(12/23)
「あー…変な奴変な奴変な奴変な奴変な奴変な奴変な奴!!なんで俺の友達になりたいとかいう奴は変な奴なんだ!」
友哉は大人しく何もすること無く学校へ登校し決められた席に着席していた。
別に手塚に心配かけてるとか、そう言う理由ではないと思う。
ただ気まぐれにここに来ているだけだ。
心地の良い視線は向けられないが、ここでこれさえ我慢すれば楽である。
屋上とか下手なところでサボって真田に見つかったりして鉄拳の上反省文なんてことは無いから。教室にさえ居ればそれは回避できる。
実に堅実的だ。
そして今日は移動教室がいくつか入っているらしい。
転校して間もないわけでもないが、次の時間割を隣に座って居た女子に話しかけて知る。
女子は肩を震わせて反応し、泣いてしまいそうな声色で友哉の質問に答えた。
正直傷つくわ。その態度。
「…そか、サンキュ。」
このまま教室の場所も教えてもらおうかと思ったが、それはあまりに酷な話だろう。
だから友哉は自力でその目的の教室、化学実験室まで向かうことにした。
教科書とノートとプリントと、義理程度に持っていく。
それから昼食として買った期間限定のムースポッキーも持って、
向かうことにした。のだが、只今友哉は絶賛迷子中である。
マンモス校と言われる立海大付属中学。
さらに高校ととも併設されていると言うではないか。
「…いいさいいさ、サボってやりますよーだ。ハァ…。ん?」
顔を天井に向け大きなため息を発しながら友哉は廊下を歩いていた。
すると足でぐしゃりとした触感の物を踏んでしまった。
人を踏みつけた時のようなものではないから人を踏んでいる訳ではないと思う。
「あーーー!!!俺の五時間目と六時間目の間用のお菓子がぁあ!!オイ、テメェ!その汚ぇ足どけやがれ!!」
「ぁあ?…あぁ……。」
どうやら友哉が踏んでしまった物は赤毛の少年のお菓子だったようだ。
友哉はとりあえずそのお菓子から足を下ろした。
そして赤毛の少年は無残にも踏みつぶされたお菓子の箱をワナワナと震える手つきで救い上げる。
「あぁぁぁ…俺のポッキー……。
おい!お前、最近転校してきた奴だろ!!俺はなぁ!お前が不良だろうとなんだろうと屈指ねぇからな!!食べ物の恨みの恐ろしさ、分からせてやる!!」
分りやすい位怒っている。
「……だったらこれやるよ。」
友哉が丁度持っていたムースポッキーを赤毛の少年の前に提示した。
すると先ほどまで友哉を睨んでいた目つきが一転してランランと輝くものになって友哉の持っていたムースポッキーを奪い取る様に受け取った。
「いいのか!?これ、期間限定のじゃねーか!いいのか!食っちまうぞ!!」
「いや、奪ってから言う台詞じゃねーと思うけど…それぐらいやるよ。俺の昼飯だったけどな。」
「お前本当にいい奴!めっちゃ良い奴だぜぃ!!俺の名前は丸井ブン太、シクヨロ!!」
「あぁ…俺は守本友哉。よろしく。ついでと言っちゃー何だが、化学実験室って何処にあんだ?」
「化学実験教室?あぁ、あれはあっちの棟の二階だぜぃ。守本、迷子だったのかよ。」
「うっせぇ、好きで迷子になったんじゃねーよ。人に聞こうにも向こうは怖がるし、地図がねぇじゃねーかこの学校。」
「アハハハハ、ドンマイドンマイ。ほらもう行かねぇとチャイム鳴るぜ?」
「平気平気、俺は居ても居なくても関係ねぇ存在だからな。じゃ、丸井サンキュな。」
「おう、守本もお菓子サンキューな!」
友哉はブン太から目的の教室の位置を聞きだすことが出来たため無事にたどり着くことが出来た。
いつもなら授業の全般は寝て過ごしていたが、今回の授業だけは顔をあげることにした。
周りの生徒はとても驚いた様子だったが、そんなもの友哉は気にしない。
外界の他者のモノは友哉には全く関係ないのである。
そしてお昼の時間。
友哉は一人食堂へと移動した。
お昼ご飯のはずだったムースポッキーはブン太にあげてしまったから。
だから今回初めて食堂を利用することにした。
今まで利用してこなかった理由は言わずもがな、友哉という畏怖の対象をより多くの人が行きかう食堂に現したくなかったから。
怖がられる視線は気にしないのだが見せ物になると言った類の視線には反吐が出る。
「…人が、案外居んだな……昼飯位抜くか?」
思っていた以上に人が居り、友哉をチラチラと横目で見て一緒にいる友達とひそひそ話している。
実にウザったい光景である。
そう思った友哉は昼位抜いてしまおうと食堂を後にする。
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