ヒロアカsong


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「はぁ…なんでこんな目に」

騒動は落ち着いたけれど、勝己や轟くんを野放しにすると危険だというお達しが出てしまい、お目付役に任命された私と雫ちゃん

「せっかく雫ちゃんと周れるとおもったのに!」

「なら泡女のとこ行けや!!」

「誰のせいでこうなってると思ってんの!?」

てゆーか雫ちゃんのこと泡女って呼ぶのやめてよねと睨みつけるけど既に聞いていない様子
苛立つ私を宥める切島くん

「まあまあ、つか舞羽コスチューム変えたんだな」

「うん、前のは色々つらかったからさあ」

「へえ、いいじゃん!可愛い!」

可愛い
その言葉に私はぱああっと顔を輝かせ、反対に勝己は眉間のシワを増やす

「でしょでしょ!この耳みたいなのも機能があってね!
音波の個性の補助的な役割をするんだよ!」

「すげー!」

いいリアクションをしてくれる切島くんはやっぱり良い人だ
どこかの勝己とは大違い

「爆豪もそう思うだろ?」

そのフリに期待してわくわくしながら回答を待つけれど、勝己はケッと言ってズンズン歩いて行ってしまう
ほう、そうかそうか、是が非でも言いたくないんだね

「…切島くん、なんとかして可愛いって言わせたい」

「おう!協力するぜ!」

ここまできたら棒読みでも何でも良いから言わせてやる
パビリオンを周りながらことある度に「かわいい?!」って聞きまくってたらキレられた







その後色々見て回ったけれどもう夕方
18:00でエキスポは閉園とのことで、私たちもそれぞれホテルへ向かう
先ほど飯田くんから連絡があったけれどレセプションパーティがあるので正装に着替えないといけない
18:30にセントラルタワー7番ロビーに集合とのことなので急ぐ

まだ雫ちゃんは帰ってきていないようなので先にドレスに着替えてヘアセットも済ませる

「お母さんの選んだものにしてはマシなデザインだ…」

ギルティルージュから連絡がいったのかもしれないけど最近はファッションなどに口出しをしてくることがなくなってきたのでホッとする
セットした髪に飾りをつけていると雫ちゃんが戻ってきた

「あ、雫ちゃんおかえりー」

「唄ちゃん似合ってるね!」

「本当?何だか着られてる感じで恥ずかしいなあ」

「そんなことないよ」

そう告げた雫ちゃんもテキパキと用意していく
ドレスを着慣れているのかササっと着替えて髪も結った雫ちゃん
美人さが更に際立っている

「雫ちゃん大人っぽいね!」

「そうかな?中身は案外子供だよ」

「あ、それは否定しない」

職場体験以降素を見せてくれるようになった雫ちゃんは案外子供っぽくて逆に親しみやすい
2人してにししと笑ってから雫ちゃんがヤオモモに連絡を入れた

しばらくしてからホテルのロビーに現れたヤオモモ、お茶子ちゃん、響香ちゃん
みんなドレス姿がとても可愛い

「ウチやっぱ無理…」

恥ずかしがる響香ちゃん
パーティ会場に行くのを嫌がっているようだけどこんな可愛いんだから勿体ない

「とっても似合ってるよ!」

「本当!響香ちゃんらしいロックな感じもあって素敵だね!」

雫ちゃんと一緒に褒めれば響香ちゃんが「そう…かな…?」とその気になる
本当に可愛いから自信持ってほしいけど、恥ずかしいって思っちゃう気持ちは分からなくもない
私も正直スカートは落ち着かないから中にショートパンツを履いてきた
万が一飛ぶことがあれば絶対必須だから

「大変!時間を過ぎていますわ!」

集合時間を過ぎていることに気がついて急いで会場へ向かう
エレベーターに乗って上の階へ向かえば先に到着していた男子メンバーの視線がこちらに向いた

「おまたせ!ごめんね」

「「うおおおお!!!!」」

何やら盛り上がっている上鳴くんと峰田くんに首を傾げる
いつでもあの二人は元気だな

と、上がってきたエレベーターからパタパタと駆けてくるのはメリッサさん

「デクくんたちまだここにいたの?パーティはじまってるわよ」

「「真打登場ー!!!!!」」

メリッサさんの姿に感激している上鳴くんと峰田くんの二人だけど、正直私も見惚れてしまうほど美人だ

「あれ、勝己と切島くんは?」

「それが繋がらないんだ」

飯田くんはあの2人に連絡を試みたらしい、けれど繋がらないとか
一体何してるんだと呆れたその時、警報音が鳴り響いた










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