ま、いいか氷帝学園テニス部。放課後の部活が始まる時間。
大体この一言で部活が始まる。
「ジローが見つかんねぇ。」
「「「またか。」」」
そう、一日のほとんどは寝ている芥川慈郎。
しかし今回の主役はこっちではなく。
「おい、向日、探して来い。」
「クソクソ!なんでだよ跡部!!俺これからドリンク作ろうって!!」
「アーン?お前何のためにこのマネージャーしてんだ?」
「グ……ジローのママさんにジローの世話を……。」
「だよな。そのジローが居ないんだぜ?これはもうお前が行くしかねぇよな?」
「し、宍戸!!」
「あ?わりぃ、俺未だにジローの考えてること分かんねぇわ。」
「何年幼馴染してんだよ!!滝ッ!!」
「え?」
「申し訳ございませんでした。………侑士ぃ!お前は一緒にジロー探してくれるよな?」
「あー…葉波……心を閉ざしてるので聞こえません。」
「お前らなんて味噌汁に溺れてしまえぇえええ!!!」
葉波は部室から飛び出した。
あぁ、もう確かに俺はジローの保護者代わりになるためにテニス部のマネにはなったが、
ジロー…お前中学に上がってからの方が失踪率激しくねぇか!?
絶対にそうだ。
失踪率が高くなって毎回毎回みんなで捜索して発見して、
それでも最近は巧妙に隠れてやがる。
かくれんぼスキルを高めたいのかアイツは!!
あ、なんか幻聴聞こえた。
なんでプレイヤーじゃないのか?って。
………悪かったな!!俺は運動音痴なんだよ!!
成り代わりがすべてが原作通りじゃないんだよチクショー!!!
「あ!居た!!」
そんなこんなで中庭の一番奥の木の枝の上に器用に寝転んでいたジローを発見。
何でここなんだ。
つんだではないか。
葉波は木の上に登れない。
「……ッおい、ジロー!!お前、いい加減にしろよ!!」
「――んあ?葉波?」
葉波の叫び声が聞こえたようで、ジローは覚醒した。
「んあ?…じゃねーよ!!
毎回毎回探す俺らの気持ちになってみろよ!
最近じゃぁ、みんなお前のこと見捨て始めたぞ!!それだけ俺の仕事がぁあああ!!!」
「毎回毎回お疲れー、」
「ふ ざ け ん な テメェのせいだぞ!!
さっさと降りてこい!!」
「Aー、やだC。
葉波がここまで上がってこれたら降りてあげてもいいよー。」
「ハッ!?無理に決まってんじゃん!」
「平気、平気。
そこのくぼみに足ひっかけて、U字型になってる枝に足を置いてそこの枝を持って…そしたら簡単だC。
ほらレッツトライ!!」
「……クソクソッ!なんで俺が!!」
やけになって葉波は登りだす。
「ホラあと少し!
そう、そこ!で、こっち!!ハイ、お疲れ様!!」
「……こ、怖ぇえ、オイジロー降りすぞ!!」
「え?俺あと1時間程度寝るつもりなんだけど?」
「何だと!?
もう俺、キレた!!跡部にチクってやる!!」
「ここから降りれるんなら言ってEーよ。」
「………………降りれねぇ…。」
「それは残念。じゃ、おやすみー。」
「あああああ、バカ!!寝るな!!
…跡部ぇえ!!侑士ぃぃい!!………………一人だけグゥグゥ気持ちよさそうに寝やがって!!クソクソ!
暇じゃん!俺、暇じゃん!!マネの仕事できなくて滝にどやされるの俺じゃん!!
……俺も、…寝てやろ!!ふて寝だ!ふて寝!!」
葉波は現実逃避するために寝ると言う手段をとった。
此処が木の枝の上だと考えなかったら、日蔭で、涼しくて、でも暖かくて、
あぁ、でもこの暖かさはジロー、の………。
「……おい樺地、二人は居たか?」
「まだ、見つけれて…ません。」
「チッ、やっぱり俺様たちが探す羽目になったじゃねーか。」
葉波が姿を消して約一時間。
流石に遅いと言うことでレギュラー総出で捜索活動。
「あ、…跡部ー、居ったでぇ。」
忍足が木の上で熟睡してる二人を発見。
「アーン?なんで向日が登ってるんだよ。」
「ジローがけしかけたんとちゃうか?
しかし、和むわー、なぁ跡部。」
葉波とジローが寄り添って寝ている様は可愛い。
しかも木の上だと?
どこの妖精さんだ。
「フン。
……………樺地、こいつらを起こさねぇ様に部室にまで運べ。」
「…ウス。」
「跡部は素直やないなぁ。」
「何がだ、」
「これ見たさに葉波にジローを起こしに行く係押しつけとんのになぁ。」
「………チッ。」
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200000hitリクエスト
§紫苑§様リクエスト「氷帝のだれかに成り代わって、ほのぼのの友情もの」でした。
……腐臭は、しないと信じたい。
うん、友情友情。
コレ、友情。
ちょっとだけ親しい友情さ!!←
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