※おまんじゅうを飼育する話です。当然のようにおまんじゅうに意思と自我があります。言葉は話しませんが特殊性癖(?)なのでご注意ください
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ある日部屋の中に現れたお手玉のような、でも知り合いに似ているような?
ピンク色に紫の瞳、初対面なのに足元や手元でうろちょろする…そうだ、これは貴澄に似ている…写真を撮ってラインで貴澄に送ったら「なにこれ!かわいいじゃん」という返事まで帰ってくる始末。確かに可愛いけども。ちなみに人間の貴澄とラインでやりとりをしているあいだも手元をちょろちょろしてスマホを覗き込んだり(文字を読めるのだろうか?)していて、聴こえるはずのない貴澄の声が聴こえたような気がしていた。音も声もしないはずなのに、行動が騒がしい。
「おじゃましま〜す」
連絡をした翌日、人間の貴澄が部屋にやってきた。おまんじゅうのような貴澄を見にだ。
「うわ〜本当に僕に似てるねぇ。しかもこれもしかして…生きてる…?」
指でつんつんとおまんじゅうのような貴澄を人間の貴澄がつつく。
このおまんじゅうのような貴澄は喋れないのでされるがままだが、あれだけうろうろしていたのに急に大人しくなって少し怖い。
「え?なになに?うん、うん……そうだよね〜!あはは、わかるー!」
飲み物を用意している間に手のひらにおまんじゅうのような貴澄を乗せて耳元に寄せていた。もしかして貴澄、会話ができるのか。似ているからか。目の前で起きている光景に脳が付いていかず呆然とする私に貴澄たちが笑顔を向ける。
「この子のこと、僕だと思って可愛がってあげてよ〜中身はだいたい僕だし、きみのことが大好きだから安心して?ねっ」
にっこり笑って私の肩におまんじゅうのような貴澄を乗せる。
どうやらこれから私は、彼氏とそっくりなおまんじゅうのようなものと生活をすることになるらしい。よろしくね、と私の頬にキスする彼と同じ顔が楽しそうに私を見ていた。