作文 | ナノ

※おまんじゅう

ふたりで眠るベッドの中。肌寒い夜はふたりぶんの体温が心地良い。暗闇の中でうっすらと目を覚ますと眠るなまえがいる。頬を手のひらで撫でると「普段なら」猫のように嬉しそうに手のひらに擦り寄ってくるんだ。「う……ぐぅ」それが今回はなんだか苦しそうな声を上げて眉を顰めている。どこか痛むのか、苦しいのか。心配で上半身を起こすと何かが彼女の掛け布団の上にいる。暗闇に目が慣れていない。その方向に手を伸ばすと何かが勢いをつけて手の甲にぶつかってきた。

「うわっ……!?」

おまんじゅうたちだ。リビングにおいてある箱がおまんじゅうたちの住居スペースなのに抜け出してきたのか……。僕に似たやつと、旭に似たやつと、貴澄に似たやつと兄貴に似たやつ。僕に似たやつはじっと僕を見ている。よく見るとハルと真琴と尚先輩に似たやつが、ベットサイドのところでじっとこちらを見ている。これはこれで怖い。

「こら、飛び跳ねるな。なまえがうなされてるだろ……リビングに戻りなよって痛ッ」

僕に似たやつが顔にぶつかってきた。な、なんなんだこいつ…!一番可愛くない!!
しかもその様子を見た旭と貴澄に似たやつらは彼女のお腹のあたりでぴょんぴょん飛び跳ねている。「だから跳ねるなって…起きちゃうから」依然僕にそっくりなやつが頭の上で跳ね続けている。何が何だかわからない。

「何……?どうしたの……」
「あ、ごめん……こいつらが」
「あれ?なんでこっちにいるの?まあいいけど…一緒に寝ようね〜」
「は!?ちょっと!」

いつの間にかなまえの手元にわんさか集まってきたおまんじゅうたち。僕の頭の上でも一度飛び跳ねてなまえの手の上に収まっていった。おまんじゅうひとつひとつは小さいけれど集まるとそれなりにかさばる。おまんじゅうたちをベットにまとめて「郁弥も寝よ、まだ3時だよ…」とぼんやり放たれた言葉にとりあえず頷いて横になる。僕となまえの間におさまるおまんじゅうたち。まあいいか、「おやすみ」なまえの頭を撫でようと手を伸ばしたらまた僕に似たやつに弾かれた。……ほ、本当に可愛くない!
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