初恋日和

旅立ち







荷物が入ったリュックを背負い木ノ葉の里の門をくぐる

傍にはおばあちゃん、おじいちゃん、そして綱手様

私が雪の民だと知るのは綱手様のみ
余計な混乱を防ぐ為にも周りには修行だと告げてきた


「道中気をつけるんだぞ」

「はい」


ちょうど一昨日ナルトが自来也様と共に修行に旅立ったところなのに私まで修行に行くんだからサクラは寂しそうにしていたけれど、それでも私は行かなきゃならない

自分が受け継いだ血がどんなものなのか知りたい

お母さんが転生を繰り返してまで帰りたかった故郷に行ってみたい

その一心でおじいちゃん達に懇願し綱手様に許可を頂いた


「何かあればいつでも戻っておいで」

「うん、おじいちゃんもおばあちゃんと仲良くね」


いつ帰ってこられるのかなんてまだ分からない
けれど私も前に進まなきゃ

ナルトが自分を強くするため修行に出たように

サクラが自分を変えるために綱手様に弟子入りしたように

サスケが力を求めて出ていってしまったように

私も第七班の一員として置いていかれないように








そう思って旅立った日から一ヶ月
ようやくここまで辿りついた


「雪の国だ」


吹き荒れる吹雪
視界さえ狭いこの国の外れに誰も立ち入らない森がある

何故かここに行かなくてはという気がした


森に立ち入ればピタリと吹雪が止んだ
別の場所にでも来たみたいな感覚に陥り少し不安になるけれど足は止めない

どれぐらい歩いたか分からなくなってきた頃、急に突風が吹き荒れた


「っ!」


咄嗟のことに目を固く瞑った私が次に目を開けた時にはどこか小高い丘の上にいて
空からは雪がちらほら降っている

先程までの景色と違うことに期待を膨らませ眼下に広がる街並みに思わず口角が上がった


「ここが雪の民の里…」


私の故郷







〜少年編 完〜





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