よく聞くしね。
いやー…チビ阿部さんは可愛かったけど、普通の阿部さんは恐怖しかなかったわー。
ていうか赤也君、私の髪の毛をいつまで握りしめてんの、いい加減捨てれば?」

「だって…撫子さんのまっすぐでサラサラな髪、俺の憧れだったんだんすよ…。」

「ゴメン、今からエロいこと考えて伸ばすわ。」

貞操、命?の危機から過ぎて三人はホッとした空気を醸し出す。


「え、え?ちょ、待ちや撫子は、死んだんとちゃうんか?」

「ハァ!?なんて失礼な!私はダンジョンをずっと走り回ってたのにッ死んだ扱いなんて!!酷い!!」

「やって切原が撫子のあないなモンをに握っとったら誰でも勘違いするわ!!」

忍足がそう言うと周りの人たちが一斉に顔を縦に振った。

「ジーザス!!
……ん?滝に幸村君、何してんの?」

滝と幸村が地面に何か描いている姿を視界の端に捉えたので質問してみた。

「ん?これはあの屋敷を消滅させちゃおうかと思ってね。魔法陣描いてるんだ。」

「そうそう。
あ、滝君その文字を左右対称に描いて行ってね。」

「分かったよ。
あんな最低な環境に僕を押しこめたんだ。それ相応の制裁はね受けてもらうよ。」


「そっすか…。」




―――――――――――――
300000hit企画第9弾
霧ヶ咲様リクエスト「青春デストロイ主で他校と合宿中に某青い鬼(青いツナギを着た鬼でも)と遭遇して無事逃げ切る」でした。

阿部鬼にした理由は青鬼にしたら死亡フラグしかたたなかったのでこっちにしました。
一応プレイ動画を見て勉強をしてはみたのですが、変なところが有るかもしれませんが、その辺はご愛嬌と言うことで←


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[mokuji]