てにす 短編 | ナノ

腹黒上等
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やっほー菊丸英二だよー。
今ねぇ今ねぇ!!大変なことになってるんだぁ!!
えっとねぇ、なんとあの不二周助がみんなに嫌われていじめられちゃってるの!!テニス部のみんなも不二のこと信じてないの!!ひっどいよねぇ!!
え?俺?俺は見てるだけー、だってめんどくさいでしょ?何にも悪くない不二をいじめたりはしたくないしぃ、だからと言って庇って一緒にいじめられてあげるほど俺は優しくないんだよ!!
だから見てるだけー!!!
……ていうかこの喋り方やめちゃってもいいかな?そろそろこのキャラにも限界感じてるんだにゃぁ。
いい?いいよね。

……………っはー、だっる。なんで菊丸ってこんないつもテンション高いわけ?演じるこっちの身にもなってほしいっつーの。
あ?いきなりキャラが変わったって?当たり前じゃん。だって私本当の菊丸じゃないもん。所謂、転生成り代わり?

始めは菊丸を演じるの楽しかったのになぁ、不二がいじめられ始めて面倒くさくなってきちゃった。
だって菊丸ってこんな状況だったら絶対に傍観者の立ち位置にはいないでしょ。だって脳みそ足りてなさそうな感じで、0か100しかない価値観しか持ってなさそうなんだもん。

でも私はいじめることもいじめられることもしない、したくない。
けど限界、目の前で大好きなキャラが自殺しようとしたら流石に私は助けることにするよ。
それにまだ原作も始まってないし、これからいっぱい楽しいことがあるのに……

「死ぬのはもったいないにゃぁ?不二ぃ。」

ここは学校の屋上そして5時間目の真っ最中。
菊丸は昼休みから自主休講をしていた。屋上のさらにその上、給水塔の上で昼寝に勤しもうとした。
そこにふらつく足取りで不二が屋上にやってきたのだ。

そのまま不二はフェンスへとまっすぐに向かって行った。
此処で昼寝をしようなんて様子ではない。
だったらフェンスの向こう側に何の用事があるのだろう。
そんなもの自殺に決まっている。

不二がフェンスを掴んだ時に菊丸は言った。
死ぬのはもったいないと。

不二は空から降ってきた陽気な声に驚いてバッと後ろを向く。
そこにはへらへらと、まるで面白いものを見ているかのような表情で不二を見ている菊丸が居たのだ。

「おっとぉ!!不二ちょっとそこを動かないでほしいにゃ。っとぅ!!」

菊丸は得意のアクロバットで給水塔から飛び降り不二の近くへを歩み寄る。

「えっへっへ。なんでフェンスに手をかけてるのかにゃ?」

不二の体がビクリと跳ねる。

「英二……君も僕のことを殴りに来たのかな?」

「そんなことしないよー!!だって不二は悪くないもん。」

「え?……な、んで…。」

「俺知ってるよー。不二が悪くないってこと。架空の因縁をつけられていじめられてること。」

「ハハ、君卑怯だね。
僕が無罪なのに僕がずっと、今まで殴られてるところを見てただけなんだ。見て嘲笑っていただけなんだ。

なんで助けてくれれなかったんだ!!」

不二が感情的になっているところを始めてみた。
それだけ精神困憊していたのだろう。

原作とはまた違う不二を見ることができて不敵に笑った。

「だって面倒くさいじゃんかよー。俺にはいじめられる要素が一個も無いのにわざわざ苛められてる不二を助けて一緒にいじめられてあげるほど俺はいい人間じゃないんだにゃぁ。
所詮人間ってそんなもんだよ?自分が一番可愛い、何よりも大切。どんなに自分が嫌いな人でさえ自分の命と引き換えに他人の命を助けようとは思わないっしょ?
不二は違うのかな?自分の命を他人に押し付けてその重みで他人を潰そうとする偽善者なのかな?」

「だからって…だからって。僕は辛かったのに、死にたいぐらいに…。」

「死にたいぐらい?そうだにゃぁ…君は今まさに死のうとしてたんだもんね。見てわかるよ。
けど、本当に辛かったのかにゃぁ?」

「っ!?」

不二が鉄砲玉を食らったかのような顔をした。

「もう、白い君を演じる必要は無いんじゃないのかにゃ?
と言うよりも白い君を見ていたら鳥肌が立つんだよ?俺、いっつも恐怖に震えてたんだよ。
不二、君今の状況楽しんでるんだよね?
天才不二周助が虐められることなんて本来ならないもんだもんね。
ねぇ、本当の君、見せてほしいにゃぁ?」

本来の菊丸がしないような何かを企んでいる顔をして一歩また一歩と不二に近づく。
相手のはく息が確認できるくらいまで近づいて問いかける。

「フフフフ…なんだ、ばれちゃってたんだ。
…それより君もその言葉使い作ってるよね、戻っていいよ?その喋り方前からうっとうしいと思ってたから。」

不二の本性が現れた。
さっきまで弱っていたような少年ではなくなった。
いじめなんてただの遊びにしか過ぎないといった風格の人物に、
とても心から楽しんでますよと言った顔つきになる。

「あっちゃー、菊丸のアイデンティティー完全否定ですか。」

「だってにゃとか、なんなの?脳みそ足りてないんじゃないかな?」

「あはっ、それもそうか。」

「ねぇ、君誰?なんだか君から違和感を感じるんだけど。」

「鋭いなぁ、乾にさえバレなかったのに。」

「乾なんてただのバカだよ。だって僕の真実が見つけ出せないようなやつなんだよ?」

「そうだったね。
俺は俺だよ?ちょっとばかし前世の記憶がある…ね?」

「へぇー前世?どんな人生送ってたの?」

「それは君が無罪だってみんなに証明されたときに教えてあげるよ。」

「うわ、性格悪いなぁ、そんな簡単に出来ない……うん、そうだね僕が黒になれば簡単だった。何も白のままってことはないんだったね。」

「君の方こそ性格が悪いよ。いじめを楽しんでるなんてね。」

「褒め言葉として受け取っておいてあげる。じゃ僕はこれから僕をいじめてきた奴…青春学園を懲らしめてくるよ。」

「ちょっと待ってよ。もっとこの状況を楽しんでもいいんじゃないの?」

「やだよ。もう飽きたし。それよりも君も事がもっと知りたいな。」

私はまだバラしたくないのだけれど…まだ原作ですら始まってないのに、

「……だったら、私も君と一緒にいじめられてあげるって言っても、もう終わり?」

仕方ないから自己犠牲という選択肢をとろう。

「へ?」

「だって君が演技してまで過ごしてきたってことは楽しかったからでしょ?
俺だって楽しみたいなぁ、不二と一緒に他の奴らを同じ視点で眺めてみたな?」

「……いいのかい?君には耐えれるの?テニス部の仲間でさえもいじめてくるこの環境に。」

「平気だよ。」

「大石も…だよ?」

大石?あぁ、そうかゴールデンペアだからわざわざ名指しなのね。

「卵ヘアのこと?どうでもいいよ。だって俺、君たちと一線を引くのは得意なんだよ?」

「あぁ、だから同じクラスの無罪の僕が部員にも誰にでも苛められていても傍観することができていたんだね。」

「アハッばれちゃった。
けど、想像してごらん?
今まで自分たちが制裁だって言っていじめていた人が無罪で自分たちは今まで無罪の奴をいじめていたことになる。
大切な仲間だったのにその仲間を信じずに他の人を信じたんだ。後悔するだろうね。
きっとその時の顔は心底笑えるよぉ?
まぁでも先に責任転嫁の嵐かな?自分を正当化するだろうけど、昔行われていた魔女裁判の裁判官みたいにね。
それも、その理由を聞くのも一興だね。」

「君もとんだ腹黒だよ。」

「君に言われちゃぁおしまいだ。」

「でもそれ面白そうだね。やるんだったらもっとあいつらを散々あげて落そうよ。」

「そうだね今よりもあげて落した方が面白い。俺たちが自殺未遂するとこでフィニッシュだね。後悔すればいいんだよ。俺たちをいじめたことに対してね。」

「クスクスッ、まさか英二とこんな話をすることになるなんて思ってもみなかったよ。」

「俺だって学校で本性を現すことになるなんて思ってもみなかった。」

「ねぇ、家ではそのキャラなの?」

「まっさかぁ、家でもあのキャラだよ。本性を知ってるのは不二、君だけだ。」

「光栄だなぁ。僕が初めてなんて。で、いつから僕の味方になってくれるのかな?」

「もちろん今から、

菊丸英二もとい丹神葉波は君の味方だ。」






―――――――――――
菊丸に転生していじめられている不二を助けながら周りの人たちを嘲笑う話。
なんて腹黒い…。
でもギャップ萌えって大切だと思うんだ。

前アンケートに貼り付けていたやつを名前変換できるようになって再うp!!





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