作文 | ナノ

武器の手入れエアプなので間違ってたらごめんなさい

私の使う武器は薙刀だ。自分の身長よりも長いものだから持ち運びが大変なので、ウソップやフランキーに適宜改造してもらって、ナミの天候棒みたいにしてもらった。使いやすくて割と気に入っている。でも刃先は間違いなく「刃」なので、手入れは必須だ。それは刀を扱うゾロも同じで、時折甲板で唾液が飛んだりしないように和紙を加えて手入れをしている。それを見つけるとちょうどいいな、と私も隣にお邪魔して手入れをするのだが、サンジくんはどうやらそれが気にいらないらしい。けれど刃物は放置すると錆びてしまうから、手入れをしないわけにもいかないのだけれど。

「……だからってわざわざマリモの隣でやらなくてもいいんじゃねェかな」
「サンジくんは武器が自分自身だもんね〜。使う手入れ道具が同じだし、ついでにやっちゃおうと思って」
「…………それは、そう、だけどよ……」

 腑に落ちないといった様子でぼそぼそと返事をする。持ってきてくれたおやつの乗ったトレイを芝生の上に置いて、サンジくんが私を後ろから抱きしめるようにして座った。せっかくおいしそうなお菓子を作ってきてくれたけど、和紙を咥えるから終わってからじゃないと食べられないなぁ。……ん?サンジくんも座った?私の背中に頭をくっつけるようにして動かなくなったサンジくんに声を掛ける。何よりこちらは正座だし、バランスがとても悪い。

「今から手入れするんだけど」
「うん」
「お菓子は終わったら頂くね」
「うん」
「……見学?」
「いや」
「見ても面白くないよ」
「そうでもないと思う」
「ちょっと無理がないかな?」
「和紙を咥えて両手もふさがってるなまえちゃんにマリモが手出ししねぇか見張ってる……」
「するかァ!!」

 隣でゾロが大きな声で怒鳴った。いつもなら蹴りかかって乱闘が始まるのに今日は「いや、そうとは言い切れねぇ、油断ならないだろ……」となおも顔を上げずにぼそぼそ言っている。ある種のイヤイヤ期的なものなのかな……私のお腹の前で手を組んでがっちりとホールドされて動けない。

「たすけてゾロ」
「おれを巻き込むな」
「サンジくん」
「…………」
「ほっとけぐる眉なんて」
「うるせえあっちいけマリモ」

 語彙も罵倒ボキャブラリーも普段より格段に減ってる。三本手入れを終えたのかゾロが自分で使っていたものをさっさと片付けるとがしがしと頭を掻いて「あー今日は一段とめんどくせェなそいつ。なまえ、たたき直しとけよ」面倒になったゾロは全て私に放り投げてどっかに逃げて行った。こ、こいつ……

「ゾロあっちいったよ」
「ん……」
「ナミとロビンよぶ?」
「……いや……いい」
「(迷ったな)サンジくん」
「なまえちゃん行かねェで」
「ここにいるよ」
「なまえちゃん、今めんどくさいと思ってる?」
「思ってるけど」
「けど?」
「こんなめんどくさいの私じゃないとダメだろうなって思って嬉しくなってる、最低だね」
「あいしてる……マイハニー……」

 ついにぐずぐず鼻をすする音まで聞こえてきた。普段とんでもなく頑張ってるんだからたまには決壊しても良いんじゃあないかな。手入れは敵襲がない限り急ぎでもないし、あとでもいいか。力を抜いて寄りかかるとさらに強く抱き締められた。まったくかわいいめんどくさい最高の男だこと。
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