作文 | ナノ

 朝起きたら隣に夏也が寝ていた。合鍵を渡しているとはいえ、いつ入ってきたんだろう。しかも酒臭いし上に乗せられた腕が重たい、けれど幸せそうに眠る夏也を見たら文句をいう気もなくなってしまった。
胸元に擦り寄って鎖骨を指でなぞったり頬をつついたり。もぞもぞと身動ぎはするものの起きる気配は無い。

「まーた調子に乗って飲んだんでしょ」
「尚くんと一緒なら止めてくれるよね」
「いつの間に帰ってきたの?」
「シャワーくらい浴びてよ」

 こっそり頬にキスをして髪を撫でていたら、手首を掴まれる。びっくりしてうわあっ、と色気のない声を出すと大きな瞳が開かれる。緋色の瞳が私を射抜いて、ゆるりと細められる。「おはよ、」続けられる名前が少し掠れた声にきゅんとしてしまう。悔しいかな、私は彼のことが大好きだ。

「夜中に帰ってきてな…水泳部の飲み会だったんだけど、なまえの話になったら、会いたくなってさ……」

 夏也の腕が髪を梳く。私の唇を指がふにふにと触って「やっぱりなまえが世界一可愛いなって思ったんだよな」寝起きのふにゃふにゃした笑顔を見せる彼が世界可愛くてつられて笑ってしまう。

「夏也、今日暇?」
「ん、特に予定はないな」
「じゃあさ、買い出し付き合ってよ。洗剤とかお米とか買いたいから」
「ああ、構わないよ。でも…その前に」

 私の足のあいだに膝を立ててマウントポジションを取った夏也が不敵に笑う。背中がぞくりとした。彼がこう笑う時はだいたいなにかえっちなことを考えている時だ。でも少しだけ、期待している自分がいるのも否定できないから。甘んじて降ってくる唇の雨と這いずる手のひらを受け入れた。
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