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「待ち、ちゃんとルールがあんねん。こういう大規模な交代やったら掟?みたいなんが。」
白石が再び友哉の挑発を止めさした。
「…へぇ、どんなんだ?」
一瞬キレかかったものの掟、という言葉を聞いてとりあえず冷静に。
郷に入ったら郷に従え。
関東モノが関西をしめるという前代未聞のことだから従った方が後からいちゃもんをつけられたら面倒くさい。
そういう判断から、
「タイマンや。一人ずつ挑戦者に挑んでいく。シンプルな話や。
でもな、もし挑戦者が負けるようなことがあったらリンチに早変わりや。」
「ふーん、大阪って面白れぇ事考えんだな。
……ってことは俺、かなりイレギュラーなことを謙也の体でしたってことか。」
「せやなぁ。あの後治めるん大変やったで。」
「悪ぃな、俺んとこはとりあえず大乱闘で勝者がしめるからよ。」
「関東モンはこわいなぁ。」
「……そういえば白石はやったことあんのか?」
「あるで?自分が謙也に憑く前にな。」
「ってことは俺がこいつらをのめす前まではお前がここ一帯の支配者だったってことか。」
「まぁな、…今は一応謙也がしめとる形になっとるけど、実際は俺が色々やってんでぇ。」
「……まぁ、謙也はヘタレだしな。」
「俺、ヘタレやないで!!」
「ま、この話は置いといて、やろうじゃん?その掟ってやつを。」
「ええんか?始まったら止めれへんで?」
「上等。……得物は?」
「禁止。」
「そっか、なら安心だ。
さぁて、長らくお待たせしましたよ、奴さん。来いよ、ここからは俺の独壇場だぜ?」
白石達から少し離れて構える。
戦闘対戦だ。
殺気も放って、威嚇する。
一瞬怯んだ舎弟たちだったが、すぐに気持ちを切り替えて友哉に襲い掛かってくる。
一人一人、
一人
一人
しっかりと友哉に沈められる。
三分の二を片付けたところで友哉が唸る。
「うー…そろそろ飽きた。
なぁ白石、俺がリンチに切り替えてくれって頼んで、俺が全員のめしても大丈夫か?」
一人、
「あー…自分が平気ならそうしい。」
「っしゃ!お前ら残り一気にかかってこいよ。時間短縮だ。」
「「「舐めたこと言っとるんやないでぇええ!!!」」」
本当に一気にかかってきた。
「っひゃは、関東式の大乱闘。
やっぱこっちんが性にあってるぜぇえ!!」
友哉の一騎当千。
人が玩具のように舞う。
いつも通りの展開だが、そこに最後まで立っていたのは友哉ただ一人。
纏う空気が冷たい。
少しだけ、過去の友哉に戻ったようだ。
「……お疲れや…友哉………。」
少し怯えた様に謙也が友哉に声をかける。
当たり前だ。謙也は初めて友哉が本気で暴れるところを見たのだから、
「…………。」
友哉も謙也の言葉を聞いたがすぐには反応しなかった。
気持ちさえも冷たくなって他者の言葉なんてシャットアウト。
しかし、少し落ち着いたところでいつもの陽気な友哉に戻る。
「………あぁ、そういえば謙也は初めて見たんだっけ?怖いか?」
「そんな力怖くないって言ったら嘘になるけど、友哉やから怖くない。」
「ありがとよ。
………さて、お前らの力はこんだけのモノだったっつーことだが、俺に権限くれるよな?」
地面に這いつくばって呻いている者に問う。
「………ぅ…くッ……。」
「おいおい、俺が欲しいのは呻き声じゃねーぜ?」
「自分…血塗れた喧嘩人形【ブラッディーマリオネット】………か?」
「………ハ?今、お前なんつった?」
「ん?」
「え?」
友哉の反応が今までになく焦っている。
と言うよりも見るからに顔がサーッと音を立てて青白くなる。
謙也は「?」を浮かべている。
白石はどこか思い当たる節があるのか、眉を顰めた。
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