【牛及】無理矢理転じて何になる?

何かの間違いだと思った。
冷たいばかりの目が情欲でぎらついていることも、視線の先には俺しかいないことも、荒くなった息遣いが首筋をしきりに撫でていることも、隆起したモノを服の生地越しに押し当てられていることも。
どうして?
どうして、俺にこんなことをする?
確かに鬱陶しいと思われても仕方ない位に絡んでいったのは俺だ。
けど。
理由がわからない。
視線の主、牛島は……俺を求めているとはいっても、バレーに関する分野だけに限られていたはずだから。
バレーとはまったく関係のない、性的な事情で俺に用があるとは考えられなかった。
同じ男相手に、そういう趣味があるとかって話も聞いたことなかったし、女の子もそれなりに選べるような立場にいる人間だってことは知ってたから。
指先が冷たい。
血の巡りが悪くなっていて、体温が下がってるんだろうな。
仕方ない。
手首も足首もしっかりと縛られて、半裸にされて床に転がされてるんだから。
ご丁寧に猿轡まで用意してあって、うなり声を出せたら俺上出来じゃん、とか思える位の実に程度の低い話を……するのが、精一杯。
割と今の俺の状況は、洒落になってないからさ。

後ろ手に手首を拘束されてる状況に適応しつつある俺は、ここから抜け出すには何が必要なのかを必死に考えた。
声は出せないから実力行使に出るしかないけど、こいつの左腕に迂闊なことはしたくない。というか、多少俺がじたばた動いたところで、数学でよく出てくる点Pが動くよりも小さな影響しか及ぼさないんじゃなかろうか。
自分で考えて悲しくなってきた。
なんでまた、こんな大男に俺の下半身はいいようにもてあそばれてしまっているのでしょう?
強制的に二人きりにされた倉庫の隅、俺のジャージもぱんつも体温と引き離されて冷えていくだけになってるし。
それとは裏腹に、血が集まってきてる俺のアレは、牛島の手がもたらす物理的な快楽に従順でさ……喜んで雫まで垂らしちゃってる。
実際、気持ちいいのは否定しきれないから、合意の上でのプレイだったならこれは立派な前戯になるんだろう。
俺はそんなことを許した覚えはないから、まぁそのあれです、レイプにあたるんだとは思いますけど。
だったらもっと抵抗しろー、って声が聞こえてきそうです。
そうなんだけどさぁ、こいつ、腹の立つことに上手いんだよ。
男だから当然と言えば当然かもしれないけど、自分でする時よりずっとイイ。
出そうになるのを耐えさせられるつらさまでは届かない、ぎりっぎりを攻め続ける妙技っていうか、速攻でイかせる手筈とは逆を行ってるっていうか、ええっと……イきそうになったら少し休ませてくれて、落ち着いてきたらまた気持ちよくしてくれて……あれ?
俺なんでこいつに、してくれて、なんて表現を使ってるんだろう。
わけわかんない。
とりあえずどんなに無様でも間抜けでもいいから、ここから出ないと。
そう思ってるのに、手にも足にも力が入んない。
時間が経ったらそれだけ、よろしくない展開になる予感しかしないから……すぐにでも逃げないといけないのに。
こいつの前から逃げるってのも不愉快だよ?
やり方問わずこいつを地べたに這いつくばらせて悔しそうな顔をさせるのが、バレーにおいての俺の目標の一つなんだから。
でも、そんな事情を持ち出せるほど、事態に余裕なんかないわけで。
って……あっ、やだ……ぁ!
なになになに、なにしてんのこいつ!?
す、すっちゃだめ……すわないでぇ……!
体を少し反らされたかと思ったら、とんでもないことしてきたし……。
俺のちんこ、根元まですっぽりあいつの口の中に……きもち、ぃ…………のどのおくで、さきっぽこすんないでったらぁ……。
あっ、すご……いっきに、きたぁ……!
どうしよ、ほんと、きもちいぃ……やだっ、がまん、したくない!
……だしても、いいかな?
いいよね?
舌でべろりと舐め上げられたかと思ったら、皮との境目に舌先ねじこんだり、なんかこうすっごく手馴れてる感が……する……やっ、ほんと、もうだめぇ……!
なんかとっても大事なことを忘れてる気がしてたけど、全部どうでもよくなって。
耐えるのをやめたら、体の中がふんわりあったかくなって。
生まれてはじめて、自分以外の体温に触れられながら、俺はイった。
とっても体が敏感になってて、尿道を精液がこする感覚が気持ちよくって、猿轡がなかったらきっとふにゃふにゃ泣いちゃってたと思う。
頭がぼんやりして、なかなか出終わんないなぁ、なんてことくらいしか考えてなかった俺の脳天に……次の瞬間、カミナリが落ちた。
つぷっ、って。
なんかね、ぬるぬるしたものが、お尻に入ってきたんだ。
えっ……って、固まったよ?
だってさ、お尻に入れるものなんて、座薬くらいじゃない?
なんでこのタイミングで座薬くんが登場するの?
わかんなかった俺は、とりあえず主犯である牛島の表情から正解をさぐるべく、背中を丸めた。
そしたらね?
ぴりっ、って。
体の奥から鋭い快感が生まれて、全身を貫いたんだ。
何が起きたのか俺はわかんなくて、体勢を変えかけたまま動けなくなって、すぐに元気になっちゃったちんこへお掃除フェラの真っ最中だった牛島が口を離すまで……何が起きたのかまったくわからずにいたんだ。

気持ちよさそうだな、及川。その様子ならそこまで加減しなくても構わないな

って。言葉の裏側に、まだ終わったわけじゃないってこと……まだ続きがあるんだってことが匂わされててショックを受けた。
この上何をされるんだろう。
お尻の中で動いてる何かは、ほんっとうに無遠慮にあちこち触ってくるし。
狭い中をあちこちも何もあったもんじゃないんだけどね、違和感と快感の境目が曖昧になってくるし、中で折り曲げられてから左右にぐりぐりーって……ひねるっていうか、まわすっていうか、ひろげるっていうか……くちゅくちゅいってる音の出どころがどうなってるのかはもう考えないことにしよう、うん。
体がぷるぷるいってて、ヘンな喪失感に襲われてさ……俺、ぜったい牛島におかしくされてるんだと思った。いつ変な薬盛られたんだろうって思い返してもみた。
けどこれといって思い浮かばない。なんでかな、わかんないや。
だってさ、お尻、きもちいいんだよ?
ふちのところとか、ちょっとこすられただけでひゃんひゃんいっちゃうとおもうもん。
声出せないから助かったような感じ。
考えなんか、まとめられるわけない。
こんなにきもちいい経験、したことないもの。

……そろそろか

じゅぽっ、って派手な音を立てて引き抜かれたあとで。
もっと太さがあって、ちょっとしかぬるぬるしてない、弾力性はあるけどやわらかな感覚が触れたと思ったら。
つぷっ、どころの騒ぎじゃなかった。
ずん、って。はいってきたんだ、それは。
ふちを派手にこすられて、たまらずに俺はイった。
なにこれ、なにこれっ!
こんなのしらない、けいけんしたことない!
さっきまでとは比べ物にならないくらい奥まで、埋まってる。
長さも結構あるみたいで、奥の方がきゅんきゅんして、きもちよくしてくれるものをきゅって締め付けて。
二回目だってのにまた長かった射精を終えて、ふわっふわの頭の中に散ってる意識をどうにかかき集めて、牛島の方を見たら……。
ジャージの下をずらして、俺に覆い被さってる牛島の額に、汗が浮いてた。
……それと。
位置的に、絶対に体のどこかに直接触れているに違いない……ちんこが見えなかった。
一瞬、現実逃避した。
えっと。
えっと……って、ことはだよ?
見えなくなるような場所に、あるってことは……?
考えたくない結果に辿り着きそうだったから考えるのをせっかくやめたのに。
牛島のやつめ。
俺が自由に動けないのをいいことに、好き放題始めてくれやがったのですよ。

っ、及川、お前の中は、あたたかいな

俺が考えずにいたことを!
どうして!
こいつは!
口に出しちゃうかなー!!
……ソウデスネ。
ご立派様でしたものね。若利サマは。
うー、今すぐ頭打って記憶を消してしまいたい。
俺、こいつのちんこで気持ちよくなってたよね?
しかもしかも、はいってきた衝撃に耐えられなくって……イっちゃった、よね……。
憎い牛島のちんこで、あんあん言わされるところまでは行かなかったのが幸いだけど。
後戻りのできないところまで追いやられた感、あるよね……。
ずるっ、って感覚が俺の意識を結合部に連れ戻す。
う、わぁ……。
お尻に触れた感覚でわかっちゃった。
牛島の、若利サマがですね。
根元まではいってる。
俺の、ナカに。
でないと、綺麗に生えそろってる陰毛のざりざりした触感なんて、伝わってきたりしないはず。
うー……嫌なはずなのに、気持ちいいなんて反則だ!
中をちょっと行ったり来たりするだけで、また俺のとおるくんが元気になっちゃってるし!
奥まで入ってるはずなのに、それでもまだぐりぐり腰を押し付けてきて、先っぽが体の奥に隠れてた俺のイイトコロを容赦なく抉って。
なんか、いろんなことが、どうでもよくなってくる。
しばらく、体の奥深くを使って、つながっていたら。
不意に牛島の体に力が込められる。
俺の体も抱き締められて、体のあちこちが軋むような痛みを覚えて。
最後に、お腹の奥深くに、なまあたたかい液がドクドクと注がれた。
しばらく脈打っていたその感覚は、俺のよく知っているものと同じで。
俺の体で気持ちよくなった牛島が、俺の中でイった証を現在形で示してるってことで。
奥に押しつけこすりつけるように腰を使ってから抜かれたちんこの先からは、出されたばかりの精液がまだトロトロ溢れて伝っていた。
それを取り出したハンカチで拭い、自分だけ先に身支度を整えた牛島が最初にやったことは。
俺の猿轡を外してからの、深い深い口づけだった。

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