【岩及】もしも及川さんが恋愛ゲームの攻略対象キャラクターになっていたら

こんにちは、及川徹です。
何でも今回は厳正なる抽選のうえで、俺が抜擢されたとかなんだとかで。
どんな企画なのかはこれから知らされるけど、まぁなんとかなるよね!

『及川君及川君』
あれ、部屋のスピーカー越しのアナウンスで指示が出されるんだ。
「はい、こちら及川です。声届いてますか」
『大丈夫そうだね。君にはこれから、ある生徒と学校生活を送ってもらいます』
なぁんだ、いつもやってることじゃないか。
「わかりました、それで、誰と過ごせばいいんですか?」
『今から部屋に入る、彼とだよ』
彼ってことは男子かぁ。仲良くやっていけるかな、どうかな?
ガチャリ。
ドアノブのまわる音とともに、「彼」は入って来た。
「い、いわちゃん!?」
「及川!?」
そう。何の因果か。幼馴染と一緒に学校生活を送ることになったんだ。
「え、待ってください、これじゃあいつもの生活と何も変わらないですよ、一体どんな企画を立ててこうなったんですか」
スピーカー向かって思わず俺は詰問口調で問うていた。
『及川君、話は最後まで聞いてください。岩泉君には、君には明かしていないとある秘密があるそうなんですよ』
岩ちゃんが、俺に秘密?
何だろう。
今本人に聞いたら企画が台無しになるんだろうから、黙ってるに違いないけどね。
でもどうして、岩ちゃんの顔がちょっと赤いんだろうね?

そんな企画が明かされて、朝に授業を受けてから部活までの時間は特に何もなし。
部活に行く時は大抵岩ちゃんも一緒だから、どっちかが掃除当番の時にはお互いを待つのが通例になっている。
今週は岩ちゃんが掃除当番の週だから、俺は岩ちゃんの教室の前で清掃が終わるのを立って待ってた。
掃除を終えた岩ちゃんが、教室から出てくる。
やっとバレーができるね、いわちゃん。
そうやって言ったはずの俺の台詞は、意外や意外、別の言葉にすり替わっていたんだ。
「もうっ、いわちゃん、おそいっ!」
あれ?
なんで?
俺そんなこと考えてたっけ?
いやちょっとは考えてたけど、掃除を頑張ってた岩ちゃんに言うセリフじゃなくない?
失礼なこと言って、ぶたれたりしないかな?
恐る恐る、岩ちゃんの顔色を窺う。
そうしたら。
髪をくしゃくしゃってされて。
「悪かったな、ちと長引いてよ」
あ、あれ?
岩ちゃんが怒らない。
それどころか、またやっぱり、顔が赤い。
熱でもあるのかな?
そう思って、額に手を伸ばした。
そしたら、余計に顔が赤くなった。
絶対この企画、何か裏があるに違いない。
でないと、心の底でちょっぴりしか考えてなかったような声が、表まで出てくるなんてこと、ないもの……。

部活を終えて、鼻歌を歌いながら着替えていると、隣から奇妙な視線を感じた。
隣って、岩ちゃんしかいないはずなんだけどなあ。
だから思い切って聞いてみた。
「ね、いわちゃん。……まさかとは思うけど、最近俺、太った?」
そうは思いたくなかったけど、食べ過ぎてたかなって予感もあったから、気に病むより落ち込む方がいいかなと思って、ね。
「いや、抱き心地よさそうだなと思ってよ」
……!?
今、岩ちゃん、何て言った!?
抱き心地? よさそう? 誰の?
俺のだー!
ちょ、っと待って、岩ちゃんってば俺のことをそんな目で……見てくれてたんだ……。
ん?
見て「くれて」?
俺までおかしくなったっぽい?
ぽい?
ぽいの?
他のメンツを見回しても、誰も何も聞かなかったフリに徹してる。
こんな時の連携もさすがうちのチーム、大変によろしい。
いや、よろしくない?
もう何が何だか、わかんないよー!

考え事をしながらもたもた着替えてたら、岩ちゃんまで先に部室から出ちゃってて俺が最後になった。
鍵のこともあるから最後でも一向に構いやしないんだけどね、なんていうかね、やっぱり寂しいんだよ一人にされるってのは。
とぼとぼ歩いてたら、門のところに人影が。
岩ちゃんだった。
「いーわちゃーん! 待っててくれたの?」
「おう、徹。どうせ帰る方向も同じだろ」
……なんですと?
岩ちゃんが、あの岩ちゃんが、硬派で通ってるあの岩ちゃんが!
俺を! 名前呼びで!
急に恥ずかしくなって。
返事もせずに、その場から全力疾走してた。
どうして、普通に、及川って呼んでくれなかったのさ!
岩ちゃんの、ばかっ!

そんな一件もあり、どことなーく疎遠になってた頃。
憂鬱で憂鬱で仕方のない、テスト期間が迫って来た。
部活はお休み、テスト勉強に全校生徒が必死になるこの時期、いかにして効率よく点数を稼ぎ出すかに知恵を絞っていたのが通例ですが。
いつもと同じように頑張ったんだよ?
なのにね?
俺の点はそこそこよかったんだ。
なのにね。
岩ちゃんに!
あの岩ちゃんに!
点数で負けたんだよおおおおおお!!
くやしー!
成績一覧表が張り出されてる中で、俺だって部活命の割にはかなりいい成績を保持してる。
なのに岩ちゃんはその上をいった。
成績表の前でわなわな震えてる俺を横目に岩ちゃんときたら。
「勉強なら教えてやれるから月曜にでも俺の部屋来い」
だってさ!
言うよね!
行くけどさ! 悔しいから!

で、行った先には。
鬼教官モードの岩ちゃんがいました。
「一問間違う毎にお仕置きな」
ってさ。問題集片手に必死になってる俺を見下ろす岩ちゃんの手には、その……電マが握られていまして。
それでどこをどうされるのかなんて、考えたくもない。俺は真剣に学問に取り組みましたよ?
でもさ、パーフェクトなんかそうそう出るもんじゃなくて、見開きで一、二問は間違えるわけでね?
恐れおののく俺に向かって、近づいてくる電マ……こわい……ひゃん!
岩ちゃんったら俺の目を覆ったまま電マ近づけてくるもんだから、どこにあたるかわかんなかったのに!
よ、よりにもよって、アソコにあてることないでしょ!
「間違えた問題数に10掛けた秒数だけ当てるからな、イったら追加の罰だ覚悟しとけ」
たっぷり30秒あててからやっと放してくれた時にはもう、勉強どころじゃなくなってた俺は立て続けに次の見開きも解かされて、盛大に間違えて……。岩ちゃんに、ため息をつかれた。
「……やる気あんのか、及川」
「あ、ありますぅ……で、でもでも……げん、かい……」
制服のスラックスの前はふっくら膨れ上がってて、パンツの中はカウパーでべたべたしてる。
「こんなに、なってるんだもん」
ベルトを外して、ファスナーも開いて、パンツをずらすところまで。
不思議と、何の抵抗感もなかった。
お風呂場でもない。明るい岩ちゃんの部屋で、性器を晒すことに羞恥心こそあれ、どうして抵抗感を抱かなかったんだろう。
岩ちゃんに見られて、コーフンしてる自分がいる。
「全部、いわちゃんのせいなんだからっ」
電マなんか当てる岩ちゃんが悪いんだ。そんなの絶対気持ちよくなっちゃうに決まってるってわかってて、俺にそんなの使ったんだから。
溜息を一つついた岩ちゃんは、しゃあねえそっち行って横んなれ、ってベッドを指さした。
どうにか、してくれるのかな。期待でまた、とろりと先走りの蜜がこぼれ出た。
「こら、これ以上汚すなお仕置き増やすぞ」
「そ、それだけはやめていわちゃん!」
とろとろべたべたの先っぽを両手で覆いながら、俺はベッドに仰向けになった。
岩ちゃんは俺にまたがり、まずはウェットティッシュで件のとろとろぬるぬるを拭きとっていく。
他人の手、それも岩ちゃんの手が、俺のそんなところ触ってる。全然コーフンが静まらない。むしろ悪化する一方だった。
「やっ、やぁん、いわちゃぁん」
先っぽを拭かれても逆効果で、とろとろの蜜の他にじわじわと白いものがせり上がってくる感覚さえある。
「でちゃう、よぉ……!」
白旗を振る俺に岩ちゃんも諦めたのか、拭うものからカリを重点的に責めるものへと指の動きを変えた。
ぴくん、ぴくん。
腰が勝手に跳ねる。
「や、やだやだ、でるでちゃういわちゃんだめっ……あ……んんっ!!」
ぴゅくっ。
ぴゅっ、ぴゅっ。
き、きもちいい……。
手で押さえるのも忘れて、俺は夢中で射精した。
先っぽを温かいもので包まれて、尿道口をちろちろと何かが刺激してくる。
「あ、ああん、いわちゃ、いわちゃぁん……!」
岩ちゃん、すっごく上手だ。どうしよう、一人でできなくなったら。
……あれ?
俺が散々気持ちよく出した精液って、今どこ?
尿道に残った分を丁寧に岩ちゃんに扱かれながら、ゆっくりと体を起こせば。
喉を鳴らして何かを飲み込む岩ちゃんと、目が合った。
「おう、気は済んだか」
「ば、ばっちり、です……」
岩ちゃんの、お口が。
俺のアレの先っぽを。
咥えてました。
あまりに丁寧に吸い上げられて危うく別のものまで出そうになったことは、何とかその日の岩ちゃんには秘密にできましたが。
正直、次同じようなことがあったら、全然自信がありません。
こんな調子で、企画を全うすることなんか、できるのかな……?




岩ちゃんにお口で気持ちよくしてもらってからというもの、俺はすっかりいけないコになってしまっていた。
素行が、とかじゃないよ?
ちゃんと部活にだって真面目に出てるし、授業にだって前よりずっと真剣に打ち込んでる。
そうしないと、また岩ちゃんに「お仕置き」されちゃうから。

そうです。俺は毎日の日課を完璧にこなせないと、岩ちゃんに性的なお仕置きをされてしまうように取り決められてしまったのです。
どうしてそうなったのか、経緯はよくわからない。
そういう企画だから、って押し切られておしまい。
寝坊してもアウト。女の子相手にいい顔してみせてもアウト。部活で凡ミスしてもアウト。授業中に居眠りするとかもってのほか。
究極の模範生を目指さなくてはならなくなったのです!
大変だよね。企画だし自分のためにもなるからって、大体一日おきくらいには岩ちゃんのお口であんあん言わされてるんだもの。
で、またしても定期試験が近づいてきまして。
岩ちゃんの家でお勉強缶詰、今回もやりますとも。そういう主旨らしいし。
電マの刑は継続中で、得意な科目は一度も食らわずに済んだけど、ちょっと、ちょっとだけね?
苦手な科目でね?
やらかして、しまいまして。
岩ちゃんの逆鱗に触れてしまいました。
「公式くらい今の時期には暗記しとけクソ川!」
思いっきり怒られて、罰として一緒にお風呂に入っての性感マッサージの刑。
グレードアップっぷりがひどい!
これじゃあテストで満点取らないと何されるかわかったもんじゃない!
狭い脱衣場で渋々制服を脱いで、先にお湯を浴びてのんびりしていると。
手に怪しげなジェルを持った、悪い顔をした岩ちゃんがそこには立っていました。

「やっ、いや、そこだめぇ……ぁ、ん!」
お小遣い奮発して買ったと思われる温感ジェルは気持ちよかったです。
岩ちゃんもすっかり俺の体をいじり慣れてるから、どこをどうやったら気持ちいいのか熟知しています。
そこから導き出される結論は?
俺に勝ち目はないってことだよぉ!
胸に。股間に。べったり塗られた温感ジェルはぬるぬるしててほんわりと発熱して、ちょうどいい具合の刺激もくれる。
岩ちゃんにやらしいことをされ続けた俺の体はなかなかに敏感になってしまっているみたいで、ちょっと触られただけでぴりぴりとした快感がそこらじゅうに広がっていきます。
ぷっくり膨らんだ乳首。同じく膨らんで存在を主張している、股間のアレ。
でも岩ちゃんは、肝心なところをあえて外しながらしか、触ってくれなくて。
恥を忍んで自分から手を伸ばせば、その手越しに電マが当てられる。
「ひ、っ……ぁ、あぅ……!」
気持ちいいのにもどかしい、とんでもない拷問。
何か意趣返し、意趣返し……んん……っ……!
俺が意識をよそに散らしたことがよほど面白くなかったらしく、両の乳首をつねられこねくり回されて、一気に快感が全身に回っていく。
今日もだめ、出ちゃいそう。
「ね、いわちゃ、いわちゃぁ……!」
電マの刺激だけじゃ足りない。岩ちゃんに口でしてもらわないと、イけなくなっちゃったんだ。俺。
でも、今日の岩ちゃんは、悪い顔をしてただけあって意地悪だった。
「まだ早ぇよ」
電マを取り去り、俺の股間のジェルを手に塗りたくったかと思えば。
指を一本、いきなりお尻の穴に入れてきたんだ。
「やだ、痛いっ! ……あれ?」
どうしてだろ。違和感みたいな感覚はあっても、痛くない?
ジェルのお陰? すごいなー。
俺が大して緊張もしていないのをいいことに、クチュッ、とか、クチョッ、とか、いかにもえっちなことしてるっぽい音を立てて岩ちゃんは俺のお尻の穴をいじり始めた。
何となく気持ちいいし、案外悪くないかも、これ。
四つん這いになった俺の息が少しずつ荒くなってきたのを確かめた岩ちゃんが、ジェルをもう一度手に取って指をもう一本、今度は少し強引に捩じ込んでくる。
今度こそ痛いかなと思ったけど、引きつるような感覚がちょっとあった程度で、特段の痛みもなく。
二本の指をバラバラに動かしたり、まとめて抜き差ししてみたり……疑似えっち、してるみたいな感じ。
痛くないから、股間のモノもすっかり元気を取り戻して、早く気持ちよくしてっておねだりしてる。
そんな光景も、もちろん岩ちゃんから見えてる。
上半身を支えてる腕ががくがくしてきたあたりで、岩ちゃんの指の動きが変わった。
何かを見つけて引っかくような、そんな感じに。
かりっ、って。
一瞬の、出来事だった。
「ひ、やああああんん!!」
視界がちかちかして、わけがわからない快感に流されて、気が付いたら俺は思いっきり射精してた。
くりくりとソコをいじる岩ちゃんの指はなかなか止まってくれなくて、ぴゅるぴゅる出てる精液も勿論止まってなんかくれなくて。
散々弄り倒されて、もう出ないって言ってるのにまだいじる岩ちゃんのせいで、ちょっとだけオシッコしちゃってからやっと止めてくれて。
どうせなら全部出しとけ、とか言ってそのまま脚広げて、全部出すところまで観察されて、さぁ……。
恥ずかしいったら、ないよね。
幼馴染のイタズラでイくことはもしかしたらあるかもしれないけど、オシッコは……ねぇ。
ないよ、ねえ。
ここまで企画の範囲内なのかなぁ。
どうなんだろう?
ともかく、わかったことはいくつかある。
岩ちゃんも俺も、お互いに対してえっちなことを期待してるっぽいこと。
そして、それに伴う、特別な感情を持ち始めているってこと。





長くて短い、そんな道のりだった。
定期テスト真剣勝負、今度こそ行けると思って臨んだ科目たち。
満点の科目もいくつかあった。
苦手だった科目も、フルスコア寸前まで追い込めた。
それでも、岩ちゃんには勝てなかった。
敵わなかった。
受けた科目全部、岩ちゃんは満点だったから。
バレー目当ての進学じゃなくても今のお前なら進学先選び放題だぞ、って進路指導の先生に呼び出されて何度か説得されてたのも知ってる。
それでも岩ちゃんは首を縦には振ろうとしなかった。
やりたいバレーをまだやりきってないから、って先生の話には取り合わなかった。
進路、かぁ。
夏のインターハイ予選は負けちゃったから、俺たちは結構微妙な立ち位置に立たされている。
ぎりぎりまで部活を続けるか、このまま引退して受験勉強に専念するか。
勿論、体がなまらないようにバレー部には顔を出すよ?
でもそれは、大会に出場する選手としてなのか。
進学を控えて第一線を退いたOBとしてなのか。
意味合いは、全然違う。
俺はどうしたいのか。
岩ちゃんはどうしたいのか。
そして、あの企画はどうなったのか。
俺たちの関係も、大詰めだった。

「及川」
やけに真面目な声色で、岩ちゃんが俺を呼ぶ。
「なぁに?」
くるりと振り返って、俺は岩ちゃんの方を向いた。
「あの企画のことで、話がある、今度の土日、予定空けとけ」
厳かな雰囲気だった。きっと大切な話があるに違いないと、俺の直感が訴えていた。
そして、それは。
現実と、なった。

岩ちゃんのお家にお邪魔して、岩ちゃんのお部屋でのんびりくつろいで。
そこまでは遊びに行った日の、いつもの光景。
違うのは、なぜ部活のある土曜日にそこに出向いたのかっていう前提。
お互いに部活を休んでまでしなくちゃならない話って、なんだろう。
出された冷たい緑茶をとうに飲み干した俺は、なかなか部屋に戻ってこない岩ちゃんを待つうちに、暇を持て余して岩ちゃんのベッドで横になっていた。
(あ、岩ちゃんと……えっちなことしたときのこと、思い出すな)
このベッドで何回岩ちゃんに「お仕置き」されただろう。
何回もイかされたし、潮も吹いたし、オシッコだって漏らしたことがある。
そう考えると、幼馴染相手に何やってるんだろうなあ、って気にもなってくる。
まだ俺達の関係には、これといった特別な名前はついてなかったから。
あ、岩ちゃんが戻って来た。
「おかえりーいわちゃ「及川」」
ベッドでのほほんと岩ちゃんを出迎えた俺の上に、岩ちゃんがのしかかる。
今日は何をするんだろう。少なくともこんな体勢で、大事な話が始まるわけがないし……。
「俺はお前のことを好きだし、抱きたいと思ってる。お前はどうなんだ?」
は、始まった! どうしよう!
い、岩ちゃんのことなんか、嫌いなわけないし、いっつも気持ちよくしてくれるところとか好きだし、あっでもこの間漏らさせられたことはまだ根に持ってるけど許してあげないこともないし……。
「全部口に出てっぞ、及川」
しまった! 聞かれてた!
「うぅ……いわちゃんの、すけべ……」
「お前相手だからだっつの」
そういって岩ちゃんは、頬っぺたにキスしてくる。
そういえば、あちこちに散々キスされたけど、まだ口にはしてもらってなかったっけ……?
「ね、いわちゃん」
俺の言いつけ通りにリップクリームを塗るようになった岩ちゃんの唇は、かさついてもいないし皮もめくれていない。
単純に心地よかった。
「俺さ、好きでもない相手に、あんなにいろんなことさせたりしないよ?」
何をされても、岩ちゃん相手だったから目眩がするほどに気持ちよくて。
恥ずかしい思いをしても、岩ちゃんがコーフンしてくれるから我慢して。
お尻がきゅんきゅんしてるのを必死に耐えてるのも、岩ちゃんが一生懸命、俺に好きだって告白してくれてるからだよ?
……あー、でも、俺も限界に近いかも。
「いわちゃん、俺、いわちゃんのこと、だいすきだよ」
だから。
だから。
「今までよりも、もっと……えっちなこと、しよ?」
そのために日曜日まで予定空けとけって言ったんだよね?
そのくらい、俺だって気付くんです。

汚してもいいように二人で裸になってお風呂場に行って、体の洗いっこもして。
岩ちゃんったら、しつこく俺の乳首を指でつまんだり歯立てたりして遊んでて、ちっとも体洗ってくれなかったんだけどさ。お尻くらいかな、例外は。丹念に、本当に丁寧に洗ってくれて、それだけで俺は体を戦慄かせた。
いつもと同じように指を二本まとめてお尻の穴に入れてさ、くちゅくちゅ音が立つまでひたすらかき回して。
その先に、俺の知らない別の世界がまだあった。
「そろそろ、頃合いだな……」
そう独り言を言った岩ちゃんが、今まで一回も入れたことのなかった、三本目の指に温感ジェルを塗り足して。
やわらかく開閉している俺の入り口に、そっと押し込んだんだ。
入れられた瞬間はさすがに、びくりと緊張した体に無駄な力が込められた。
二本と三本じゃあ全然違う。ちゃんとした立体が体の中に入って来た、って感じがする。
でも岩ちゃんが散々慣らしてくれてたから、痛みらしきものはない。
「痛く、ねぇか……?」
慎重に岩ちゃんがお伺いを立ててくる。
「……うん、大丈夫」
「じゃあ、壁に手ぇついてこっちにケツ向けろ」
……もしかして。もしかするんだろうか。
三本の指を、じゅぽっ、って音付きで引き抜いた岩ちゃんが、背後で何やら準備をしてる。
お尻の穴に指の代わりにあてられたものは。
熱くて、太くて、長い……岩ちゃん、の。
「入れっぞ」
言うが早いか、「それ」は侵入を開始した。
「う、あっ、いっ、たぁい!」
なにこれなにこれなにこれ!?
や、入ってるものは何なのかはわかるよ?
でもさでもさ、入り口の方はまだしも、奥の方は触られたことないんだよ?
それを一息に、思いっきり入れちゃってるんだよ?
岩ちゃんの、ばかばか!
「ひ、ひどいよぉ……いわちゃ……いたい、よぉ……っ」
お尻の中がじんじんする。ひりひりもするし、明らかに無理がかかってるのがわかる。
でも岩ちゃんは、腰の動きを止めてくれない。それどころか、もっと奥に、もっと奥にって腰を押し進めてくる。
「ひ、ひぅ……んゃ、だぁ……」
なんで? どうして? 俺痛いのに、どうしてやめてくれないの、岩ちゃん?
腕を伸ばしていられなくなって、俺はタイル張りの壁に押しつけられるような格好になり、足は足で岩ちゃんの腰をまたぐように大きく開かされてる。
逃げ場なんかない。動けば動くほど、つながりが深くなっていく。
「ふ、ふぇ……い、いた……い……あ、あれ?」
中にやっとジェルが行き渡ったのか、痛みが消えた。
それと一緒に、入り口を擦られながら、奥をずんずんと突き上げられる動きが、ちょっとずつ気持ちよくなってくる。
気付けば、一旦はうなだれていた俺のアレもすっかり元気になって、ぴんと立ち上がってる。
やっと俺の体が慣れてきたことを岩ちゃんも察して、剥けかけの皮を使い指で作った輪を上下させて擦ってくる。
俺が仮性だからコレに弱いって知っててやってるんだ、なんてやつ!
「は、はんそく、いわちゃ、それはんそくぅ……ぁ、ん……イっちゃいそ……」
びくんびくんと、からだが勝手に動き出す。
壁に何とかしがみついて、体勢が崩れないように頑張ってたら。
お尻の中から、信じられないくらいの快感が一気に全身を駆け抜けて。
思わず悲鳴を上げていた。
「ひゃああああああんん!!」
どくり、どくり、と脈打つように間断なく襲い来る快楽の奔流は、あっさり俺を押し流して。
その拍子と前後して、ぴゅくっ、ぴゅくっ、って出されてる岩ちゃんの精液。
俺の体が温まってる分だけ、冷たくて心地いい。
イきながらいわちゃんは、俺の先っぽへの刺激も忘れていなかったみたいで、後ろでイきながら程なくして俺も、前でイった。
そして、体から力が抜けてへろへろとその場にへたりこんだ後、飲み干した緑茶がよくなかったのか……お風呂場なのをいいことに、岩ちゃんの見ている目の前で、俺はチョロチョロとオシッコをした。途中でお腹を押されて、チョロチョロがジョロジョロに変わるまでにはそう時間はかからなかった。

なんだかすごい、初体験をしてしまった気しかしないなぁ……。

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