その1

及川徹は、印字されたばかりの通帳の残高を三度ほど見やって、深いため息をついた。
見やった回数と同じ桁数。それしかもう、及川の全財産は残っていない。
口座から引き落としになる予定の、各種公共料金の支払いにさえ難儀する羽目になるとは、輝かしい人間界異動になった時には夢にも思わなかったのである。
古ぼけた狭いアパートの一室までの決して短くない距離を、とぼとぼと歩きながら、及川は今後の生活の展望を必死に考えていた。

そう、人間界で勤務するよう栄転した悪魔だからといって、黄金色の生活が開けているわけではなかったのだ。
世知辛いとはまさにこの事。人間界の景気が悪ければ、そのあおりをくらって悪魔たちの生活も困窮しやすい。
中級悪魔の及川は、まだ景気に左右されずに生きていけるほどの生活基盤を人間界では当然持っていなかったから、不景気が直撃したと言ってもいい。


「うー……お腹空いた……」
人間界での生活は、魔界での時とは段違いに金がかかる。
聞いてはいたが、今までの自分が築き上げてきた経歴と経験があればどうとでもなると思ってしまい、話を受けたのが運の尽きだったとでもいうのだろうか。
現に及川は食うや食わずで三日を過ごし、真冬にもかかわらず節約のため暖房を切っている部屋の中、万年床と化した布団の中で悪魔専用のお仕事ナビの画面をスマートフォンで真剣に見つめている。
人間界とはいっても、飛ばされた国によっては景気どころか治安すらばらばらで、出来るだけ治安の良い国を志願したらこれだ。悪魔が食っていくための仕事を依頼する人間自体がそう多くない国で、一体どうやって生きていけばいいというのか。
容姿はいくらでもごまかせる。幼児に化けることも、老人に化けて国の福祉制度を利用するのも簡単だ。
だがそれは全部、監視の烏越しに魔界に伝わってしまう。うだつのあがらない悪魔としてのレッテルを張られ、後ろ指差されてしばらくの間は生きてゆかねばならない。それは及川の矜持が許さなかった。

とまあ、意地でも仕事を見つけなければ、いずれ監視烏の飛雄にも呆れられて強制送還を食らうのはそう遠い話でもなさそうだ。かといって、同期の岩泉に助言を仰ぐのは何か違う気がする。
(とにかく、今住んでるアパートはもう引き払おう。そして、住み込みでお給金もそこそこ良くて頭金が出れば御の字……条件検索、かかってくれよ……!)
『検索結果 1件』
「あった!」
内容はこの際いくらか目を瞑ろう。問題は、金額だ。雀の涙ほどしか頭金が出なければ、ここを引き払う金にだって苦労する。
(基本給……は? ごじゅうまん? なにかんがえてんの金銭感覚おかしくないこのクライアント? プラス出来高払いって……ま、まあ、怪しい仕事でも多少の事なら人間相手だしどうとでも……なる……あれ?)
及川の手が止まる。
(何これ……募集期限……今日、じゃん!)
その表示を認識した瞬間、及川は布団から大慌てで這いずり出た。もう昼過ぎを回ってしばらく経つ。見られる格好に急遽身支度し、窓を開けてから人目につかないよう姿を消して、その外へと身を躍らせる。
ふわり。
背に生えた形ばかりの翼で宙に浮いた体は、クライアントの指定した場所への最短距離を飛翔する。その間にも、細かな条件を見ておこうかと思ったのだが、近づいてくるのが高級住宅街である点に心の中で若干引いた。その間にも、慣性のついた体はひゅるりひゅるりと障害物を無意識に避け、ナビゲーターの示す地点と現在位置とが見る間に近づいていき……大きな窓の開け放たれたマンションのとある一室に、及川は土足で降り立った。クライアントと思われる長身の男はそれを咎めようともせずに、心底意外だと言わんばかりにこう言い放った。
「及川、か」
及川はまだ自分の名を名乗っていない。クライアントが誰なのかも知らないし、そもそも悪魔用お仕事ナビに掲載される情報に個人情報は含まれていない。
だから、知った顔が自分のクライアントだったとは夢にも思わなかったのだ。
「……え?」
決して背が低いわけではない自分でも目線を上げざるを得ない長身。隆々とした体躯。意志の強さを示すような太い眉に、唯一認めている形の良く大振りの手。
岩泉とはまた別の同期、事務的に淡々と矢継ぎ早に契約を取り実績を重ねている……将来を嘱望されている、牛島だった。

「げっ。何でお前が人間の籍使ってナビに仕事の依頼出してるんだよ」
人間しか、あのナビには仕事の依頼は出せなかったはずだ。それをどうして。及川の混乱は深まる一方だ。
反射で及川はクライアントにも関わらず牛島にため口で話しかけ、早々に牛島の機嫌を害し足払いを食らった。
転倒し這いつくばっている及川の頭を牛島は踏みつけ、じりじりと踏みにじる。
「言葉遣いがなっていないな。監視烏が見ていたら何を言われるか知らないわけでもないだろうに」
長い貧困生活でおつむまで弱ったか、可哀そうに、とこの世で一番憐れまれたくない男から憐憫の情を抱かれ、及川は必死に起き上がろうと腕に力を込めた。
「それは、どうも、お気遣いありがとうございます……! 質問に答えて、いただけないでしょうか、依頼主さま」
及川の言葉遣いがようやく『聞ける』ものに戻ったところで、牛島は足の力を抜き及川を起き上がらせた。
「何、簡単な話だ。先の顧客の籍を契約の際に代償として手に入れておいただけのこと。奴は人間としての生を終わらせたがっていたからな、籍だけ残して適当な頃合を見計らって自然死の届け出でも出せばあとはどうとでもなる」
体から抜いた奴の魂がどこでどう過ごしているのかまでは知らんが、と冷淡に告げる牛島は、これぞ悪の道よと称賛される悪魔の姿そのものだった。
「相変わらず冷たいことで……で、人間の籍を使ってまで、誰が来るかわからないナビに何の仕事の依頼を上げたわけ? 毎日チェックしてたけどさ、締め切りが掲載日当日って、余程の急ぎの用事なんでしょ」
釈然としないまま、及川は腕組みをして牛島の答えを待った。
「勿論だ」
牛島が及川の手首を掴み、自分の方へと引き寄せる。抱きとめられる格好になった及川は頭の中を飛び交うクエスチョンマークをひとつひとつ回収しながら、薄いカッターシャツ越しに感じる温もりに安堵しかけて、ふと我に返った。
「こ……これの、どのへんが、急ぎの用事なわけ?」
「所帯を持ちたいと思った」
ぐい、と牛島の股間が及川に押しつけられる。そこは硬く熱く隆起していて、どれだけ意識の埒外に追いやろうとしても、欲情の発露が見て取れた。
「気に入らない相手だったら追い返すつもりでいたが……お前なら話は別だ。存分に愉しませてもらう」
「は? 所帯? 俺相手に言ってるわけ?」
問い質している間にも及川の体は牛島に操られ、自分から服を脱ぎ始める始末で。監視烏だったころの名残も色濃い漆黒の風切り羽が露わになり、焦ったところで諸手は下半身の着衣を解きにかかっている。
「俺はお前を、以前から買っていた。及川」
簡単な手品のようにも見える魔法なら、及川にも使える。だが牛島のように、他人に直接干渉するような術はそこまで得意ではなく、また抵抗力もそう強くはない。結果──自分の手で肌を晒し、尻尾をくねらせベッドで牛島を誘惑する『雌』が一体、完成したにすぎなかった。
「俺を、買ってたって……こういう、対象としてってことかよ……」
湖面を覆った油膜に、一気に火が拡がっていく。
「最初は『そう』ではなかった。だが……お前の上げた実績を見ていると、『そういう意味』にいつの間にか変わっていた」
「ふざ、けるなっ!」
言葉を発する自由も徐々に奪われていく。見えない檻の中に閉じこめられ、身中に勝手に熱が籠っていく。
ぱさり、とさり。牛島が自らの着衣を解いていく音が、及川の耳にやけに生々しく聞こえる。
「『無駄だ』」
及川の頭の中に、牛島の声が反響する。
「『これからしばらくは、俺の子を産むに相応しい体へと変化する必要がある。いくら抵抗しようと意味などない』」
呼吸と発声の自由のみが残され、牛島による及川の『開拓』が始まった。

「あ、っ……やだぁ、それぇ!」
及川の翼は黒だが、尻尾の色は違う。及川は淫魔ではなかったが彼ら淫魔でもなかなかいない、珍しい色をしている。真珠の桃色を目いっぱい濃くした可愛らしい色をしているのが本人のコンプレックスで、同時に性的な弱点でもあった。体と繋がっている部分を舐められでもすればたちまちに、鋭い性感が全身を駆け抜けていく。尻尾の先端もどうしてか所謂ハートマークをしていて、からかわれるのが恥ずかしくて普段は隠しているというのに、牛島という男はどこまでも遠慮のない男で。わざわざ魔力を用い全てを露出させて、行為に明け暮れている。
うつ伏せにされた及川は膝を立て、尻だけを高く上げた格好で牛島の目の前に裸身を晒していた。確認しておくが、及川も牛島も雄の形をして生を受けている。淫魔以外は何かとその方が都合がいいというのが理由で、他に何か特殊な事情があるわけではない。
だからか、雄同士で睦み合うのは人間の価値観からいけばまだまだ少数派とみなされている世界の事を、二人はあまり深く考えていなかった。窓を閉めたくらいで、カーテンもかけずに睦み合う二人の姿は、外から丸見えだった。
「んっ、うんっ、んぁっ……しっぽ、なめるの、だめぇ……」
牛島に心拍数や脳内物質を操作されなくても、すっかり及川の体は昂っていた。とろり、と性器の先端からは人間でいうカウパーが漏れ出て、上質な綿のシーツを湿らせている。露出した陰茎の先端を、牛島の親指が無遠慮に何度も往復すれば、ぴゅうううっと白濁した液がシーツを汚した。
「堪え性がないのか、お前は」
窘めるように牛島がため息を零す。
「だって、だってぇ……きもち、よくって……」
生活苦に喘ぐのは毎日の事だったが、性的に最後に喘いだのは一体いつの事だったか。それすらもう、及川の記憶にはない。
その位、久しぶりだった。快楽に打ち震える膝を左右に開かれ、その間に牛島の立派な体格が入り込んでくる。
「この分なら、思ったよりも早く……孕めるだろうな、お前は」
「…………え?」
生理的な快楽にはとことん弱いらしい及川の思考が現実に追いつく前に、牛島は及川の蕾に指を数本あてがい、一息に通した。
ぐちゃぐちゃと水音を立ててかき回される謂れは当然及川にはなかった。淫魔とは違う体はきちんと嫌悪感を訴え、違和感とともに及川に警鐘を鳴らす。これ以上はいけない、と。しかし牛島は瞬時にそれを感知し、及川の体に催淫物質を流し込んだ。
「え、ま、まっ……やだ、もっとぉ!」
すぐに言う事を反転させた及川は、とろりとろりと前からも後ろからも蜜を零し、シーツに前髪を擦りつけて真っ赤な顔をして牛島にねだった。
そうさせた張本人の牛島は、涼しい顔をして及川の体を宙に浮かばせる。指を穴の左右に引っ掛けたまま横に引き伸ばし、くぷくぷと泡だった音を立て開閉しようとしているそこに、昂った自身の生殖器をあてがうや否や、その腰の長刀で及川の初花をあっけなく散らした。



その後の記憶は、及川には残っていない。
何をされたのか、自分が何を口にしたのか、そもそもコトに及ばれ有耶無耶にされた契約はどうなったのか。
体を起こした時に体奥から流れ出てきた牛島の精と、体中に点々と散っている鬱血痕に気付いても、まず何に混乱すればいいのかの優先順位をつけるところから始めなければならなかった。






酷使してひりひりする尻の痛みと戦いながら、及川は牛島との契約書にサインをした。
及川なりに、書かれている細かな文面の仔細にまで目を通したつもりでいた。
だが、疲弊しきった頭では随所に埋め込まれた罠のすべてを見落とさずに指摘するには至らず、何かと都合の悪い契約を結ばされたと気が付くのは相当先の話。
ひとまずは、空腹を癒す食物が目の前にある幸せを堪能すべく、温かなポタージュスープに口を付けた。
続いては、シーザードレッシングで味をつけられた鶏ささみのほぐし身。飾り気も何もないが栄養価の高さは知っている。トーストしたパンにバターを滑らせると、ふわりとよい香気が広がる。付け合わせのサラダも平らげて一息つけば、ココアを傾ける牛島と思い切り目が合った。
視線を外した方が今後の主導権を握られると思った及川は、真正面から牛島を睨みつける格好になった。
「いい目だ」
昨日のような拘束は全て解けている。顎を掬い上げる存外に繊細な動きを見せた牛島の指が、及川の言動をやんわりと制限する。だがすぐに及川は牛島に拘束されることになる。
「昨日のように、体の自由を直接奪いはしない。この家の中なら好きに過ごして構わない。俺の相手をするときは直接呼ぶし、他の用向きの時も同じだ。他の仕事は一切受けるな。お前の住んでいた場所は明日にでも引き払っておいてやる」
ああ、この男は本気で及川を飼うつもりでいるのだ。前の住処などもう不要だから抹消して、早速新しい生活を始めさせるつもりでいるらしい。即座に思い至らないような細々とした手続きもそつなくやってのけ、及川を万年次席に追いやった辣腕で万事の尻拭いをするのであろう。
「お前に任せて、後から俺にとばっちりがくるなんで事態は御免なんだけど」
びり、と及川の体に戒めの雷撃が走る。
「口のきき方に気を付けろ、及川。ここでの主人は俺だ。お前は将来的には俺の伴侶にはなる予定だが、それはあくまでも躾が終わってからの話だ。躾の間は、俺も容赦しないし手加減してやる心づもりはない」
形式上でも敬え、と暗喩する牛島の言葉と、絶えず神経系を刺激する電流に及川は首肯せざるを得なくなり。体の痺れが取れた頃には、どういう風の吹き回しか、部屋着を与えられ同じベッドに横になる手筈が整っていた。

「なんで、一緒に寝てん……寝ることになるんですか」
「今日俺は仕事を入れていない。要は休みというやつだ。休みとは文字通り、休養する日の事だろう。だから体を休める」
人間界の物理法則を一時的に捻じ曲げて部屋に押し込んだとしか思えない特大のベッドの中央に、二人寄り添って体を横たえている。エアコンが僅かに稼働している部屋は一人寝には少しばかり寒くて、寄り添いあうと丁度いい、といった絶妙の温度設定にされていた。
もそり。
及川が、牛島の胸に顔を埋める。
「そりゃあ、一人で寝るには寒いから、二人で……ってのはわかんなくもないけど……」
まだ何か言いたげな及川を抱き寄せ、牛島は当然とばかりにこう言ってのけた。
「誰かと一緒に寝るのは嫌いか、及川? 俺はお前の体温を好ましく思っているが、お前はそうではないというのなら再考の余地はある」
一晩過ごして覚えたお前の肌の匂いも格別だったしな、と言わなくてもいいようなことまで、時として牛島は口にする。だから及川は照れ隠しに、牛島を茶化さなくてはならなくなる。
「……そういう神経っていうか感覚、お前にもあるんだな」
「一言余計だ」
またしても及川の体に電流が流される。けれども先ほどのものよりは微弱で、むず痒い程度だった。
「く、くすぐったいってば! あははっ、やめて、やめてったら〜!」
けたけたと屈託なく笑う及川を見てある種の満足感を得たのか、牛島は電流を流し込むのをやめた。
「なら大人しく休むのに付き合え。昨日から夜通し行為に明け暮れていたせいか、身体的な疲労が残っているようでな」
欠伸を噛み殺しながら、牛島は及川に語り掛ける。その瞼は今にも上と下がくっつきそうになっていて、見るものが見れば目つきの悪さに裸足で逃げ出さんばかりだったが、慣れている及川は単純に、ああ眠いだけか、で済ませていた。
「おやすみ?」
俺もひと眠りしよっかな、と丸めた及川の背に、牛島の掌が這う。そのまま規則的な寝息に変わり、なんだ手出しされるんじゃなかったのか、と肩透かしを食らった気のした及川は頭を振り、そっと目を閉じた。
月光が二人を照らし出すまでのしばらくの間。
ひとつの影となって眠る、姿があった。

夜に眠って昼間に起きる、人間たちのルールを守る必要はなかったが、牛島は自分の中で一定の生活リズムを作り上げていたらしい。
煌々と月明かりがすべてを照らす夜、星の位置を見て若干寝すぎたと気づいて、及川も起こそうとした。
が、若干大き目の部屋着から垣間見えた白い肌がいけなかった。
服を脱ぎ、いつの間にかそそり立っていた腰の長刀を及川の腿の間に差しこんで素股を試みたが極めるまでには至らず、下着も脱がせてまだ少し濡れている秘部にそのまま挿入すると、得も言われぬ快楽が波濤のように押し寄せてくる。
竿をすべて押し込み、露出しきっている亀頭でぐいぐいと及川の奥を刺激してやると、反射で中がひくついて。ようやくこみ上げてきたものを我慢する必要などなかったから、最奥でびゅるびゅると解き放ってやると、どうにか体の不穏な熱が引いていった。
しかし、一度してしまうと二度三度としたくなるのが男の性。そのまま抜かずにクチョクチョと音を立てて浅い抜き差しを楽しんでいると、さすがに及川も寝てはいられなくなり、長い睫毛で重そうな瞼をゆっくりと開いて。
そして。大いに、驚いた。
「……ふ、ぇ? ……な、な、なっ、何、何してんだっ、人の寝てる間にっ」
獣のようなスタイルで体を和合させている二人の影が、部屋の中に投影され始めてからどれくらい経過しただろうか。
すっかり昂りを取り戻した牛島のものが、及川の性感を責めたて体の芯に火を点させる。
「何、とは、心外だな。将来の伴侶と陰陽を和合させることの、どこがいけないのか、逆に俺が知りたいくらいだ」
寝込みを襲ったことについては微塵も悪いことだとは思っていない口調で、牛島は及川を突き続けた。
それに及川も徐々に引きずられていき、吐息に混じる熱の正体が変化していく。
「あ、っう……はぁっ、そこぉ、もっと……じゃない、だめだってばぁ!」
すすり泣く声も時折混じりながらの、及川の嬌声。
牛島を鎮めるどころか煽る効果しかその声にはなく、乳首を摘ままれ転がされ、爪の先で弄り倒された結果。
慎ましやかだったはずの小さな果実は、膨らんだ小ぶりな野イチゴもかくや、と言うほどになってしまった。
「順調だ、及川。この分だと、半年かかるかかからないかで済む」
「ひっ、ぅぐっ、ひ、ひとのからだ、こんなにして……っ」
熟れた果実を指先で丁寧に擦れば、たちまちに及川の性器の先端からぴゅうっと漏れ出るものがある。
まだ白く濁っているそれが、僅かに黄色く色づいた液体に変わるまで、あと数時間といったところだった。



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