ダダダダー…ぁあ?「壇君…君、男としてどうなのかなぁ。俺は感心しないな、感心するどころか軽蔑するねぇ。」
「ぁあ?俺がアイツをしめろって?いいぜ?やってやるよ。最高じゃねーの!!」
「はぁあああ、あ…ダッル。」
壇葉波。
こんなにも可愛い俺が嫌われてます。
靴箱に行けば靴の代わりに生ゴミが入っているし、クラスに行けば異臭のする机が俺の机。
なーんで俺はこんな俺様に似つかわしくない環境に俺は居たんだっけ?
「あぁ、前世は最強過ぎてこんな環境を体験してみたかったからか。」
しかし、これもあんま楽しくねぇなぁ。
俺様は攻める方が好きだ。
こんな受け身の虐めなんてもう、飽きた。
「けどなぁ、せっかくこんなに可愛い俺で定着してんだ。わざわざ崩して前世みたいなただ怖がられるだけの生活ってぇのも寒ぃしなぁ…。
あぁ、だったら…だったら他の奴を利用すればいいんじゃないか。」
と言う訳で有言実行。
「校長先生!今回はお願いがあって訪問させていただきましたです!!」
「…なんだ?」
「僕を交換転校生として立海大付属中学に半年間、転校させてくださいです。」
「何故。君がその制度の存在を?」
「先生ェ、僕の情報収集力をなめてもらっちゃ困りますですよ。
特殊校則第59条、『優秀な生徒が一年次で確認できた場合に適応され、その生徒は半年間姉妹校への交換転校を許可する』って……生徒手帳には書かれてませんけど、その校則…存在してるですよね?」
「しかし、それはリスクが…。」
「それも承知済みですよ!『ただしその生徒が姉妹校にて問題を起こす事または効果が得られないときは言い出した学校がその学校に対して賠償金を支払う。』
校長先生はそれを危惧して僕の言い分を聞いてくれないんですよね!」
「あぁ、だから、壇葉波。可愛い生徒の頼みではあるが、交換転校生の件は許可できない。」
「ダダダダーン!!何を言ってるんですか!?僕は交換転校生にしろと言ったんですよ!?誰も校長先生の意見を聞きに来たわけじゃないんですぅ!
だから、さっさとこの紙にサインしろって言ってるんです!!」
「なッ!?」
「僕は鬼にはなりたくないんです!これから利用価値のある校長先生には優しくしておきたいんです!!」
「校長に向かってなんという口のきき方をしているんだ!!」
「こういう聞き方ですよ。さっき言いましたですよね?僕の情報収集力をなめて欲しくないって、
これ…何か分りますですか?」
分りますか?言って、見せたのは一枚の写真と紙。
それを見た校長の顔が見る見るうちに青ざめる。
「そ、それは!?」
「キャバクラでの校長と教頭の宴会の様子ですね。顔までしっかり分かる写真ですねぇコレ。
後これ、その領収書になるんですけど、会議費として落としてますね。大問題じゃないですか?」
「ッ……壇、お前……。大人を脅そうと…言うのか?」
「先生、僕…キレてもいいですか?」
ぐちぐちと言い訳ばっかしやがって、そろそろ堪忍袋の緒が切れると言うもの。
「は?」
「さっきからグチグチグチ要領の得ねぇ日本語喋りやがって、俺はここにサインをしろっつってんだよ!!さっさとしろよ狸爺が!!
リスクがデカい?なにリスクある前提で話が進んでんだよ。ぁあ?
誰をそんなに過小評価してんだ?
俺様がわざわざ可愛子ちゃんの皮被って過ごしてやってんのに、ちったぁ楽しませろよ。この学校に俺は貢献してやってんだぞ!偏差値いくら上がった!?ァア!?
何のために俺がわざわざ二度目の中学生活を暴れもせずに居てやってると思ってんだよ。二度目の人生、謳歌するためだぜ?楽しませろよ、コラ。
俺は可愛い、頭はいい、勿論腕ッ節だって強いぜ?
なぁ、教育委員会に駆け込んでやろうか?痣だらけの体を見せつけに行ってやろうか?この写真と領収書を携えて行ってやろうか?俺は一向にかまわねぇんだぜ?
さぁセンセ、選択の時間だ。Yes or death?」
「ッ……!!」
「こーちょーセンセ、許可いただけますですよね?」
「…あぁ。」
「わぁ!ありがとうございますです!センセ、大好きですぅ!!
あ、僕が神奈川に行っていると言うことは内緒でお願いしますです。僕は今の現状に耐えきれず不登校になったと言うことでお願いしますね!」
そして葉波の希望通りに全てが進み、葉波は立海大付属中学に交換転校。
人当たりのいい性格と、持ち前の聡明な頭脳を発揮して思い通りの生活を送ることが出来ている。
もちろん、立海男子テニス部も例外ではない。
いや、一番葉波に毒されていると言っても過言ではない。
何故かって?
葉波はテニス部部員としてテニス部に所属しているからだ。
マネージャーではなく、選手として。
するとどうだろう。
小さな体なのに力強い攻撃。
自分のどの筋肉をどう動かせば最大の力を発揮することが出来るのか知っている動き。
可愛らしい見た目と正反対の超攻撃型テニス。
「あ!幸村センパーイ!!」
「あぁ、葉波。調子はどう?」
「ハイ!みなさん強くてカッコよくて!こんな学校にずっと居たいです!!」
「フフフ、可愛い坊やだ。どうだい?俺と一試合してみる?」
「ダダダダーン!!光栄です!あの神の子幸村先輩と転校一か月で試合が出来るだなんて!」
「精市。葉波にイップスだけは使うなよ?」
「分かってるよ。」
そうやってとても日常らしい日常を送っている。
しかし、一つだけ日常とは言えない緊迫する時間が流れることがある。
それは葉波と仁王が対峙した時。
葉波の態度が急によそよそしくなるのだ。
勿論、葉波にとっては全て計画通りな動きである。
「うー…うー…ッ仁王、センパイ…ッ。怖ッ 違うんですッ違くて、」
「……なんじゃよう分らんが、俺が怖いなら無理して俺と関わらんでもええぜよ?」
「い、や…です。折角あんな環境から脱出できたんです。仁王、センパイとも仲良くしたいですッ!!」
「そっか、じゃったら葉波のペースに合わせてくれたらええけぇの。」
仁王が葉波を愛おしく感じて頭を撫でようと手を伸ばした瞬間、葉波は頭を抱えて蹲る。
「ッいや!もう叩かないで下さいです!!痛いですッ亜久津センパイっ!!」
いきなり登場した山吹中の生徒の名前。
しかも不良で有名な亜久津仁と言う名前。
「…葉波。聞いてもいいか?何故、その名前が?
そうだ、疑問に思っていたことを解消したい。葉波、お前は何故交換転校生などと言うここ十数年使われていなかったものを引っ張り出して我が立海に転校してきた?」
柳が畳み掛ける。
「………センパイ達、…聞いてくれますですか?僕が、僕が山吹中でどういった生徒だったかを……勿論僕は否定しますです。僕はそんな生徒じゃないです!!」
涙目になりながら、必死で訴えるさまはまるで小動物の様。
「壇、大丈夫だ。俺たちは噂など、いや…壇が言うことを嘘だとは思わない。だから安心して、話せ。」
「真田ゼンバイっ、…僕はある女生徒を虐めたと言って、全校から虐めにあっていたんです。そして―――――――――。」
涙を誘う話の開始である。
話し終わって葉波は軽蔑されているかもしれないと思って下を向く。
そしてすぐに頭に柔らかい衝撃が来る。
「葉波、お前…頑張ったんだな。」
ブン太が頭を撫でていた。
「ッ…う?」
「言ったでしょう葉波君。私達はあなたを信じると、よくそのような劣悪な環境で一時でも過ごすことが出来ましたね。」
「丸井センパイっ柳生センパイっありがとうございますです!!」
「俺も葉波を信じるぜよ。でも、同じ銀髪じゃけど亜久津なんかと同じにされちゃたまったもんじゃないのぉ。」
「ッずびばぜんッ!」
「フフフッでもその中学一回しめておきたいよね?
柳、どうだろう。その学校と練習試合を組んでぶっ潰す?」
「あぁ、一応山吹中は全国区だ。その上うちと姉妹校だ、簡単に練習試合の日程は組めるだろう。」
「流石柳、よく知ってるね。じゃぁ、先生を言いくるめるのは任せたよ。」
「あぁ、任せておけ。」
「よかったなぁ!葉波!!」
「ハイです!切原センパイ!!……そしてセンパイ、お願いがあるです。僕にナックルサーブを教えて下さいです!!」
「んお?いいぜ?でもよ、どうしてだ?」
「見返したいんです。僕を虐めたテニス部のセンパイ達を、そして僕の無実を山吹中に示したいんです!!仕込みはしてきましたから!」
「だったらよぃ、俺らの技を全部伝授してやろうぜ!葉波は呑み込み早いしよ!!な、ジャッカル。」
「あぁ、まぁ俺の場合体力をつけるしかないけどな。」
「みなさんッありがとうございますです!!」
ハッハハハハ!計画通りってね。
そしてついに立海vs山吹の練習試合。
「やぁ、部長の南君だっけ?今日はどうも。」
代表して部長同士が挨拶をする。
「幸村君、今回は山吹を練習相手に選んでくれてありがとう。でもどうしてうちなんかを?」
「フフフッそれは風の噂で聞いたんだけど、有能なマネージャーが男子テニス部には在籍してるってさ。一目会ってみたくてね、確か名前は壇葉波?」
「ッ!?幸村君!そいつは最低な奴なんだ!!」
「!?…いきなり大きな声出さないでよ。びっくりしたじゃないか。」
「…すまん、でも…その名前はここでは言わないでくれるか?昨日もそいつ最低なことしたんだ。」
「そうそう!ねー!まったく南もそう思うよね!!」
千石が幸村と南の会話に割り込んできた。
「…何があったのか、聞かせてくれるかい?」
「あのねー、最近学校に来てないことをいいことにあの子を夜道で殴ってくるし、
昨日なんてナイフで切りつけられたってあの子が言ってたんだ!」
「フーン…他人の悪口を俺たちは聞きに来たわけじゃないから、もう試合始めないか?」
「うん、そうだねー。そうだ俺幸村クンと試合がしたいな!」
「フフっそれはありがたい申し出だけど、俺はこの子を一番に試合をさせてあげたいんだ。」
そう言って幸村が紹介したのは帽子を深くかぶった葉波。
顔は帽子によって見えない、山吹の奴らは葉波だと認識できない。
「ふーん、随分身長の小さい選手だね。
まぁいいや!こいつを倒したら幸村君と戦えるんだよね!」
「まぁ、そういう事だね。」
「よーし、じゃぁさっさとやろうか!」
「………………。」
葉波は無言のままコートに立つ。
千石がラケットトスでサーブを決めようとする。
親切にも先に言ってもいいようだ。
「ドッチ?」
「スムース。」
「じゃぁ、ラフだね。」
「………。」
そして答えはスムース。
「!?」
千石は驚き、葉波は口元を釣り上げた。
こんなのまだまだ序の口。
試合が始まって山吹メンツは驚くことになる。
千石が一方的に押されている超攻撃型テニス。
千石が本気になっても点差は開くばかり、
「ねぇ、もう本気だしてもいいよ。こんなにも山吹が弱いだなんて予想外だったし。」
幸村のその一言で葉波のプレイスタイルがランダムに変化。
繰り出される技は立海レギュラーのそれ。
「ッ。」
あっという間に試合終了。
千石は汗だく。
葉波は息ひとつ乱していない。
「じゃぁ次、この子と南君やってみる?」
こうやって山吹を葉波一人で潰した。
山吹はもう、恐れるしかない。
「あーぁ、もう終わりですかぁ?センパイ達ってどんだけフ抜けてるんです?」
帽子を取って、深くかぶっていた帽子から現れる顔は葉波。
「「「!?」」」
「どうして…!?壇君が立海に!?」
「どうしてって、交換転校生に僕が選ばれたからですよ。僕はこの数か月神奈川でお世話になってましたけど?
そういえばさっき先輩言ってましたですよね?僕が悪事を昨日も働いたって、でもそれは不可能なんです。僕は神奈川で幸村センパイ達の指導を受けてましたから!」
「ッ……。」
「そういえば亜久津センパイいませんね。僕が潰してあげようと思ったのに…。」
少し残念そうに葉波が呟いた。
そうしたら山吹側のフェンスの入り口からタイミングを計ったかのように亜久津が入ってきた。
「ぁあ?んだ?俺を潰すって?」
「はいです!僕は強いですから!!」
「面白れぇ、やってやろうじゃねーか。勿論喧嘩でなぁあ!!」
思いっきり葉波に殴りかかる。
「ダダダダーン!それこそ僕のお庭ですぅ!!」
しかし、もともと前世で不良の葉波。
喧嘩なら強い。
しかも今は小柄の体を生かして素早く、軽く攻撃をかわして、鋭く攻撃を仕掛ける。
10分も経たないうちに結果が出た。
勿論地に這いつくばっているのは亜久津。
「グッ…。」
「幸村センパーイ、もういいです。この学校への興味が全て薄れてしまったですー。
もう未練なんてもの無くなったですから、立海に帰りましょう!」
「ん?もういいのかい?葉波がそう言うなら俺達はそれに賛成するけど。」
「ハイ、僕の気が済みました。僕が無実だったことも証明できましたし、後は勝手に堕ちて行ってくれるだけです。」
「そう、なら帰ろうか。皆。」
「「「「イエッサー!!」」」」
「じゃぁ、山吹諸君。俺たちの仲間の壇葉波が世話になったね。」
「では!昔のセンパイ方!!一生悔やんで、逝ってくださいです!!」
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400000hit企画第5弾
ゆう様リクエスト「 壇太一成り代わり/嫌われで前世も男/裏表が激しく、策士で実は裏では不良かチャラ男/交換転校生で場所は四天、立海、青学のどれか/壇くん主が勝つ」でした。
どうでしょう!!裏表を持っているキャラは好きなのですが、上手く表現出来て…い、る?かな……。
途中から空気っぽくなってしまいましたが…策士は多くは語らないんです!!←
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