作文 | ナノ

今日の貴澄と名前ちゃん
「トリックオアトリート」と言われる。飴を渡したら「いたずらしたかった」とちょっと不満顔。していいよと言ってみたら嬉しそうにキスしてきた。なんだそれ、かわいい。
#今日の二人はなにしてる
http://shindanmaker.com/831289



すみれ色の瞳が半月に隠れる、最高の笑顔で手を出してくる我が彼氏様にこのごろ愛用しているマヌカハニーのど飴をどうぞ、と差し出すとあからさまに残念そうな顔をする。「なぁんだ…持ってるんだ…」はあ、とわざとらしいくらいの溜息をついて飴を開けて口にいれた。いや食べるんかい。

「絶対になまえは仮装しないだろうってわかってるけどさ。来年こそは着てほしいな…ナースとか…クラシカルメイド服とか…」
「へえ、そういうのが趣味なの?ていうかもはやそれ仮装じゃなくてただのコスプレだよ」
「趣味とかではなく男のロマンみたいなものだよね〜、それになまえなら似合うと思うし」
「本音は?」
「いたずらしたかったなあ……」

何もそこまで落ち込まなくても…と声を掛けたくなるくらいにしょんぼりする貴澄に来年のことはともかく。少しくらいなら、という私の中の仏心が顔を出した、その時だった。

「じゃあしてみる?その、いたずら」
「いいの!?」

ぱっと顔を上げた貴澄は満面の笑みで、可愛いし私はこの笑顔が大好きなのだけれども。バネでも入っているのではと疑うくらいの瞬発力にたじろいだ瞬間に腕を引かれて、ぐっと距離を詰められる。思わず顔を逸らすと「あ!旭〜!」と声をあげるものだから、椎名にこんな現場を見られるわけには!という感情に支配されて「えっ!?」と声を上げると後頭部に回されていた大きな手のひらが向きを変えてキスされていた。は?冷静になればこんなところにいるわけがない。

「貴澄」
「なに?kiss me?もっとしちゃお」
「んぅ、ち、ちが…わざと、でしょ!?」
「ふふ、いたずらしちゃったぁ」

ほんのり色づいた頬をした貴澄がとろりと溶けかかった瞳を私に向けて言う。ハロウィンの夜はまだ長い。服の胸元を掴むと手を重ねられて額にも優しく唇が落とされた。百鬼夜行の夜、彼は一体どんな姿を魅せてくれるのかな。名前を呼ぶ優しい声色に瞳を閉じた。

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