ジクパー ぱんつ探偵グランくん!

※タイトルが既にゆるいですが中身も当然のようにゆるいです
※タイトルにそんな要素は入っていませんがジクパーです
※なぜかジータちゃんがグランくんの一歳年上のお姉ちゃんやってます

グラン少年は、多感なお年頃の少年であることに間違いはないだろう。
しかしそれは、姉の下着に思いを馳せたりすることと同義ではない。
空の旅でも一年分先輩の姉の騎空挺に同乗して何か月か経ってしまえば、持ち回りの洗濯当番のせいで心拍数を上げることもないだろう、と思っていたのだが。
あったのだ。
大型の騎空挺の中で共同生活を送っているメンバーには、当然女性も多い。
その女性のうちの誰かが……グラン少年の琴線に触れる、豪華でありながらも繊細な装飾の白いレースがふんだんにあしらわれたショーツを、人の気も知らずに当番の手に託したらしい。
構造や素材にあわせて洗い方を変えるのを覚えたグラン少年も、これには驚き焦った。
どう洗えばいいのか。それ以前に、自分が触れていいものなのだろうか。
いや、洗濯当番なのだから洗うしかないのだけれど、誤って紛れ込んでしまっただけで本当は自分の手で洗おうと思っていたものかもしれないし。
勇気を出して、そのショーツの、腰にあたる部分をつまんでみるとまだかすかに持ち主のぬくもりがある。
ということは、脱ぎたて。
軽く目眩がして、それから勝手に頬が紅潮していく。

一体誰のものだろう?
色が白だから清楚な感じだけど、デザインは夜の世界を思わせるものだし……。

日常的にはそんなに着用されていないようで、ほとんど汚れていないショーツは所謂「勝負下着」と呼ばれるものにカテゴライズされることをグランはまだ知らない。
なので、不審者にならない程度にショーツを観察してから、最後に洗うために脇によせておいた。
てきぱきと他の洗濯物を手洗いしながら考える。
先の下着がたとえば、ルリアの私物だったなら?
あの半分透けているような白いワンピースの中に、こうも刺激的な下着を?
なかなかに興奮する。
いやそうじゃない、そうじゃない。ルリアのものだとしたら少々大人っぽすぎる気がする。
もう少し年齢層を上げてみよう。

……ああいうのをつけていてもしっくりくるような人といえば……。
妖艶な雰囲気をまとった、マギサの姿がグランの脳裏に浮かぶ。
けどやっぱりしっくりこなかった。全体的な服の色調からして、彼女ならば黒やそれに近い色調を選び統一感を出してくる気がする。
統一感といえば、イシュミールの名を冠するララーナであれば、白いドレスの中に豪奢な白いショーツをつけている可能性は大いにあるだろう。
だが。
ドラフの彼女のものならば、もう少しサイズは小さめなのではなかろうか。
ハーヴィン女性も同様の理由で、候補者から外れる。
ヒューマンか、エルーンか、それらの枠組みの外側にいる存在か……。
レオタード風の服の女性も、候補には入らない可能性が高い。
結構絞られてきているようで、けれど確証に繋がる何かを閃いたわけでもなく。
エルーンの女性の一部は臀部も露出していたりするので、ヒューマンに候補者を絞ってしまってもいいのかどうか、それとも恥を忍んでジータに聞いてみたほうが安全なのか、迷っているうちに例のショーツ以外の洗濯が終わってしまった。

仕方ないか。
殊更丁寧にショーツを洗い、よからぬ妄想も多少してしまいながらも、最後の一枚になっていた洗濯を終えて後片付けも終わらせて。
人目に触れぬまま持ち歩きやすいよう手提げ袋にショーツを入れ、先に洗いものを干すため甲板にロープを張りにいくと、ジークフリートを相手に鍛錬に励んでいるランスロットとジータの姿が見えた。
大きなカゴにいっぱいの洗濯物を入れて甲板に出てきたグランを見たランスロットが、
「ロープ張るんだろ、俺得意だからやっとくよ」
と申し出てくれた。
そこでグランは、持ち主不明の可憐なショーツの話をジータにしようとしたのだが。
なぜかジークフリートが、ジータに話しかける前に割り込んできた。
「すまないが、レースの装飾が多くついている白い下着がそっちに紛れ込んでいなかったか」
どきりとも、ぎくりとも。
先ほどまでとは全く違う意味で、グランの心拍数が上がっていく。
「いや何、『あんなものを他人に洗わせる気か』と先ほどまでパーシヴァルにこっぴどく叱られてなぁ」
なんのことなのか、まだグランはわからずに。
「それってどういうことでしょう?」
聞いてはいけなかった禁断の問いかけを、ジークフリートに投げかけてしまった。
「昨日の夜パーシヴァルにつけさせてみたんだが、人目に触れさせるようなものではないと俺が勘違いしていてな。大いに盛り上がったんだが派手に汚してしまったから下洗いまではしておいたんだが──」
そこまで聞いた時点でグランはフリーズし、ジークフリートの横っ腹にはジータの容赦ないハイキックが見舞われた。
一部始終を甲板の片隅で見聞きしてしまったパーシヴァルは、数日間グランを露骨に避けて過ごしていたらしい。

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