1ページネタ 牛及 ふしだらな日常

責任取ってよね。
そんな一言によって家族への紹介についての日程を話し合い、やっとの思いで及川を寝かしつけた牛島がとある布切れを手に寮の洗面所へと向かったのは夜も更けた丑三つ時。
洗濯機のすぐ横に置いてあった洗剤と柔軟剤も持ち、洗い場でぬるま湯を流しながら手洗いに勤しんでいる姿を見れば……ああアレか、と大多数の寮生は牛島にとっては実に都合のよい誤解をしたまま再び自室へと戻ってくれたのだが。
残りの少数派……事情を知っている者がその光景を見たのなら。
ああ、また及川のパンツを洗う羽目になるようなプレイに興じたのか。
と、断言されるに違いない。
寮の規則にはないが、部外者を連れ込まないようにとの不文律がある。
だが牛島はその不文律の存在を知らないし、そういった枠組みの外側の世界を生きていた。
互いの都合さえ合えば何かと及川を連れ込んで、夜な夜な自室での性行為に耽っている。褒められるはずのない行為ではあったが、互いに性欲のはけ口を必要とする年頃だったことも手伝って、部屋の扉に耳を当てれば押し殺した二人分の声を週に何度も聞くことができた。
人前では牛島へのあたりが特段に強いように見える及川だったが、二人きりになると距離感が激変するらしい。
膝の上に乗って甘えてすり寄っているであろう声を、耳に出来る時もある。
陰部を吸い上げられてはしたない嬌声をあげているのを聞く機会も、幾度となくあり──精臭の漂う部屋で何が起きていたのかを端的に示す、避妊用の衛生用品の数々を見てしまえば。
清廉潔白な人間像を、牛島若利に抱く人間はいなくなるのではないだろうか。

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