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「ねぇねぇ友哉くんっていうんだよね?ぼくとなりのいえにすんでるんだ。ぼくとおともだちになってくれませんか?」
「おう!なかよくしてくれよ!!じゃぁさっそくこうえんいってあそぼうぜ!!」
「う、うん!ありがとう、ぼくうれしいよ!」
「小がっこう、いっしょでよかったね!これからもいっしょにあそべるよ!!」
「だな!あ、このキーホルダーいっしょに買おうぜ!!かーさん、これおそろいで買いたい!!」
「それって友じょうのあかしっていうんだよね!」
「おれたちずっとなかよくしような!!」
「いっしょに遊ぼーぜー。」
「ごめん、今日はちょっと……。」
「えー!?…つまんねーの……。」
「友哉、」
「あ?なんだ?」
「ううんなんでもない。…これからまた遊びに行くの?」
「あぁ、ちょっと舎弟となー。」
「これから遊びに行くの?もう夜だよ。」
「あ?知ってるよ。人に口出してんじゃねーよ。」
「…ごめん。」
「…おはよう。」
「……はよ。」
pppppppppppp――――――。
「……なんて夢を見てんだ俺は。」
今日から二学期、
青春学園中等部2年守本友哉。
これでも関東の不良の頭をやっていたりする。
この位置は快適でいい。
喧嘩が強いってだけで威張れるし、パシれるし、喧嘩してストレスも発散できるし。
そりゃ昔はこんな風に不良ってわけじゃなかったんだが…親が仕事で居ないし、放任主義だし、こうなるのも時間の問題だった。
「……ガッコ…行かねーと。
あれ?…青のカラコンどこ置いたっけ?」
友哉はベッドから起き上がって今日の気分の青のカラコンを探す。確か引き出しの中に入れていた気がする。
「あ、あった。……あ?…あー…こんなとこにキーホルダー置いてたか。」
探している中で幼馴染とお揃いで買ったキーホルダーを発見した。
今見つけても意味は無いと思ってもう一度引き出しの奥に放り投げで引き出しを閉めた。
制服を適当に着て下に降りる。
そこには母親のメモが机の上にあって『何かあったらここに電話しなさい』と書いているだけだった。
電話番号は幼馴染の家のものだ。
「…毎回毎回……こんなの無くても分かってるよ。」
そのメモを制服のポケットに入れておく。後で折り紙にして遊ぼうか。なーんちゃって。
朝ご飯もそこそこに家を出る。
出たところで幼馴染と丁度出会った。
こいつはなんで学ランなんて着てんだよ。暑苦しいなぁ。
あ、やっべ挨拶してねー。挨拶だけはご近所付き合いでしとかねーと村八分だぜ。
「…はよ。」
「おはよう。今日は早いんだね。」
「…あぁ、変な夢見ちまってな。」
「そう、…。」
幼馴染は少し憂いに満ちた顔をして下を向いた。
「…なんだよ?」
「や、なんでもないよ。うん、なんでもない…。」
「フーン、じゃ。新生徒副カイチョー様。俺と一緒にいるところ見られたくねーんだろ?」
「え…あ、うん。………ごめん。」
「…なんだよ、今更…最近お前、煮え切らないような態度ばっかとってるぜ?」
「そうかな?新しい役職についたから疲れてるのかも?」
「へー、そうか。」
友哉は簡単に幼馴染と挨拶をし青春学園目指して一人走っていった。
学校にはこの優等生君と不良君が幼馴染で友達だと言うことは伏せてある。
公にしたってどちらにもメリットは無いからだ。
「おっはよ。友哉、今日は青?」
クラスに行くと不二が友哉の瞳の色に気が付いたらしく、言ってきた。
「はよ、不二。今日は青だぜ。理由は特にないけど。」
「理由まで聞いてないよ。何色持ってたっけ?オレンジと…赤と、後……何があったっけ?」
「えっと…青に灰色、緑、赤、黄色、紫、ピンク、白、藍色に…………とか?覚えてねぇわ。」
「フフ…友哉らしいって言うかね。」
「不二、お前は守本と話すときはちゃんと注意しろと言ったろう。守本も校則違反の髪の染色にカラーコンタクトとは度胸あるな。」
少し遅れて手塚が登場。
「いやー、褒めるなぃ!新セートカイチョー殿、今日も一段と凛々しいお顔で!!」
「褒めてなど無い。それに俺が生徒会長だと気付いているならそれなりに校則を守ってもらいたいのだが?」
「いやいや、校則こそ破るためにあるのだよ。それに、俺が居るってだけでここの学校に他校の不良共が来ないだけいいじゃねーか。俺が頂点にいなかったら来るぞー?」
「…それは、感謝…しているが……。」
「手塚はそう言う動力沙汰、苦手だもんね。」
「俺、ガッコに貢献してるー!
しっかしこの学校も平和だなぁ。俺のおかげってか?」
「フフフ、でもそれはどうかな?
今この学校、イジメがあるんだって。」
不二がニンマリと笑った。
知らなかったでしょ?と。
手塚は何か言いたげにしていたが、不二が黙っててよ。と言った空気を出して押し黙らせた。
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